<コロナ禍を乗り切る!企業のための新型コロナウイルス対策【4】> 緊急事態宣言下で企業が取るべき対策とは?

新型コロナウイルスの影響で、欧米諸国をはじめとする感染者の多い地域で、ロックダウンや非常事態宣言などの都市封鎖が行われる中、感染者が増加し続ける日本でも4月7日に7都道府県に向け「緊急事態宣言」が発令されました。対象地域の多くの企業が活動を自粛する中でも新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、「緊急事態宣言」はエリアを拡大し4月16日に全都道府県が対象となっています。緊急事態宣言下では、企業と国民が一つになって「不要不急の外出を避ける」「三つの密や夜の街を極力避ける」「企業はBCPに基づきテレワークを強力に推進する」などを実施し「極力8割程度の接触機会の低減」を目指すように広く呼びかけています。経済活動が制限されている中、緊急事態宣言下に置いて企業はどのように対策を講じたら良いのでしょうか?休業要請や感染予防措置などについてまとめました。

 

緊急事態宣言とは?

「緊急事態宣言」とは、「緊急事態措置を実施すべき区域」に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(平成24年法律第31号)第32条第1項に基づいて発令されたものです。令和2年4月7日に埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に発令され、4月16日に全国に拡大しました。内閣官房発表によると、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言の概要は、以下の通りとなっています。

【緊急事態の概要】
新型コロナウイルス感染症については、
・肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること、かつ、感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ、急速な増加が確認されており、医療提供体制にもひっ迫してきていることから、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与える恐れがあり、かつ、全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと認めされる。

緊急事態宣言の期間は令和2年5月6日までとなっていますが、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第5項の規定に基づいて、すみやかに緊急事態宣言を解除することになっています。

 

緊急事態宣言で企業が取るべき対策

このような緊急事態宣言下に置いて、企業はどのような対策を取るべきでしょうか。下記にまとめました。

(1)自社の業種が休業要請対象か確認する
まずは、自社の業種が休業要請の対象業種かどうかを確認します。今回の緊急事態宣言は、あくまでも「要請」ですので、強制力や罰則規定はありませんが、感染拡大のリスクを考慮すると、休業要請せざるを得ません。この場合の感染リスクとは、顧客や取引先、従業員に感染者が発生する、または、クラスターが発生するなどを指します。罰則規定がないとはいえ、感染者の発生やクラスター化したことが世間に知られると、企業の社会的ダメージは避けられません。また、企業は従業員の安全配慮義務を負っている関係上、新型コロナウイルスに感染した従業員や家族から、損害賠償を求められるリスクもあります。緊急事態宣言の真意を理解し、従業員の身の安全を守るためにも、自社の業種が休業要請対象かを確認し、休業要請には応じることがベストな対応です。

(2)休業要請のない業種は従業員の安全配慮義務に努める
他方、休業要請のない企業や個人事業主は、営業を継続することは可能ですが、新型コロナウイルスへの警戒を解くわけではないので、営業を継続するならば、それなりの対策が必要となります。例えば、店舗営業の場合はマスクの着用、消毒、清掃、三密空間を創り出さないことなどの予防策を徹底はもちろん、従業員への安全配慮義務として、下記のような措置で新型コロナウイルスへの感染リスクを減らす努力が求められます。

●ラッシュ時を避けるスライド出勤
通勤ラッシュ、帰宅ラッシュの通勤電車内や通勤バス内は、感染リスクが高いと指摘されています。このようなラッシュ時間をさけるために、企業では可能な限り公共交通機関の利用を控えるように呼びかけ、自動車や自転車などでの出勤を奨励しています。どうしても公共交通機関の利用が不可欠となる都市部では、通勤時間や帰宅時間をスライドさせるスライド出勤を採用しているケースもあります。

●出勤を減らすための出勤制限・テレワーク
緊急事態宣言による「極力8割程度の接触機会の低減」を実現するために、政府では新たな目標値として、令和2年4月11日「出勤者を最低7割は減らす」ことを、休養要請が出ていない業種の企業にも求めていました。可能な限りテレワークへ移行させ、出社が必要な場合でもオフィス内でソーシャルディスタンスの保てる5人程度の少人数グループを作り、交代で勤務するなど、できるだけ「会社に行かない」ようにして「最低7割減」を目指します。テレワークに関しては、整備が進んでいない企業も多いですが、中小企業などは「働き方改革支援助成金のテレワークコース」などを活用して、テレワーク環境を整備することが可能です。

●有給休暇を利用する
休業中の給料に不安がある従業員の場合には、有給休暇の取得を促すのも一つの手段です。特に、これまで軽度の体調不良では有給を取れなかった従業員には、無理をさせずに、有給休暇の取得を促すことが、本人のためにも企業のためにもなります。

 

休業要請中の給料はどうなる?

労働基準法第26条によると「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中の当該労働者にその平均賃金の60/100以上の手当を支払わなければならない」としています。緊急事態宣言による休業要請の下では、国から要請されたものであり、企業から従業員に要請したものではなく「使用者の責に帰すべき事由ではない」という解釈もできることになります。企業「側で国からの休業要請は「不可抗力」であると判断すると給料は支払われないことになってしまいますが、今回の新型コロナウイルスに関しては、「当該取引先への依存の程度、他の代替え手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための努力義務などを総合的に勘案し、判断する必要がある」という一文があり、最終的には企業の判断で休業を決めることになる方向へ向けられているため、「不可抗力」と判断されるケースは限定的であるとみられています。休業中の給与に関しては労使で話し合い、事業者は「雇用調整助成金」など、行政からの助成金の活用も視野に入れて判断をする必要があります。

 

休業要請がなくても個別対応が必要な業種

緊急事態宣言下では、休業要請出ていなくても、以下のような個別対応が必要な業種もあります。

●金融機関・官公庁
ライフラインのひと役を担う金融機関や官公庁などは、休業をすることはできません。しかし、会議時間をなくす、可能な限りテレワークへ移行するなどの切り替えを要請されています。

●食事提供施設
飲食店に休業要請は出ていませんが、時間短縮の営業や、酒類販売の時間制限(19時まで)、店内飲食を控え、テイクアウトやデリバリーなどの活用が奨励されています。これにより、個人で営業している飲食店の打撃は大きく、自治体などではテイクアウトサービスのポータルサイトを立ち上げて利用を促す支援や、地元の商工会所属の店舗の弁当費用を半分負担など、様々な試みが実施されています。

 

緊急事態宣言下の今こそセミナーを受講しよう

近代日本史上稀にみる事態ともいえる新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、経済活動も日常生活もすべてこれまでとは違った局面を迎えつつあります。この状況に飲まれず、生き残れるための知恵をつけるためにも、新型コロナウイルスに関するセミナーを受講して、チカラにしましょう。下記のWebセミナーがおすすめです。

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【参照情報】
内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)
>>>新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の区域変更

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>>>緊急事態宣言による休業要請にどう対応する?

ぎょうせいオンライン
>>>【労務】感染症リスクと労務対応第10回 緊急事態宣言が出された場合企業が取るべき対応とは?