食品の官能評価方法

普段何気なく口にしているお菓子や加工品などは各企業が「おいしい」と判断して販売している製品です。
人の感覚は人それぞれですので誰もがおいしいと思う商品を生み出すには、美味しく感じてもらうための数値を可視化する必要があります。
食品の味覚を数値化する官能評価とはどのようなものでしょうか?

食品の官能評価とは

自社の製品が客観的に見てどのような製品化を知りたい時、その製品が持つ固有の特性をヒトの感覚(視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚)を用いて対象物を評価する事を「官能評価」または「官能評価分析」と言います。

例えば製品は同じでも原材料の一部を変更した時、匂いや味が従来品と変化がないかを確認したい場合や、従来品よりも風味が良く口当たりが良い製品を開発したときに確認したい時、商品の保存方法などを知りたいときに用いる評価方法です。
特に新製品の開発や市場の新規開拓をする為には必要不可欠な分野とも言われています。

食品の官能評価にはどのような手法があるか

官能評価には目的によって2つの手法があります。

【分析型手法】

少数の官能評価パネラーにより食品の官能特性を究明する手法を「分析型手法」と言います。
分析型手法ではアルコール臭、香ばしい香り、甘い香りなどの特性用語に基づいて、目的の製品と他の製品との違いを測る定量的記述分析法(QDA法)や、いくつかの試料をパネルに提示し、どれがより特性を強く感じるかを探る、2点識別法、1対2点識別法、3点識別法などを用いて品質の差の検出、特性の分析など商品の品質を評価します。

【嗜好型手法】

消費者の嗜好を的確に評価することを目的としたのが「嗜好型手法」です。
こちらは分析型手法と比べ単純に好き嫌いを問う主観的な方法となります。

ただし、誰でも良いというわけではなく、商品のターゲットとなる年齢層の人間や、
実施目的にあった人間をパネリストに選ぶ必要があります。
嗜好型手法では異なる数個の試料を提示し、パネルに最も好きな試料、もしくは最も好ましくない試料を選ばせる「選択法」と、異なる数個の試料を提示してパネルの好きな順番で順位をつけさせる「順位法」、試料の特性を何段階かで点数化してデータ収集する「採点法」などを用いて評価を行います。

このように「分析型手法」と「嗜好型手法」の両方の結果を踏まえて多変量解析を実施し、目的の商品が「どのような商品化」を数値で可視化できるようにします。

食品官能評価を行う時の注意点

あらゆる食品を理化学的測定できる現代でも、食品などの「人が好んで口に入れるもの」の嗜好的品質は、同じ「人」が五感を使って直接判断する官能評価の方が的確であるとされています。
「うまみ」は多種類の食品成分の混合物から生み出されるものなので、理化学的測定では食品のほんの一部分の成分である、という結果しか測定できないのが現状です。
味以外でも「鮮やかなオレンジ」「リンゴのみずみずしさ」「レタスのシャキシャキ感」など視覚から得られるものや「まろやかな口当たり」「噛み応えのある肉」などのテクスチャーなどはどうしても五感を頼らないと得られない感覚でもあります。

とはいえ、「人それぞれ」という言葉があるとおり人による判断には個人差があります。
年齢や性別、好みや目的意識などで言葉や表現方法などにもばらつきがあります。
官能評価方法で正しい数値を導き出すためには、パネラーの人選と、何のために評価をするのかという目的意識を明確にする事が重要です。

自社の製品の「真の姿」を知るため、また新製品開発への手がかりとして官能評価について正しく理解する必要性があります。その為にも食品の官能評価のセミナーなどに参加する事をおすすめします。

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