<コロナ禍で注目を集める物流業界の新風「ラストワンマイル」とは?【2】>アフターコロナ時代を見据える「ラストワンマイル物流」の可能性
新型コロナウイルスによる「コロナ不況」の影響で冷え込んだ物流需要。世界中の物流がストップしたかつてない状況に訪れた一つの商機が「ラストワンマイル」でした。あらゆる業種が「宅配事業」に注目し、手を伸ばそうとするなか、「ラストワンマイル物流」はアフターコロナ時代に躍進を見せるのでしょうか?物流業界における「ラストワンマイル」の可能性を探ってみましょう。
コロナ禍に起こった「物流業界の変化」
新型コロナウイルス感染症が社会活動にダイレクトに影響する「コロナ禍」では、物流業界に大きな変化をもたらしています。コロナ禍での物流は、どのように変わってきているのでしょうか?
●「生活様式の変化」で冷え込んだ物流業界
新型コロナウイルス感染症は、世界中の人々の生活に大きな変化をもたらしました。コロナ以前では、なかなか導入が進まなかったリモートワークが急増し、これまで当たり前に通勤し、会社で仕事し、休みの日にはショッピングをして、という「当たり前の生活」から、「なるべく外に出ない」生活スタイルを強いられました。人の流れが変わると、物流が変わります。コロナ禍においては、消費活動の減少による物流の鈍化はもちろん、緊急事態宣言下での製造現場の稼働時間の変動、工場の閉鎖、小売店舗での営業自粛や短縮営業、休業要請の影響もあり、業界全体に「荷物が流通しない」状況が長期間発生することとなりました。また、物流の現場でも感染防止対策として、3密を避けるための従業員の出勤調整やマスク着用義務など慣れない作業が増えた上、取引会社の運休や減便などの原因で、作業生産性の低下も業界の冷え込みに拍車をかけました。
●新しい生活様式で需要が高まった業界
他方、新しい生活様式の中で需要が高まった業界があります。一般ユーザーへの宅配業界です。ステイホームで家に居ながら、ネット通販やデリバリーの利用者が倍増する「巣ごもり需要」によって、宅配需要が拡大しました。この「巣ごもり需要」の影響で業績が落ち込んでいた百貨店やコンビニなどの小売業界、居酒屋、ファミレスなどの外食産業はこの苦境から抜け出そうと、インターネット販売や、デリバリーの開拓などでそれぞれ活路を見出し、結果として物流業界はEC関連貨物の動きが活発となってます。コロナ禍以前から、小売、アパレル、農業などのあらゆる産業がECサイトへの進出に乗り出していたところですが、コロナ禍のタイミングでその流れが一気に加速したようです。
需要の高まりで浮き彫りとなった「ラストワンマイル」の課題と対策
急成長する業界に課題はつきものです。需要の高まりで浮き彫りとなった「ラストワンマイル」の課題とその対策についてまとめました。
●見えてきた課題
もともと「ラストワンマイル」は、「物流業界におけるラストワンマイル問題」として認識されていた側面もあり、「エンドユーザーへの配達方法」についてはコロナ以前から課題とされてきました。特に「慢性的なドライバー不足」と「不在時再配達量増加」は、宅配の物量が増えた事によって顕著に表れています。業界の事情に反し、ユーザー側には「なんでも宅配で届く」利便性のみが植え付けられ、物流業界に対してサービスの質の向上や柔軟性を求めており、業界の事情とユーザーの希望の間に、ズレが生じています。このズレを解消するために、宅配業者はユーザーと配送状況を共有する管理システムの構築や、不在時配達をスムーズにする宅配ボックスの増設などの対策を打ち出しています。
●ラストワンマイル問題解消の為の規制緩和
コロナ禍がきっかけで規制が緩和された例として、国土交通省が実施した「タクシー事業者による飲食宅配業務」の特例措置が挙げられます。「タクシーによる食料・飲料の宅配」は、新型コロナウイルス拡大に伴う特例措置として4月21日より2020年9月末までの期限付きでスタートし、その後10月末まで延長されています。もともとタクシーは、「道路交通法」により旅客輸送に特化するよう義務づけられており、原則「宅配」を扱うことは許されませんでした。タクシーが荷物も運ぶ「貨客混載」は、2017年の9月から段階的に規制緩和されてきましたが、過疎地などをターゲットとしたサービスとして利用されていました。今回規制緩和は、ドライバー不足を補う目的があることはもちろんですが、その他にも、コロナ禍で利用者が減ったタクシー業界、外食産業、双方への救済措置の側面もあります。10月末までの期限付きですが、国としては恒久的なサービスにすることも視野に入れているとの報道もあります。
課題に取組む関連企業の「ラストワンマイル」戦略
ラストワンマイル問題の解消に取組んでいるのは国だけでなく、宅配業者や運輸業者も「ラストワンマイル」についての戦略を打ち出しています。
【企業による宅配ロッカーの設置】
ラストワンマイル問題の一つである「不在時再配達量の増加」を解消すべく、企業各社が独自の宅配ロッカーの設置を始めています。例えば、Amazon社は都内一部地域で試験的にセルフサービスの宅配ロッカー、または店舗スタッフから受け取るスタイルの「Amazon Hub」を導入し、シェアの拡大を狙っています。ネオポストショッピング社とヤマト運輸が共同出資しているParkcity Japan社では、契約している宅配会社が利用できるロッカー「PUDOステーション」を全国各地に設置しています。PUDOではユーザーが自分の都合で荷物を取りに行けるため、配達員の再配達負荷と人件費が削減できます。何よりも、配達員とユーザーが非接触となるため、感染症対策としても注目されているようです。この他にも、JR線沿線に設置されている日本郵便の宅配BOX「はこぽず」や、店内に配置されているドン・キホーテなど、あらゆる業種と企業で宅配ボックスビジネスが拡大中です。
【無人配送実験】
コロナ禍で、というより、コロナ禍により実装に向け加速している配送システムが「ドローン」や「無人ロボット」を使っての無人配送です。アメリカや中国などではドローン配送が本格実施まで進んでいますが、日本では法整備が整っていないこともあり、世界からはワンテンポ遅れています。しかし、楽天では2016年からドローン配送の実証実験をしており、KDDIやANAなどのドローン物流の開発に取り組んでいます。ドローンの開発に特化したスタートアップ企業も多く、活気ある市場となっています。
物流業界の「今」をセミナーで知ろう
コロナ禍によりあらゆる業界が、「これまでのやり方」から脱却しようとしている中、物流業界もまた例外ではなく変革期を迎えています。ラストワンマイル物流や、サプライチェーンの「今」を知り、ビジネスの先手とするためにもセミナーを受講しましょう。小売業者、外食産業などの方も物流業界の現状を知ることは、きっとプラスとなるはずです!ぜひどうぞ。
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【参考サイト】
カーゴニュース
>>>「タクシー宅配」、10月以降も継続へ=国交省
日経×TECH Active
>>>ラストワンマイルはロボットやドローンがお届け、楽天などが開始
DIAMOND Chain Store online
>>>アフターコロナの小売像その5 ラストワンマイル攻防戦
富士物流
>>>コロナ禍半年”新常態”で物流は様変わり パンデミックが起こした”変化”は…
Logiiiii!
>>>コロナが物流に与えた影響