<「持続可能な森林管理」を目指す森林認証制度【2】> 「FSC(R)」とは何か?FSC(R)の概要と10の原則について

世界の森林面積は陸地の約31%を占めており、地球はまだまだ「緑の星」というイメージがありますが、繰り返される乱伐や森林開発で多くの森林が失われてきてます。農地やプランテーションなどから得た産品や製品のビジネスで豊かな生活を得た反面、森林は生態系バランスを崩し、森林減少による二酸化炭素の増加、気候変動、野生動物の減少など、地球全体に大きな影響を及ぼしています。FSC(R)は森林をとりまく生態系を守るため、そして、生産のために必要な森林を持続的な形で適切に管理するために作られた認証制度です。ここではFSC(R)の概要や成り立ち、FSC(R)の10原則、FSC(R)認証取得のメリットなどについてご説明します。

 

FSC(R)とは?

まずは、FSC(R)の基本的なことについて見て参りましょう。

●FSC(R)の概要について
FSC(R)の正式名称は、「Forest Stewardship Council(R):森林管理業機会」と言います。「責任ある森林管理を世界に普及させること」を目的としており、FSC(R)認証された「責任ある管理が行われた森林」から生産させる木材や非木材製品を識別し、間違いなく消費者の手元に届けることで「責任ある森林管理を消費者が支える仕組み」づくりに取り組んでいます。

FSC(R)は1994年、世界中で森林破壊が加速している時期に誕生しました。設立には、環境団体、林業者、林産物取引企業、先住民団体が関わっており、世界中で最も信頼度の高い森林認証制度として多くの消費者や企業から支持を得ています。ただし、FSC(R)はあくまでも「森林管理」を目的とした認証制度であるため、「適切に管理された森林であることを証明するFM認証」や「加工や流通に責任を持つためのCoC認証」も紐づいて取得する必要があります。

●FSC(R)の規模や影響は?
FSC(R)は、世界で一番認知度が高い森林保全認証制度です。その影響は日本でも強く、2019年1月現在でFSC(R)認証面積は41万ha、FM認証は36件、CoC認証は1400件に上ります。FSCが世界中から信頼を集めている証拠として、2009年オバマ大統領の就任式の招待状や、2011年のイギリス王室のロイヤルウエディングの招待状にFSC認証紙が使用されているほか、バンクーバーオリンピックの選手村、ロンドンオリンピックのオリンピック公園などの国際的に重要なシーンでFSC認証材が使用されています。日本では有明体操競技場の外装に、FSC認証材である浜松市の天竜材が使用されています。

●FSC(R)の認証商品には「木材林製品」と「非木材林製品」がある
FSC(R)の認証商品には、以下のような「木材林産物」と「非木材林産物」があります。

【木材林産物】
・家具
・木工品
・紙(ティッシュペーパー、紙パック、パンフレット、カレンダー)

【非木材林産物】
・キノコ
・はちみつ
・メープルシロップ
・籐の家具
・竹製品
・ゴムボール

 

FSC(R)の「10原則」とは?

FSC(R)は、「10の原則と70の基準」に基づき、森林が適切に管理されているかを審査指します。環境・社会・経済のバランスが重視されるFSCの10の原則は、下記の通りです。

(原則1)「法律の順守」:法律や国際的な取り決めやFSCの原則を守っている
(原則2)「労働者の権利と労働環境」:労働者の権利や安全が守られている
(原則3)「先住民族の権利」:先住民族の権利を尊重している
(原則4)「地域社会との関係」:地域社会の権利を守り、地域社会と良好な関係を保っている
(原則5)「森林のもたらす便益」:森林のもたらす多様な恵みを大切に活かして使っている
(原則6)「森林の多面的機能と環境への影響」:環境を守り、悪影響を抑えている
(原則7)「管理計画」:森林管理を適切に計画している
(原則8)「モニタリングと評価」:管理計画の実施状況を定期的にチェックしている
(原則9)「高い保護価値(HCV)」:保護すべき価値のある森などを守っている
(原則10)「管理活動の実施」:管理活動を適切に実施している

10原則の下には70の基準があります。この基準レベルで守られていない項目があった場合は、FSC(R)認証を受けることができません。70の基準の下には、各国の状況を考慮した約200もの指標が存在し、森林管理認証審査でのチェック項目に使用されています。

 

FSC(R)認証のメリット

FSC認証のメリットについて、「取得企業のメリット」と「認証商品を使用する企業のメリット」について、まとめました。

●取得企業のメリット
FSC認証を受けることで、顧客に以下のような印象を与えることができます。

・貴重な動植物を保護する、化学薬品の使用を必要最小限に抑えるなど、環境への適切な配慮を実施しているとの印象を与える
・法律や規則を守り、地域社会と良好な関係を築き上げている社会的便益のある企業と思われる
・長期の収穫や収入計画を立てる、廃材を極力抑えて木材を最大限に活用するなどの運用方法で、持続的な経済の確保に勤められる

●認証商品を使用する企業のメリット
認証商品を使用すると、企業には以下のようなメリットがあります。

・違法伐採や生態系を破壊している森の資源を知らずに利用することを防ぐ
・グリーン調達を明示することで社会的印象が良くなる
・サプライチェーンマネジメントやデューデリジェンスに役立つ
・自治体の入札評価や購買調達基準に良い影響を与える

 

FSC(R)認証を知るにはセミナーがおすすめ

FSC(R)は、林業界だけに関係する認証制度ではありません。地球温暖化防止などのSDGsビジネスなどにも関連してきます。FSC(R)認証やCoC認証を取得、または認証製品をビジネスで取り扱うならば、まずはセミナーでFSC(R)やCoCについて知ることが重要です。セミナーで森林保全制度の「今」を学び、ワンランク上のビジネスを目指しましょう!

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【参照情報】
FSC
>>>FSC(R)について

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