<ISO14001:企業活動と環境側面を考える【2】> 環境マネジメントシステム構築に欠かせない「環境側面」とは?

「環境保全に貢献している企業」として認められるISO14001の取得には、環境マネジメントシステムの構築が必要です。企業は「環境」と向き合い、環境マネジメントシステムを維持しなければなりません。この場合の「環境」は企業や組織の社会活動が環境に与える影響」を指し、日常的に使っている「環境」の意味とは違います。ここでは、環境マネジメントシステムを構築する際に考えないといけない「環境側面」についてまとめてみました。

 

「環境側面」とは?

まずは、「環境側面」という言葉につて解説致します。

●「環境」と「環境側面」
“大気、水、土地、天然資源、植物、動物、人及びそれらの相互関係を含む、組織の活動をとりまくもの”

ISO14001における「環境」は、このように定義されています。広義で「環境」を捉えると地球規模の問題となってしまい、とても一つの企業や組織が背負いきれるものではありませんが、例えば「水の問題」「土壌の問題」「大気の問題」と考えるといろいろな側面が見えてきます。そして定義にも含まれる「組織の活動をとりまくもの」も併せると、自然環境だけではない社会的な環境、例えば、近隣住民、ステークホルダー、関連企業、顧客、などにも範囲が広がってきます。「環境側面」とは、このような「企業や組織が活動の中で組織を取り巻く環境に影響を与える可能性がある側面」を指し「影響」の種類には、有害なもの、有益なのがあります。

 

環境に影響を与えてしまう社会活動とは何か?

環境に影響を与えてしまう「有害な社会活動」「有益な社会活動」には、どのようなものがあるのでしょうか?下記にまとめました。

●有害な影響を与える社会活動
・工場を稼働する→工場排気や汚水排出による周辺環境の汚染
・営業や配送に自動車を使う→ガソリン使用によるCO2の排出
・紙資源を使っての業務→世界の森林に影響が出る
・一日中パソコンを使用して作業をする→電力消費によるCO2の排出

「有害な影響を与える社会活動」と聞くと、工場由来による公害などがイメージされますが、自動車を使っての業務や、紙を使用する業務など、にはごく当たり前に仕事をしているだけでも環境に影響を与えてしまっているケースがあります。「有害な影響」を見過ごしてしまうと、もっと深刻な影響を与えてしまう「著しい環境側面」となってしまうこともあるので注意が必要です。

●有益な影響を与える社会活動
社会活動は環境に有害な影響を与えるばかりでなく、有益な影響を与える企業の社会活動もあります。
・工場製品の不良品を削減する→廃棄物の削減
・過分な材料を仕入れない→廃棄物の削減
・残業を減らす→電気使用量が減ることによるCO2の削減
・ペーパーレス化への取組み→世界の森林を守る
・雇用を生み出す→従業員の生活を守る
・クオリティの高い製品の提供→利便性の向上

有益な環境を与える社会活動は、社内での環境意識の高まりで実施できるものが多くあります。日々の仕事の流れをチェックし、どのような環境側面が有益な活動を生み出すのかを全社員で考えることで実行しやすくなります。

 

環境側面の決定方法と継続的改善の実現

環境側面は、どのように決定したらよいのでしょうか?また継続的改善を実現する方法とは?以下で、解説いたします。

●環境側面の決定方法
環境側面を決定する場合は「活動・サービスを適用範囲内ですべて特定・評価して決定」するように示唆されています。これを実行するには、手順を明確化、実施状況を記録した上での維持管理と運用管理を要します。環境マネジメントシステム運用の中で取り決めることが望ましいため、経営者の思い付きや、社会的に話題になりそうなもの、ワードで目立ちそうなものだけを特定する運用方法は、望ましくありません。環境側面を決定する場合は、ISO14001の手引書や、環境マネジメントシステムの原則などの解説書を参考に自社の社会活動に沿った環境側面を決めることが推奨されています。

●継続的改善の実現
簡単なようで難しい「継続的改善の実現」は「無理のない運用」であることがポイントです。ISO14001という規格は、「環境への影響の軽減に向けて常に評価・改善を続けていくことが目標」となっています。企業のイメージアップにつながる目標基準から逆算し、優先順位が高めの目標基準から予算配分なども考慮して、評価・改善するように決定すると、無理のない運用が可能となります。禀質管理マネジメントシステムとは違い、環境マネジメントシステムは目に見えて成果の出る者ではありませんが、有害な環境側面であるものを、有害でなくなるように努力する活動を継続することで、地球環境の為に繋がるということに対して、高い意識をもって取り組むことが大切です。

 

セミナーでISO14001と環境側面について学ぼう!

ISO14001認証を維持するためには、環境マネジメントシステムの構築や環境側面について詳しく知っておく必要があります。環境問題に取り組むことは企業のイメージアップにもつながり、その結果は実際に地球の環境に対してプラスにも繋がります。セミナーでISO14001を詳しく知り、環境マネジメントシステムについて学びましょう。

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【参照情報】
ISOプロ
>>>ISO14001における環境側面とは?分かりやすく解説

>>>有益・有害どちらも含む!会社組織の活動が及ぼす「環境側面」とは

ISO総研
>>>ISO14001:環境側面とは