【いまココ押さえる企業法務(6)  withコロナ時代の就業規則③】 今が替え時?就業規則を変更する時に知っておきたい法務上でのポイント

お疲れ様です。

晴れた空、灼熱の太陽。
体温並の温風。

…の、気配を家の外から感じつつ、
本日も絶賛テレワーク中のいのりんです♪

買い物に出ると、
たまにサーモグラフィーで自動検温しているお店があって、
自分のサーモグラフィー姿を見る機会はなかなかないので、
ついつい通過してしまいます。

これもコロナ禍ならではの経験、
といったところでしょうか(苦笑)

そんな今回の話題もwithコロナ。

就業規則を変更する前に知っておきたい、
法務上でのポイントをご紹介します!

 

就業規則を変更するタイミングとはどんな時?

タイトルで「今が変え時?」と謳っているとおり、
就業規則を変更するには、
それなりの理由やタイミングがあります。

●労働関連の法改正があったとき
働き方改革におけるテレワークの導入や、
同一賃金同一労働の施行、パワハラ法案の改正など、
労働関連の法改正が発生した際、
「ただちに」就業規則を改定する必要があります。

「ただちに」改訂する理由としては、
法改正と一緒に就業規則も変えないと、
法令に不備と判断され、
「法令違反」となってしまうからに他なりません。

労働関連法案以外にも、
育児介護休業法などが改正された場合も、
その水準に合わせて法改正をしなければなりません。

●会社の経営状況が悪化したとき
会社の経営状況が悪化した際は、
従業員の労働条件に直結するため、
その時の会社の状況に合わせ、
以下の項目の就業規則の変更を、
余儀なくされるケースがあります。

・賃金の変更
・勤務時間の変更
・教育訓練制度の変更
・福利厚生制度の変更

賃金が下がる、勤務時間がカットされるなど、
従業員にとって不利益変更となる場合は、
説明と承諾が必要となります。

「不利益変更」に関する従業員の説明については、
別項にて後述します。

●雇用助成金制度へ対応するため
雇用調整助成金制度などをはじめとする、
雇用助成金制度を申請する場合には、
就業規則の提出が条件となっています。

このため、助成金申請前に、
条件に合った就業規則へ変更しておくことが、
ポイントとなります。

 

就業規則には3種類の「記載事項」が存在します

就業規則には、
「絶対的必要記載事項」
「相対的必要記載事項」
「任意的記載事項」
の3種類の「記載事項」が存在します。

以下で解説します。

●絶対的記載事項
絶対的記載事項とは、その名の通り、
「就業規則に必ず記載しなければならない事項」です。

記載が漏れてしまうと、
不備扱いとなるので改定する場合には注意が必要です。

また、会社とその労働者は就業規則に示されている事項の中で、
最低限でも絶対的必要記載事項については、
共通認識をもっていなければなりません。

・労働する日の始業時間と就業時間
・休憩時刻、休憩時間とその与え方
・休日
・休暇(年次有給休暇、産前産後休暇、冠婚葬祭時の特別休暇など)
・シフト制の場合は就業時転換に関する事項(交代期日、交代時刻、交代順序など)
・賃金の決定方法や計算方法、賃金の決定要素、賃金体系
・賃金の締め日、支払日、月給・週給・時給等の区分
・昇給の時期や条件
・解雇の事由を含む地職関連事項(退職手続き、解雇の事由、定年など)

●相対的必要記載事項
義務ではないが、就業規則を制定する際に、
「当該事業所固有の記載事項」という扱いで制定が必要な事項が、
「相対的必要記載事項」です。

記載する必要がないとはいえ、
労働者にとってはかなり重要な事項が含まれています。

会社と労働者との間に共通認識を要するのであれば、
その旨を就業規則に一文掲載しておくことが推奨されています。

・退職手当(適用される労働者の範囲、計算要素、計算方法、一時金か年金かの支給方法と支給時期)
・退職手当を除く一時金、臨時の手当
・最低賃金額
・食費/作業着代/作業用品などの会社負担
・安全及び衛生に関する事項
・職業教育訓練(時期/対象者/訓練中の処遇等)
・業務上及び通勤途上の災害補償、業務外の傷病に関する事項
・表彰(種類)/事由/手続き
・制裁(種類/事由/手続き)
・休職、出向、出張旅費に関する事項

●任意的記載事項
就業規則への記載が、
任意で会社側に委ねられている事項が「任意的記載事項」です。

概ね「相対的必要記載事項」で賄えているため、
数は少ないですが、以下のような事項が該当します。

・会社の経営理念、社是
・就業規則制定の目的
・施行年月日の定め

 

変更後の就業規則が不利益変更となる場合の注意点

就業規則を変更するということは、
会社にとっても労働者にとっても、
とても重要なことです。

ことに、
従業員にとって「不利益変更」となる場合には、
「労働契約法」に則った確認作業を要します。

 

e-Gov電子政府の総合窓口
>>>労働契約法

 

【労働契約法第9条】
労働者と合意することなく、
就業規則を変更することにより、
労働者の不利益に、
労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

【労働契約法第10条】
就業規則の変更により、
労働条件を変更する場合においては、
変更後の就業規則を労働者に周知させ、
かつ、就業規則の変更が、
労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、
変更後の就業規則の内容の相当性、
労働組合等との交渉状況、
その他就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、
労働契約の内容である労働条件は、
当該変更後の就業規則に定めるところによるものとす。

不利益変更の場合は、
原則として「労働者の同意」が必要となりますが、
例外的に労働者の同意を得ずに不利益変更を行うケースもあります。

同意を得ない場合は、
「就業規則変更の合理性」が必要となるため、
以下の条件をクリアしなければなりません。

  • 就業規則の変更によって労働者が受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性と内容・程度
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合などとの交渉の状況
  • その他、就業規則の変更に係る事情

以上のことを満たせない場合は、
就業規則の変更が無効となることもあります。

 

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次回は、「就業規則を変更する場合の実務のポイント」をご紹介します。

またお付き合いくださいませ。いのりんでした♪

 

【参照情報】
資格スクエアMEDIA
>>>就業規則変更の機会が増加中?就業規則を変更すべき場合と、手順、届出について解説

ガルベラ・パートナーズ・グループ
>>>労務管理「アフターコロナ」災害や感染症に対応するための就業規則改定ポイント

freee
>>>人事労務の基礎知識 就業規則を変更するには? 就業規則の変更届の作成方法

SmartHR
>>>就業規則の「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」の概要と注意点