<モビリティ市場を狙え!MaaS最新動向2021【1】> MaaSがもたらすモビリティ市場の拡大と新たなサービスの開拓

電気自動車や自動運転車などの「CASE」の技術が、自動車業界に革命を起こすと言われている中、自動運転技術を活用したモビリティサービス「MaaS」の実用化もまた目が離せない市場となっています。CASEが自動車業界に革命を起こすのなら、MaaSは「移動手段に革命を起こす」と期待されており、日本の各地で、政府主導の産官民が協働したプロジェクトが立ち上がっています。MaaSがもたらすモビリティ市場は、今どのように成長しているのでしょうか。MaaSによって生まれた新たなサービスなどと一緒に、最新動向をご紹介します。

 

「MaaS」の定義と「普及フェーズ」とは?

まずは「MaaS」の定義と「普及フェーズ」について、軽くおさらいを致します。

●「MaaS」の定義
「MaaS」は、「Mobility as a Service」の略語です。MaaSを構築するために存在する、公民連携団体「MaaS Alliance」の発表によると、MaaSの定義は、

『Mobility as a Service(MaaS)とは、いろいろな様式の移動サービスを一つの交通手段として統合させたもの』

と、定められています。

鉄道、バス、タクシーをはじめとする公共交通機関、近年注目されてるシェアサイクルなどを、タイプや運営事業者の異なるあらゆる交通手段における、チケットの手配、経路検索、配車などを、シムーレスで行えるサービスの提供し、より便利な移動手段を実現することを目的としています。

●MaaSの普及フェーズ
MaaSには4段階の普及フェーズがあり、MaaSの普及のための指標となっています。

【フェーズ1】様々な交通手段を一本化して利用できる

【フェーズ2】交通会社各社の運行データを集約し、移動が不便なエリアや時間帯を可視化することにより、交通手段の拡充を促進する

【フェーズ3】MaaSが普及したことで、自家用車がなくても移動が便利となり、維持費用が節約できるようになる

【フェーズ4】MaaSが普及したことで自家用車を利用する人が減り、渋滞の解消、街中の駐車場の縮小に繋がることで、空きスペースを有効活用できる

MaaSの普及が進むにつれ、自家用車の台数が減ってゆくので、CO2の削減など、環境にも優しい社会を作ることが可能となることから、MaaSは、持続可能な取組みの一環として捉えられ、世界中から注目を集めています。

 

MaaSがもたらすモビリティ市場の拡大とは?

MaaSの市場規模や、モビリティ市場拡大の背景などについて見てみましょう。

●MaaSがもたらした市場規模
MaaSの定義が発表されたのは2017年の事ですが、2021年現在、MaaSの市場は国内外でシェアを拡大し続けています。リサーチ会社が2020年に調査したところによると、MaaSの日本国内市場規模は2019年で8673億円を見込まれています。わずか3年の間で、MaaSの実証実験は全国各地で、実施されるほど広がりを見せ、JR東日本や小田急電鉄をはじめとする大手鉄道会社や、トヨタ自動車などの民間企業をはじめ、国からの呼びかけに応じた自治体の動きも活発で、驚くスピードで社会的認知を高めています。活性化するMaaSの国内市場規模は、2030年には2兆8658億円へと右肩上がりの成長を見せると言われており、更なる市場の拡大に期待が寄せられています。

●MaaSにおけるモビリティ市場拡大の背景
MaaSにおけるモビリティ市場は、なぜ急成長を迎えているのでしょうか?それには、以下のような理由が見受けられます。

①カーシェアサービスが都市部を中心に拡大している
「若者の車離れ」で苦境に立たされていた自動車業界でしたが、一台の車を複数人でシェアして乗りあう「カーシェアリング」が都市部で人気を集めています。カーシェア市場は、2019年に428億円の市場規模となっており、2030年には4555億円に拡大する見込みとされています。また、車に限らず、街中で自転車をレンタルできる「シェアサイクル」事業も成長を遂げており、都市部での移動手段として存在感を放ってきていることから、ますます需要が高まるでしょう。

②自動運転技術の進化と一緒に自動運転技術を使った移動サービスが可能となった
①のような都市部でのカーシェアリングを可能としているのが、CASEによる自動運転装置の進化です。カーシェアする車にコネクテッドカーを利用することにより、利用者状況や、駐車状況などを遠隔で把握することが可能となります。これにより、提供できるサービスが増えたため、カーシェア市場がより活性化しています。自動運転車の実現が進めば、バスなどで循環型の公共交通としての利用や、無人車で荷物の配達も可能となるため、物流業界もMaaS事業の参戦に動いています。そんな機運の中、自動車各メーカーは、自社の自動運転技術を、MaaSでの移動サービスに活かすべく、自治体と手を組んで実証実験を行っています。

③バス会社やタクシー会社によるデマンド交通の需要が増えている
地方都市のバス会社やタクシー会社は、常に赤字経営の危機に迫られています。他方、高齢化する過疎地において、公共交通手段が絶たれることは、高齢者のライフラインを脅かすこととなり、日本の各自治体での課題となっていました。アプリの操作一つで、タクシーの配車やチケット予約・決済、経路検索、送迎などをカバーするデマンド交通は、赤字に悩む交通会社と移動手段に悩む住民にとっての救世主であり、MaaSによる移動福祉事業の実証実験を始める自治体も年々増加しています。

 

MaaSの関連事業が新たな市場となる

MaaSがもたらす市場規模の拡大は、交通業界や自動車業界だけではありません。例えば、カーシェアリングに必須な施設と言えば駐車場です。カーシェアリングのステーションの需要が高まれば、駐車場の需要も一緒に高まります。シェアサイクルも同様で、いかに効率よく、ステーションをプラットフォーム化できるかが、利用者増加のカギです。自動運転車の開発や、交通事業への新規参入は難しいですが、駐車場ならは別事業からの新規参入もしやすいので、異業種間から新たなサービスが生まれる、市場の拡大への追い風となる可能性もあります。

 

自動運転車やMaaSに関してはセミナーで学ぼう!

MaaSやCASEは、新しい時代のビジネスとなります。都市部や地方関係なしに、需要のあるサービスとなるので、今後も注目される分野となるでしょう。今注目される、自動車業界や交通業界の潮流に置いて行かれないためには、セミナーでMaaSやCASEについて学びましょう。下記URLよりCASEやMaaS、自動運転に関連するセミナーを選ぶことができます!

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【参照情報】
ソフトバンクニュース
>>>人の移動を大きく変える「MaaS(マース)」とは?意味やメリット、国内外の最新トピックを専門家が解説

自動車LAB
>>>MaaSビジネス最新動向!将来の有望市場における収益機会とは?

カルモマガジン
>>>MaaSの定義と世界での事例。そして日本が目指すべきMaaSの在り方について