知っておいて損はない!給与計算と社会保険料の関係性について

給与の控除の中で結構な割合を占めてしまう「社会保険料」、その種類や計算方法はどのようになっているのでしょうか?知っておいて損はない、給与計算と社会保険の関係性について調べてみました。

給与から「控除」される社会保険料の種類とは

社会保険料の種類はいくつかありますが、給料から「控除」という形で差し引かれる社会保険料は「厚生年金保険料」「健康保険料」「介護保険料」「雇用保険料」です。それぞれの保険料についてご説明しましょう。

・健康保険料
厚生労働大臣の認可を得て組織されている「組合健保」や「協会けんぽ」などから関連する企業で働いている人が控除される保険料です。支払うと健康保険証が発行されます。

・厚生年金保険料
厚生年金保険とは、企業に所属して働いている人が加入する公的年金です。国民年金に上乗せされて給付される年金の事です。

・雇用保険料
自分都合や会社都合で失業してしまった時、失業保険や再就職手当などを受給することができます。

・介護保険料
介護保険料は40歳~64歳以下が加入する保険です。健康保険と合算して給与から控除されます。

社会保険料にはこの他にも「労災保険料」がありますが、こちらは事業者のみが負担することになっていいます。

 

ここが知りたい!標準報酬月額表とは

「標準報酬月額」は被保険者が事業主から受ける毎月の給与などの「報酬月額」を保険料額表の1等級~31等級までに区分し事業主から提出された届書に基づいて日本年金機構が決定する控除の事です。標準月額報酬が決まるタイミングは以下の3つになります。

・資格取得時の決定
事業主は従業員を雇用する際、就業規則や労働契約などの内容に基づく月額報酬を「標準月額報酬」として年金機構に届け出ます。この時の決定を「資格取得時の決定」といい、その年の8月までその決定が有効となります。ただし6/1~12/31までに資格取得をした人は翌年の8月まで資格取得時の決定が有効となります。

・定時決定
雇用された後に深くかかわりのある決定方法が「定時決定」です。
毎年1回、7月1日になる前に4月5月6月に支払われた報酬月額が事業主から提出されますが、その報酬総額の平均額を算出して「標準報酬月額」を決めなおし、その年の9月~翌年の8月まで有効となります。これを「定時決定」と言います。

定時決定は4月5月6月の3カ月のうちに支払われる月額報酬の中から、日数が17日以上あるもので計算されます。被保険者が何等かの理由で長期休職などをした場合、例えば4月や5月は通常の日数の報酬が支払われたのに、6月は14日分しか支払われなかったものに対しては、休職のあった月を除いた4月と5月の報酬総額で算出し、定時決定分とします。

・随時改定
例えば昇進による昇給やなんらか理由での降給で報酬月額が大幅に変動してしまった場合は、「随時改定」として事業主から標準月額報酬の改定を届け出ます。随時改定はその年の8月まで使用しますが、同年の7月以降に随時改定が決定した場合は翌年の8月まで有効となります。

随時改定は、残業代などを含まない固定的賃金が変動した後、継続して「3カ月間の期間に支払われた報酬総額」をその3カ月分で算出し「前の標準報酬月額」と比べた際、2等級以上の差が生じてしまった際に改定されることです。随時改定は標準報酬月額が実態と大きくかけ離れないために設けられている制度になります。

 

社会保険料は賞与からも控除される

社会保険料は賞与も控除対象となっています。この場合は、賞与から「標準賞与額」を算出します。
「標準賞与額」は、賞与の支給総額から千円未満を切り捨てた額から、健康保険料と厚生年金保険がかかります。雇用保険も控除対象ですが、この場合は千円未満の値を含めた賞与額に対して雇用保険率をかけて算出します。

なお、一定の上限を超える「標準賞与額」には、健康保険料も厚生年金保険料もかかりません。また健康保険の上限は「年度の累計で573円」、厚生年金の上限は「1か月あたり150万円」が上限とされています。このように、ボーナスにも社会保険料はしっかりと関わってきているのです。

 

給与計算と社会保険料の関係性で注意したいこと

基本的に標準報酬月額は4月~6月が一般的ですが、給与をもらう側にとって、その計算が後に支給される給与の額面に大きく左右されます。

特に4月~6月はどの企業も残業が多い季節となり、他の季節よりも歩合給が高くなりがちです。7月以降に残業が減ってしまうと支払われる給与も減ってしまい、社会保険料が負荷となることもあります。残業をしたらするだけ計算するのではなく、一時的な支給額の上昇を避けたり、通年で支給額に応じた負担ができるよう給与計算方法を工夫することも必要です。

 

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