<コロナ禍を乗り切る!企業のための新型コロナウイルス対策【7】> 株主総会が進化する ハイブリッド型バーチャル株主総会とは?

企業の重要事項を取り決める株主総会は、現行法(会社法296条1項)上で開催が義務付けられていることであり、これを改正しなければ「中止」とすることは難しいとされています。日本企業の多くは6月に定時株主総会を開催する傾向にあり、新型コロナウイルス感染による緊急事態宣言の下においてでも、開催を迫られている状況にあります。そんな中、法務省ではWeb会議システムを利用して株主総会を確認・傍聴できる「ハイブリッド型バーチャル株主総会」を活用しての株主総会開催を推奨し始めました。新型コロナウイルス下での新しい株主総会のカタチ「ハイブリッド型バーチャル株主総会」についてまとめてみました。

 

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは?

経済産業省が発行する「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」によると、ハイブリッド型バーチャル株主総会とは、「リアル株主総会の開催に加え、リアル株主総会の開催場所に存在しない株主が、株主総会への法律上の「出席」を伴わずにインターネット等の師団を用いて審議などを確認・傍聴することができる株主総会」を指します。リアル株主総会とは、物理的に存在する会場において、取締役や監査役等と株主が一堂に会する形態で実施されるタイプの「一般的な株主総会」のことです。

ハイブリッド型バーチャル株主総会は、もともと、株主が地理的広範に分散している株主総会を想定して考えられたものであり、同時に、株主総会へITを活用するための第一歩として、経済産業省や法務省が法的に問題なく実務が執り行えるように準備を進めてきていました。新型コロナウイルス感染拡大下でのリアル株主総会の開催は、一か所に長時間多人数が集まりやすい環境のため三密環境を生み出す恐れがあり、特に高齢の株主にとっては、感染リスクを負わせることとなるため、開催そのものを危険視する声も上がっている中で、ハイブリッド型バーチャル株主総会を取り入れる企業が増えてきています。

ハイブリッド型バーチャル株主総会は、「参加型」と「出席型」の2つのタイプがありますが、「出席型」で参加すれば、質疑を踏まえた議決権の行使が可能であるため、リアル株主総会に参加しなくても、質問や動議に参加できるので、感染拡大リスクを押さえての株主総会が開催できることとなります。リアルとバーチャルの円滑なコミュニケーションを図るためには、ネット環境の整備や、株主のITスキルなど課題はあるものの、新型コロナウイルス感染症下での「新しいカタチの株主総会」を創り出すきっかけとなるでしょう。

以下で、「ハイブリッド参加型バーチャル株主総会」と「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」について、解説いたします。

 

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会は、遠隔地や当日都合が合わないなどで、リアル株主総会の開催地に在所しない株主が、あらかじめ会社から通知された固有のIDやパスワードによる株主確認の認証を経て、特設されたwebサイト等で配信される中継動画を傍聴するスタイルで運営される株主総会です。「参加型」の場合は、会社法314条で認められている質問や、同じく会社法304条で認められている動議を行うことはできません。従って、質問はないが、経営者の声が聞きたい、将来の事業戦略を直に確認したい、ということを重要視している株主には参加型がおすすめです。

●「参加型」のメリット
ハイブリッド参加型バーチャル株主総会には、以下のようなメリットがあります。

・遠隔地や高齢者株主の傍聴機会の拡大
・株主総会の透明性の向上
・複数の株主総会の傍聴をすることが可能
・情報開示の充実
・参加方法の多様化による株主重視の姿勢をアピールできる

●「参加型」の注意点
・インターネットを介した円滑なコミュニケーションをとるためのネット環境が必要
・株主にインターネットのスキルが必要
・肖像権への配慮
(ただし、株主に限定した配信した場合は肖像権の問題は生じにくい)

 

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とは、遠隔地や当日都合が合わないなどで、リアル株主総会の開催地に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて株主総会に「出席」し、審議や動議にも加われるタイプの株主総会です。「出席型」では、会社法298条関係に基づいた「株主総会の開催場所と株主の間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている環境であれば、個々の株主がインターネットを使って株主総会に参加し議決権を行使することは可能である」という解釈に基づき、質問権や議決権を行使することが可能となっています。

●「出席型」のメリット
・遠隔地や高齢者株主の出席機会の拡大
・株主総会の透明性の向上
・複数の株主総会に出席することが可能
・情報開示の充実
・出席方法の多様化による株主重視の姿勢をアピールできる
・株主総会での質疑等を踏まえた議決権の行使が可能
・質問の形態が広がり株主総会における議論(対話)を深めることができる

●「出席型」の注意点
・円滑なバーチャル出席に向けた関係者との調整やシステム活用における環境整備
・株主のインターネットスキルが必要
・質問の選別による議事の恣意的な運用に繋がる懸念
・汎用的な質問が増加する可能性
・事前の議決権行使に係る株主のインセンティブが低下し当日の議決権が行使されないことによる議決権行使率の低下の恐れ

 

ハイブリッドバーチャル株主総会における「お土産」の取扱いについて

経済産業省が策定した「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」によると、リアル株主総会で配布されるお土産については、交通費をかけて会場へ足を運び、来場してくれたことへの「お礼」と考えられることから、会場へ足を運ぶことなくインターネット等の手段を用いて出席した株主に対してはお土産を配らなくとも、不公平ではない、という見解が示されています。

 

ハイブリッド型バーチャル株主総会についてはwebセミナーで!

時代の流れと共に株主総会の在り方も変わりつつありますが、新型コロナウイルスがきっかけで、これまでは遠くの世界のことのようだったバーチャル株主総会の導入が、もうすぐそこまで迫っています。この時代の波に乗り遅れないように、ハイブリッド型バーチャル株主総会についての知識をwebセミナーで深めましょう!

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【参照情報】
創業手帳
>>>株主総会も遠隔でweb会議!ハイブリッド型バーチャル株主総会の方法まとめ

経済産業省
>>>「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定しました

>>>ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド