知っておこう!給与計算をする時の基本ルール

給与計算をする時には、「給与を支払う側」が心得ておく基本的なルールが存在します。支払う側の基本原則や賃金支払い五原則などの基本的なルールから、給与支給時に必要な手続きなどをご説明いたします。

 

給与計算をする場合に知っておくルールとは?

給与計算をする前に知っておくべきルールは以下の通りです。

【労働協約(労働協定)】
どの企業にも就業規則が存在しますが、「労働基準法」においては「労働協約(労働協定)」が優位に立ちます。まずは、労働協約の中に賃金に関する定めがあるかどうかを確認しましょう。例えば、給与の中から「財形貯金」や「従業員積立金」などの控除の必要がある場合は、労働協約(労働協定)の締結が必要となりますので確認が求められます。定められてない場合は、「賃金全額支払い」の原則に反してしまうため注意してください。

・基本原則
給与の基本原則として、労働基準法第3条ので国籍や信条、社会的身分を理由に賃金の差別的な取り扱いをしない「均等待遇」が定められています。また、労働基準法第4条では、女性の賃金を男性と差別しない「男女同一賃金の原則」が定められてます。

・法令
労働基準法第1条では、賃金は「人たるに値する生活を営むためにも必要を充たすものでなければならない」と定められています。これは労働者の為にも必ず遵守しなければならないきまりです。

・支払い方法
月次で給与を支払う場合は、「締切日」と「支払日」を必ず確認する必要があります。手当ごとに、締切日と支払日が違う場合があるので、それについても規定が必要となります。締切日と支払い日は、処理をする人間が混同しミスを誘発する危険性があるので、期日の間隔をあけるなど対策が必要です。

賞与に関しては、「在籍要件」と「支給日要件」を定めて確認します。会社業績によって左右さやすいため、支給するかしないかを事業主が決めても問題ありませんが、その判断は従業員にとってあくまでもフェアであり、恣意的であってはなりません。

・最低賃金
事業主が労働者に支払う賃金は、「最低賃金法」により最低限度額が決められています。基本的に、一時間当たりの賃金額は最低賃金額を下回ってはいけないことになっており、地域別と産業別では、賃金の高い方を適用する決まりとなっています。

 

「賃金支払い五原則」のルールを知ろう!

賃金は、労働基準法第24条において、一定のルールが敷かれています。これを「賃金支払いの五原則」と言います。

1)通貨払いの原則
賃金は、原則とし通貨で支払わなければならず、小切手ては通貨には含まれません。ただし、法令に別段の定めがある場合や、労働協約(労働協定)に別段の定めがある場合、退職手当について労働者の同意を得て、「金融機関の自己宛小切手」「金融機関の支払い保証小切手」「郵便為替」などで支払うケースもあります。また、口座振り込みにする場合は、労働者の同意を得て、本人の口座に振り込むことが可能です。

2)直接払いの原則
賃金は、直接労働者に支払わなければなりません。なお、労働者がケガや病気などで直接支払いが成立しない場合は、家族や関係者に支払う事は、差し支えないとされています。

3)全額払いの原則
賃金は、全額を支払うのが原則とされています。ただし、遅刻欠勤早退が多い場合、労働していない時間帯分を支払う事はなく、また、賃金前払いをした場合は、その分を控除しえ支払うなど、臨機応変な対応が必要です。

4)毎月払いの原則
賃金は、毎月一回以上支払うものとされています。ただし臨時に支払われる賃金や賞与、精勤手当、勤続手当、奨励加給や能率手当などは、毎月1回の支払いでなくても問題ないとされています。

5)一定期日払いの原則
賃金は、周期的に到来する一定の期日を定めて支払わなければいけないものと、定められています。なお、一定期日払いの原則についても、臨時に支払われる賃金や、賞与、精勤手当、勤続手当、奨励加給や能率手当などは、毎月1回の支払いでなくても問題ないとされています。

 

給与支払い時に行う手続きとは?

会社には、給与を支払う場合、従業員が負担すべき税金や社会保険を割り出して、給与の支給額から控除します。控除した金額は、代行手続きをして、まとめて納付する義務があります。

・所得税の源泉徴収
所得税は、支払者が給与を支給する時に、所得税を源泉所得税を徴収して納付する「源泉徴収制度」が採用されています。従業員は、入社時に最初の給料が支払われる前までに、支払者である会社へ「給与所得者の扶養控除等(異動)申請書」を提出します。会社は、その提出を待って、給与の支払いと源泉所得の控除を始めます。

・住民税の徴収
会社で住民税を「特別徴収」している場合は、源泉所得税と同様に、会社が給与支払いの際に控除し、納付します。

・社会保険料の控除
社会保険は、毎月の給与から、従業員が負担する健康保険料(介護保険料)と厚生年金保険料、雇用保険料を、控除しています。それぞれの企業により、保険の加入要件が違うので、要件を満たすかどうかのチェックが必要です。

今回、ご紹介したこれらの基本ルールは、法改正などにより規定が変わる場合があります。その年度の法令や、規則に合わせた基本ルールにのっとって、給与計算を実施してください。

 

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