<自動運転レベル3の時代来たる!2021年の自動運転市場の動向について【3】> 「自動運転レベル3型式指定」に向けた日本の各メーカーの動きと世界の実用例
自動運転車が公道を走る。そんな光景は、もう少し未来の話と思っている人も多いと思われます。しかし、自動運転車はすでに世界中で実装され、日本でも自動運転車が公道を走行できるよう、道路交通法の法改正が2020年4年に実施されました。自動運転車は、どこまで「一般化」に近づいているのでしょうか?日本の各メーカーの自動運転車開発の動きと、世界の状況、そして、自動運転車レベル4の進捗につてまとめてみました。
日本の各自動車メーカー「レベル3」の動向
まずは、日本の主要自動車メーカーの動向を見てみましょう。
【トヨタ】
トヨタの自動運転支援システムは、自動ブレーキや車線はみ出し時のステリング制御機能を備えた「Toyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)」です。Toyota Safety Senseでは、自動運転レベル1、レベル2相当の技術が使用されています。2020年11月にはハンズフリーを可能とした高度なレベル2技術「Lexus Teammate」を搭載したLexusを発表しています。レベル3については、自動車専用道路における自動運転「Highway Teammate(ハイウエイチームメイト)」や一般道路向けの「Urban Teammate」を開発中とのことです。また、トヨタでは一般道路の自動運転支援として「ショーファー(自動運転)」と「ガーディアン(高度安全運転支援)」という独自のアプローチ方法で開発を進めています。
【日産】
日産では、2019年に自動運転レベル2技術相当の「プロパイロット2.0」を搭載した新型スカイラインの販売を、開始しました。2020年には「プロパイロット3.0」の実現を目指していましたが、2020年が明けても「プロパイロット3.0」の続報は発表されていない状態です。プロパイロット機能は、日産が自動運転支援技術として標準装備するもので、高速道路での複数車線で追い越しや分岐なども含め、システムがルート上にある高速道路の出口までの走行を支援してくれるほか、一定条件下では同一車線内での手放し運転も可能であるとされています。
【ホンダ】
ホンダの渋滞運転機能「TJP(トラフィックジャムパイロット)」は、2020年11月国土交通省から日本メーカー初となる「自動運転レベル3型式認定」を受けました。そして2021年3月5日に、TJPを搭載した「LEGEND」を100台限定で発売しています。TJPは、高速道路の本線上で、渋滞時に自動運転を行うシステムで、車の速度がシステムの作動開始時に、時速30未満となると作動することができます。また、高精度3次元地図やGNSS(全球測位衛星システム)の情報や、外界認識用センサーでの車両制御が可能で、車内向けカメラで運転手の監視も行えるとのことです。ホンダの自動運転レベル4は、2025年をめどに技術的確率を目指すとしています。
【いすゞ】
いすゞでは、自動運転システムの早期実用化を目指し、ベースとなるITSシステムや高度運転支援技術を「協調領域」と定めて、日野自動車と共同で開発することに合意しています。この合意に基づいて、視界支援、路車間通信、加減速支援、プラットホーム正着制御の4つの技術の開発を進め、2018年度以降に順次実用化していく方針となっています。2021年3月期までの中期経営計画の中では、先進技術開発の加速を重要かだと定め、隊列走行、自動運転、コネクテッドカーなどを重点技術開発領域に挙げています。次世代の自動運転トラック開発には、アメリカの半導体メーカー、エヌビティアの「NAVIDA DRIVE」を導入するとのことです。
世界の自動運転レベルはどこまで進んでいる?
世界での自動運転レベルは、どこまで進んでいるのでしょうか?自動運転先進国の、ドイツとアメリカを見てみましょう。
【ドイツ】
ドイツは、「BMW」「アウディ」「ダイムラー」と言った、日本でも有名な車メーカーが目白押しです。各メーカーではどのような自動運転車を発表しているのでしょうか?
●BMW
BMWでは、2018年4月に自動運転実現に向けた新たな研究センターをドイツ国内に開設。2019年には同じドイツのダイムラー社との協業も発表していました。そして自動運転レベル3.5のEV車モデル「BMW iNext」を、2021年中に生産、実用化する予定です。
●アウディ
アウディでは、世界に先駆け、自動運転レベル3搭載車「Audi A8」の市場投入を果たしています。ただし、日本で発売されているAudi A8では、 自動運転レベル3の技術は使用できなくなっています。A8が発売されたのは2018年10月であり、日本ではまだ公道で自動運転車が走行できる法整備がされてないということが理由です。2020年4月からはレベル3が解禁されたので、いずれA8もレベル3を使用できるのでは、と期待されています。アウディの自動運転レベル4は、早くて2021年から商用向けを、2025年までに一般向けを実現することを目標としています。
●ダイムラー
日本ではメルセデスベンツで知られるダイムラー社では、CASE戦略をいち早く打ち出しているメーカーでした。ドイツの自動車部品会社ボッシュやエヌビィアなどと連携し、自動運転レベル3の市場投入を2020年内に目指していましたが、実際の導入は2021年にずれ込むと見られています。ダイムラーの自動運転機能は「DRIVE PIOL」と言い、ドイツの高速道路で利用できるシステムとして発表されています。あくまでもドイツ国内を走行できるとのことで、他のヨーロッパ諸国に関しては遅れての提供となります。また、日本で使用する場合も、利用可能時期については明らかとなっていません。
【アメリカ】
アメリカでは、「テスラ」や「フォード」などが自動運転車の開発を発表しています。
●テスラ
テスラの自動運転支援機能は、「FULL Self Driving(FSD)」です。テスラのCEOは、2019年には自動運転レベル3相当の運転技術を顧客に提供できると発言していましたが、2020年現在まで実現していません。テスラはロボタクシー事業にも意欲を示しており、2019年には投資家を対象にした技術説明会を開催しています。
●フォード
フォードは2021年を目標に、自動運転レベル4を実用化して、ライドシェアの配車サービスへの供給することを発表しています。フォードはレベル3の発表はしておらず、一足飛びでレベル4を発表することになります。2018年6月にドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)と戦略的提携に向けた各所に調印しており、開発力と競争力を高めて次世代モビリティ界への進出を狙っているようです。
日本での自動運転レベル4はいつ実現するか?
世界では早くも自動運転レベル4の風が吹く中、日本の自動運転レベル4の進捗はどうなっているのでしょうか?
●アメリカでの商用運用
自動運転先進国であるアメリカでは、「ウエイモ」や「GM」などが、自動運転タクシーや、無人の自動運転タクシーの提供をスタートさせています。ウエイモでは、2018年12月に自動運転タクシーの有料商用サービス「ウエイモワン」を開始していました。開始時は万が一に備えてセーフティドライバー同乗の運用でしたが、2019年の12月末からは、セーフティドライバーが同乗しない「レベル4」のサービスも一部で開始しています。GMではウエイモを追従する形で無人の自動運転タクシーをスタート予定で準備を進めており、2020年12月には完全無人運転車の走行テストも開始しています。また、GMはMicrosoft社とも提携を結び、自動運転タクシーの実用化に向けて、Microsoft社のクラウドである「Azure」を活用すると見られています。このように、アメリカでは自動運転タクシーという形で自動運転レベル4を商用運用しようとしています。
●日本の自動運転レベル4はいつか?
日本の各メーカーでの自動運転レベル4は、開発が待たれる状況ではありますが、「自動運転レベル4の運用」という形ではすでに動きが始まっています。自動運転レベル4の自動車は、MaaSと相性が良く、各自治体で、自動運転レベル4の技術を生かしたシャトルバスや、ロボタクシーの運用を計画しています。例えば、茨城県境町では、ウエイモなどによるレベル4の自動運転タクシーの実証・実用化を進めています。また京阪バスでは大津市で自動運転シャトルバスの実証実験なども行っています。このように、日本でも海外の技術を受入れ、自動運転レベル4導入の実証実験が各所で行われてる状況です。
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【参照情報】
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