<2021年3月施行「改正会社法」の変更点やポイントまとめ【1】> 会社法改正の背景と目的・改正会社法2021の概要について

2019年10月、政府により会社法の改正が閣議決定され、2021年3月より「改正会社法」が施行されます。2015年以来となる今回の改正では、株主総会に関する規律の見直しや、取締役の報酬に関する規律の見直しなどが実施されます。会社法は何故、定期的な改正が入るのでしょうか?会社法の基本的な知識から会社法改正に至る背景、改正会社法2021の概要などについて見て参りましょう。

 

会社法について

まずは「会社法」について、簡単におさらいです。「会社法」とは、「柔軟かつ健全な会社経営のために必要なルールを定めた法律」です。全8編と附則事項で構成され、主に「株式会社」「持分会社」「外国会社」について規定されています。

【会社法の構成】
1.総則/2.株式会社/3.持分会社/4.社債/5.組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転/6.外国会社/7.雑則(解散命令、訴訟、非訟、登記、公告)/8.罰則/附則

【参考】
e-Gov電子政府の総合窓口
>>>会社法

会社法は「強制法規」であるため、当事者の意思にかかわらず強制的に適用されてしまいます。企業が強行法規である会社法に反する契約や約束などをした場合は、契約は無効となり、罪に問われてしまう可能性もあります。そのため、経営者や法務担当は、常に正確に会社法を把握しておかなければならないのです。

 

会社法はどのように変わってきたか

「会社法」は2005年に制定されて以降、2005年に一部、2007年に全面施行と、段階的に施行されました。会社法が制定されるまでは、「商法の第2編」「有限会社法」「商法特例法」の3つを適用していましたが、時代に合わなくなってきた、使いにくいなどの理由から、3つが合わせ現行の会社法となりました。

その後、細かい修正を経て、2014年6月に会社法の一部を改正する改正法案が成立し、大幅な改正を実施しました。この時の改正は「2014年の第一次改正」と呼ばれています。この第一次改正においては、「社外取締役」「社外監査役の社外性要件厳格化」などのコーポレートガバナンスの強化の他に「親子会社・グループ会社に関する規律整備」なども行われてきました。

改正はこの時だけにとどまらず、第一次改正時に設けられた「附則」によって「施行後2年を経過した場合において企業統治に係る制度の在り方について検討する」と定められており、政府は、各方面からの会社法に関する指摘をうけ、2019年に「会社法の一部を改正する法律」を成立させました。これが2021年の会社法改正へと繋がります。

 

2021年改正会社法の目的と概要について

2021年に実施される改正会社法では、どのような改正が実施されたのでしょうか?まず、2021年に実施される改正会社法は、「株主総会の運営及び取締役の一層の適正化を図ることを目的とした、各種の制度や規律の導入」を目的としています。その概要を下記にまとめました。

(1)株主総会に関する規律の見直し
「株主総会に関する規律の見直し」では、2つの項目を見直します。

①株主総会資料の電子提供制度の創設
②株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

株主総会に関する規律の見直しは、早くて2022年からの実施を予定としています。これまで書面でのみの取扱いとなっていた株主総会の資料が、電磁的方法でも取り扱えるようになります。また、一人の株主より、一度に何十本もの提案を株主総会時に提出されることを防ぐための措置の整備も実施されました。

(2)取締役などに関する規律の見直し
「取締役などに関する規律の見直し」では、4つの項目を見直します。

①取締役の金銭でない報酬等に関する規律の見直し
②会社補償・役員など賠償責任保険契約に関する規律の整備
③業務執行の社外取締役への委託
④取締役等の欠格条項の削除及びこれに伴う規律の整備

会社法では、「上場会社等の取締役会は定款の定めや株主総会の決議により、取締役の個人別の報酬等の内容が具体的に定められない場合には、その内容についての決定方法を定めなければならない」と定められています。今回の改正においては、取締役の報酬に関する決定手続きの透明化を図るために、取締役の報酬に関する規律の見直しが盛り込まれました。

また、会社補償・役員などの賠償責任保険に関するD&O保険に関しての規律も整備されます。「社外取締役」に関しても改正が実施され、上場企業に対して社外取締役の選任が義務付けられていました。このように、今回の改正で、取締役に関する規律の決定方針を定めることにより、経営の透明性の向上が見込まれています。

(3)社債の管理などに関する規律の見直し
「社債の管理などに関する規律の見直し」としては、以下の2つが定められています。

①社債の管理に関する規律の見直し
②株式交付制度の創設

「社債の管理に関する規律の見直し」では、社債を発行する場合に、「社債管理補助者」を定めて社債管理者を補助する役割が新設されました。「株式交付制度の創設」では、株式会社が子会社を作るときに、他の会社を買収する会社が自社の株式を売却する側の株主へと交付できる項目が創設されています。

このように、2021年の改正では、会社の組織に関すること、経営のトップに関することの改正が多いことが特徴となっています。

 

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【参照情報】
Frontier Eyes Online
>>>【2021年3月施行】改正会社法とは?改正の履歴と概要を徹底解説

TOPCOURT
>>>改正会社法が2021年3月施行!5つのポイントを分かりやすく解説

Toma
>>>会社法改正のポイント及び中小企業への影響について