<「持続可能な森林管理」を目指す森林認証制度【1】> 林業界の認証制度「FSC(R)・PEFC・SGEC認証」と「FM・CoC認証」を解説します

日本は、森林大国です。国土の約66%が豊かな森林に覆われ、古くから林業も盛んでした。林業界は一時期、安い外国製の木材や、後継者不足などで縮小傾向にありましたが、国産の木材が見直され始め、昔ながらの職人気質であった林業界にも、スマート化の波が押し寄せるなど、その形相は変わりつつあります。良い木材製品を得る為には、適切な森林保全と、確かな木材加工と流通が必要となります。近年、世界規模で環境保全のための取組みが活発になっており、森林保全や木材の加工と流通にも国際的に信頼される認証制度が設けられました。今回は、林業界隈でよく耳にする「FSC(R)」「PEFC」「SGEC」などの森林保全認証と「FM」「CoC」などの、木材の流通・加工に関する認証制度についてまとめてみました。

 

林業界に関わる認証制度の種類は2種類

林業界に関わる認証制度は、大きく分けると「森林保全」のための認証制度と「木材・非木材製品の流通・加工」のための認証制度の2種類に分けられます。

【「森林保全」の認証制度】
一本の木を苗木から育てるには、50年以上の歳月を要します。伐採できるまでの木に育て上げるために、森林そのものを健全に保つ必要があります。森を育て、木を育てるということは本来とても手間のかかるものであり、ましてや「健全な森林」を維持するための労力は計り知れません。しかし、世界各地で起こる森林の乱伐が問題視され「適切に管理された森林から切り出された木材」であることを証明するための認証制度の策定が必要となり、「FSC(R)」「PEFC」「SGEC」の森林保全認証制度が誕生しました。

●FSC(R)
FSC(R)は「Forest Stewartdship Council」の略で、日本語では「森林管理協議会」の意味を持ちます。FSC(R)の目的は「適切な管理が行われた森林で、社会的な利益にかない、経済的にも持続可能な森林管理」で、世界で2億1,000万ヘクタールの森林がFSC(R)認証を受けています。2020年5月時点での日本のFSC(R)認証森林面積は、約41万ヘクタールとなっており、アジアでは二番目の数です。

FSC(R)ではWWFをステークホルダーに持ち、「10の原則70の基準」を定めて森林が適切に管理されているかを審査します。なお、FSC(R)認証製品が消費者の手元に届くまでには、生産、加工、流通に関わる全ての組織も認証を受けている必要があり、伐採後の工程に関わる認証機関として、CoC認証との紐づけで成立していることが特徴で、日本では製紙会社がFSC(R)認証を取得している傾向にあります。

●PEFC
「PEFC」は、汎ヨーロッパ森林認証「Programme for the Endorsement of Forest Certiflcation Scheme」の略です。発足時はヨーロッパ国内の森林保全認証制度でしたが、非ヨーロッパ国が参加するようになりPEFCの名称となりました。「持続可能な森林経営のための政府間プロセスをベースに各国で個別に策定された森林認証制度の審査及びそれらの制度間の相互承認を推進するため」の国際統括組織で、世界149か国の政府が支持しており、国別で決められた審査基準を、加盟国内で相互認証する仕組みとなっています。日本のSGECとは2016年に相互認証をしており、主に木材会社がPEFCを取得している傾向にあります。

●SGEC
SGECは「Sustainable Green EcsoSystem council」の略で、「緑の循環認証会議」を意味します。90年代後半に策定されたFSC(R)やPEFCより、やや遅れて2003年に策定されました。「モントリオール・プロセス」を基本に策定されており、「日本の森林の自然的・社会的立地に即して、持続可能な森林経営を実現するための国際性を持った基準で、森林管理に関する環境、社会及び経済の分野を網羅した基準」であるとされています。SGECでは、7基準4原則の定めに則った認証をしていますが、その中には、林業や木材産業の従事者の労働安全を守るための体制確立も含まれています。2016年にPEFCとの相互認証が締結され、今後、日本国内でのシェアが期待されています。

【「木材の流通・加工」のための認証制度】
森林から切り出された樹木は、製材所で加工され流通します。FSC(R)やPEFCなどの森林保全認証を受け、適切な保全をされた森林から生まれた木材と、非認証の木材が流通経路のどこかで混ざってしまう危険性がないとも限りません。森林保全認証を受けた森林から切り出した木の加工品である、ということを保証するため、また、流通・販売経路で間違いのないように保証する制度が、FM認証やCoC認証などの「木材の流通・加工のための認証制度」となります。認証製品を販売する時は、FSC(R)やPEFC認証を謳って販売することも可能で、許可を取ればロゴマークを使用することも可能です。

●FM
「FM」は、「Forest  Management」の略で「認証されている森林が責任をもって管理されているか」を審査する認証機関で、FSC(R)認証されている森林も、PEFC認証されている森林も、SGEC認証されている森林も、FM認証を受けていなければ「責任もって管理されている森林」として認められません。

●CoC
「CoC」は「Chain of Custody」の略で、「管理の連鎖」を意味します。認証された森林から生産された木材を管理・加工するための認証制度で、認証木を間違いなく流通させる責任があり、FM認証を受けた森林から最終製品に至るまでの間、製品の所有権をもつすべての事業者が対象となることが特徴です。加工や流通の過程で一度でも認証事業者でない事業体に所有権が移ってしまうと、それ以降は認証製品として取り扱うことができなくなるくらい、厳しく管理されており、各工程において、他の製品との明確な識別・帳簿上の明示、記録の保管などを実施しています。

 

森林保全認証制度についてはセミナーを受講しよう

FSC(R)やPEFCなどの森林保全認証制度には、それぞれに細かい基準やルールが定められています。なかなか区別がつきにくいという人も少なくなく、森林保全認証制度の取得のハードルを上げていることにもなります。森林保全認証制度は国際的な制度でもあり、これからの日本の林業、そして木材の流通などに大きく関わる話でもあるため、知識を得ておくことは大きな武器となります。下記URLよりセミナーを検索し、森林保全認証制度に詳しくなりましょう!。

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【参照情報】
FOREST JOURNAL
>>>森林認証制度「PEFC」と「FSC」の違いって何?特徴や取得方法を徹底解説

AMITA
>>>FSC®/PEFC FAQ|森林認証のよくあるご質問

>>>FSC®/PEFC|森林認証のしくみ

WWF
>>>森を守るマーク 森林認証制度 FSC(R)について

一般社団法人緑の循環認証会議(SGEC)
>>>SGEC七つの基準