<モビリティ市場を狙え!MaaS最新動向2021【2】> 日本のMaaSはどこまで来たか?日本のMaaSレベルと最新動向について

移動手段に革命を起こすと言われているMaaSは、2017年に定義が発表されてより、世界はもちろん、日本国内でも次々と導入への動きが活性化し、2019年は8000億円以上の市場規模となっています。利用者が増えれば増えるほど、利便性が増し、新たなビジネスチャンスへの期待値も大きい「MaaS」の取組みは、今日本でどのくらいのレベルに達しているのでしょうか?MaaSの5段階レベルの紹介と、日本国内で実証実験が開始されているMaaSの取組みをご紹介します。

 

MaaS「5段階レベル」での日本のレベルは?

自動車や自転車、バス、電車などのあらゆる交通手段をシムーレスにつないでゆく概念は「狭義のMaaS」と呼ばれますが、スウェーデンのチャルマース工科大学ではこの「狭義のMaaS」の中で、モビリティサービスの統合や、機能面に応じてレベル0からレベル4までの5段階に分けています。

●MaaSの5段階レベル
MaaSの5段階レベルは以下の通りです。

【レベル0】統合なし
鉄道会社、バス会社、タクシー会社、それぞれの事業者が特に協働する様子もなく、従来どおり旧式のサービスを実施している状態を指します。既存の交通事業者がそれぞれで手協している、カーシェアリングや配車サービス、駐車場予約などが該当します。

【レベル1】情報の統合
鉄道会社、バス会社、タクシー会社、それぞれの事業者が情報を統合して提供するサービスを指します。ユーザーの手元では、アプリによって料金や時間、距離などの情報が提供されます。具体例を挙げると、Googleマップによるルート検索や所与時間の案内のようなサービスとなります。

【レベル2】予約・支払いの統合
マルチモーダルなルート検索以外にも、ワンストップで座席の予約や支払、発券などを行える統合型のプラットフォームによるサービスが該当します。ユーザーはスマホ一台で、目的地までの移動手段を一括比較し、複数の交通サービスを組み合わせて予約や料金の支払いなどが可能となります。

【レベル3】提供するサービスの統合
各モビリティサービスが専用の料金体系を持ち、サービスのパッケージ化や定額制などが実現される段階を指します。例えば、一定区間なら、どんな交通手段を使って移動しても料金が一律になるサービスや、月定額料金で一定区間の乗り放題サービスなどのプラットフォームが該当します。

【レベル4】社会全体の目標の統合
国・自治体・企業・大学などが産官民で協働し、政策や都市計画での段階から交通の在り方について、国家プロジェクトとして推進される段階。MaaSの最終形態と言われています。

●日本のMaaSレベルは?
MaaS5段階レベルのうち、残念ながら日本は0から1レベルの段階と言われています。しかし、JR東日本やJR西日本、小田急電鉄、NTTdocomo、ソフトバンク、トヨタ自動車などが名乗りを上げ、MaaSを導入したいと考えている自治体と実証事件をスタートさせている段階です。MaaSの元祖であるフィンランドや、シンガポール、リトアニアなどと比べるとまだまだ途上ですが、海外の事例や技術を取り入れながら、国全体でのレベルアップを図っています。

 

2021年版日本のMaaS動向

国内でのMaaSレベルを上げるべく、自治体や企業での実証実験の他、日本政府でもその取組みを後押しすべく動きを見せています。2021年版の日本国内でのMaaS動向をまとめました。

●「空飛ぶクルマ」など先導研究への予算計上
「空飛ぶクルマ」は、大型化したドローンで人やモノの輸送を実現するためのプロジェクトです。経済産業省は2021年度の予算案で「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」に40億円の概算要求をしていることが判明しました。この予算は、ロボットやドローンの社会実装を目指した技術開発などに使われる他、「空飛ぶクルマ」を活用した社会の実現に向けて、運航技術や安全技術の開発に向けて先導調査研究を行うために組まれたものとされています。

●群馬大学が国内初の大型自動運転バスの実証実験開始
群馬大学では、日本初の大型自動運転バスの実証実験が2021年2月からスタートしました。この実証実験では、西武バス、日本モビリティ、あいおいニッセイ同和損害保険、MS&ADインターリスク総研などが参加しています。遠隔監視システムを使い、西武池袋線飯能駅南口から美杉台ニュータウンまでの片道約2.5キロのコースを運行する予定です。大型バスでの営業運行実証は日本初で、実現すれば自動運転業界にとって大きな前進となるために期待が高まっています。

 

コロナ禍 の日本では「観光型MaaS」に注目が集まる

MaaS事業がスタートした段階では、地方の過疎地に寄り添ったMaaSや、局所的な混雑を緩和するための大都市近郊型MaaSへの取組みが目立ちましたが、新型コロナウイルスによるコロナ禍で状況が一変しました。緊急事態宣言や、GoToトラベルの中止などにより大打撃を受けた観光業界を救済すべく「観光型MaaS」が注目されてきています。観光型MaaSとは、観光地における交通手段を一括してサービスする概念を指すことで、交通、観光施設利用、レストラン・宿泊施設への予約決済をシムーレスで提供することが可能となります。

●観光型MaaSが注目される理由
観光型MaaSが注目される理由には、以下の点が挙げられます。

・複数の交通機関が一体となれば利便性の高い交通網が構築される
・移動手段の充実により訪問客数が増加する
・従来の交通機関では誘致しにくかった観光地への誘客促進となる
・観光地全体の満足度が向上する
・観光地の混雑緩和や地域への滞在時間増加による消費拡大へ繋がる

観光型MaaSの構築は、コロナ禍においての観光業界復興だけでなく「接触や混雑を避けられる旅行」としても着目されています。この取組みはコロナ終息後のアフターコロナにも対応できることから、観光業界、交通業界、旅行業界が復興するためにも、必要な取組となります。

 

日本国内のMaaSやCASEを知るにはセミナーがおすすめ

コロナ禍により冷え込んだ観光業界や交通業界の救世主となりえる可能性を秘めたMaaS。それは新たなビジネスへの開拓になるかもしれません。最新の自動運転技術や、MaaS、CASEを知るにはセミナーがお薦めです。Webセミナーなら繰りかえし受講ができる為、いつでもどこでも学習できるメリットがあります。下記URLより、お薦めのセミナーをお探しください。

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【参照情報】
カルモマガジン
>>>MaaSの定義と世界での事例。そして日本が目指すべきMaaSの在り方について

自動車LAB
>>>【2021年1月分】自動運転・MaaS・AIの最新ニュースまとめ

訪日ラボ
>>>観光型MaaS整備でアフターコロナのインバウンド誘致へ|MaaSの意味や国内の事例を解説