<未来技術が躍進する最先端の通信システム5G【3】> 「スマートアグリカルチャー」や「スマートファクトリー」を実現できる”ローカル5G”とは?

テレビCMやインターネット上での広告を見ると、5Gは大手通信会社が取り扱うもの、という印象を受けますが、企業や地方自治体にとって身近な存在となる「もう一つの5G」が存在します。それが「ローカル5G」です。都市から離れた山間部や、大きな工場などで独自のネットワークを構築できる「ローカル5G」は、地方でのIoT事業や、工場インフラへの活用に期待が高まっています。5Gをスポット活用できる「ローカル5G」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?ローカル5Gの概要と活用方法について、みてみましょう。

 

ローカル5Gとは?

まずは「ローカル5G」について、通常の5Gとの違い、そしてWi-Fiとの違いを解説します。

●5Gとローカル5Gの違い
「ローカル5G」とは、NTTdocomo、au、Softbankなどの大手通信キャリアが提供する5Gとは別の無線通信システムを指します。大手通信キャリアのサービスは、利用できる地域がそれぞれ異なり、提供エリアは徐々に拡大していくとされていますが、5Gは電波の飛距離が短いため、全国にサービスが行き渡るまでに時間がかかると見込まれています。

他方、ローカル5Gは、一定エリア、または建物の中、敷地内などに5G基地局を設定して、独自の通信システムを構築することができます。総務省のガイドラインによると、「ローカル5Gは、キャリア以外の企業や自治体を対象とした限られたエリア内という条件下でのみ、利用できる免許制の5G」と定められています。この場合の「限られたエリア」とは、免許を取得した建物や土地の所有者の「自己の建物内」「自己の土地の敷地内」であることが条件となっています。

●ローカル5GはWi-Fiとは違う?
「キャリアとは違う独自の基地局」というと、「Wi-Fi通信」が浮かびますが、Wi-Fiとの大きな違いは「セキュリティ面」にあります。Wi-Fiは、ローカル5Gと違って免許を必要とせず、安い費用で5Gに匹敵する高速プライベート通信が構築できました。免許が必要でない分、Wi-Fiはセキュリティの脆弱さが指摘されていましたが、ローカル5Gの場合は国が指定する無線局の免許取得が必要となるため、その分、高度なセキュリティとクオリティの高い安定した通信を得ることができます。

 

ローカル5Gの利点

ローカル5Gには、「5Gの提供エリア以外で5G通信ができる」「通信障害や災害の干渉を受けにくい」などの、2つの利点が挙げられます。

(1)5Gの提供エリア以外で5G通信ができる
2020年3月にスタートした5Gですが、スタート時から全国くまなくあらゆるところで使える通信ではありません。大手通信キャリアを主体に、都市部から徐々にカバーエリアを広げていく戦略をとっています。5Gには、「電波が短い」という特徴があり、電波が短い分、たくさんの基地局を中継してカバーする必要がありますが、基地局の整備はまだこれからで、都市部から離れた山間部や過疎地がなどには、手が回らない状況にあります。そんな場所へローカル5Gを展開することができれば、5G提供エリア外の地域でも、比較的早くネットワークを構築することが可能となるのです。

(2)通信障害や災害などの干渉を受けにくい
ローカル5Gの特徴として、「独自のネットワーク構築ができる」点があります。例えば、大規模な災害が発生した時、大手通信キャリアをベースとした5Gを使用する場合、他のエリアに通信障害が発生していた場合、影響を受けてしまう可能性が否めません。他方、ローカル5Gの場合は、周囲の環境からの干渉を受けにくいという特性があり、不具合が生じてもすぐに自前で対応が可能なため、短時間でネットワークの復旧ができる可能性が見込まれています。

 

ローカル5Gの活用例

ローカル5Gでは、農業や林業など、都市部を離れた郊外で活用する「スマートアグリカルチャー」や工場のインフラで活用する「スマートファクトリー」、自治体が目指す未来の窓口「スマート自治体」などでの活用例があります。

●スマートアグリカルチャー(スマート農業)
「スマートアグリカルチャー」は、農林水産省が推進するICTやAIなどの先端技術を活用して、農作物の生産管理や品質、生産効率などの向上実現を目指す新たな農業の取組みの事で、別名スマート農業とも呼ばれています。ドローンを使って畑やハウスを点検する取組みや、自動運転のトラクターなどが取り入れられていますが、ローカル5Gが実装されれば、ドローンの画像データをトラクターや無人ヘリに送り作業を指示するなど、一度に大量のデータの処理が可能です。そして、これらの蓄積した大量のデータをAIが解析し、人の手による作業を機械で補うことができるなら、農作業の無人化の実現につながり、労働不足の解消が期待されます。

●スマートファクトリー
ローカル5Gの活用で、一番需要があるとされている場所が、工場であると言われています。工場での大量生産大量消費の時代は過ぎ去り、現在は「多種少量生産」が主流です。ユーザーのニーズに応えるためには、高度な生産管理をしなければなりません。「スマートファクトリー」は、工場内でネットワーク構築し、無線で機器をつないで、ロボットや制御システムを連動させ、生産ラインの変更などにも柔軟に対応できる生産活動ができる工場を指します。多種少量生産の生産活動を潤滑に進めるために、ローカル5Gの出番となるのです。

●スマート自治体
「スマート自治体」とは、総務省が推進する「地方団体が自治体政の高度化・効率化を実現し持続可能な行政サービス」を実現する取組みのことです。都市部から離れた地方自治体でも、ローカル5Gを設置し、RPAによる職員の作業効率化、ICT活用によるテレワークの推進、AIを使ったドローンでのインフラ点検、オンラインの申請システムの構築などで、職員や住民の負荷を軽減し、少子高齢化による社会問題の解消を目指すものです。5G以前から、スマート自治体に取り掛かっている自治体もありますが、ローカル5Gを取り入れることにより、地域のIoT実装や、近隣自治体との共同利用推進事業など横展開がしやすくなり、社会全体がスマート自治体に移行しやすくなると期待が寄せられています。

 

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【参照情報】
株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
>>>IoTの普及を助ける?総務省が推進するローカル5Gとは?

マナミナ
>>>ローカル5Gは普通の5Gと何が違う?山間部や工場での活用を想定

総務省
>>>地方課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証等について