<コロナ禍で注目を集める物流業界の新風「ラストワンマイル」とは?【1】>「物流業界を制する」可能性を秘めた「ラストワンマイル」市場 拡大の背景と問題点

新型コロナウイルスの影響下では、緊急事態宣言によるステイホーム、イベントの休止、企業活動の自粛などあらゆる要素が重なり、日本の経済活動が縮小しています。多くの業界がコロナ禍のダメージを受ける中、物流業界も例外ではなく、コロナ禍で急ブレーキのかかった物流需要は回復が鈍くコロナ不況業種の中でも上位に入るといえましょう。そんな物流業界の中で注目されている言葉が、「ラストワンマイル」です。最終拠点からエンドユーザーまでの「最後の1マイル」を重要視する新しい配送サービスは、いま「物流業界を制する可能性」を秘めていると言われています。ラストワンマイル市場は、どのように拡大してきたのでしょうか。その背景に迫ります。

 

「ラストワンマイル」について

まずは「ラストワンマイル」について、どのような意味が含まれているのかを見てみましょう。

●通信事業用語だった「ラストワンマイル」
もともと「ラストワンマイル」とは、通信業界用語でした。「通信利用者の建物から最寄の通信拠点施設までを接続する通信回線」を指し、通信回線を全てのサービス加入者宅まで引き込む事業目的「最後の1マイル」という意味を持ちます。現在では、「インターネット接続最終工程」を指す言葉として使われています。

●物流業界における「ラストワンマイル」とは?
物流業界における「ラストワンマイル」とは、 配送の最終拠点からエンドユーザーまでの「最後の1マイル」に関する物流サービスを指します。コロナ禍で注目を集めている物流業界の「ラストワンマイル」ですが、それ以前からあった言葉です。日本の物流は、貨物鉄道ネットワークやコンテナ船による費用対効果の優れたサプライチェーンが構築されていますが、最終目的地までの輸送「ラストワンマイル」においては、効率的に劣ることが多いうえ、物量に係るコスト全体の28%も占めるため「ラストワンマイル問題」として知られていました。

人道支援が必要な地域への物資輸送や、被災地域への物資輸送時に、最終拠点からエンドユーザー一人一人に分配できない問題や、都市部においても、混雑が原因で、ラストワンマイルにおいて効率が落ちるという問題です。しかし、今、物流業界において「ラストワンマイル」の需要が高まっており、ビジネスチャンスと捉えた各企業が、ラストワンマイル問題を解消するための対策を講じつつあります。

 

きっかけはコロナ禍?ラストワンマイル市場拡大の背景

ラストワンマイル物流の市場は、なぜ注目を集め始めたのでしょうか。その背景に新型コロナウイルス感染症の影響があります。

●新型コロナウイルスで停滞した物流業界
新型コロナウイルス感染症対策で発令された緊急事態宣言により、人々はステイホームを強いられ、日本経済に急ブレーキがかかりました。物流業界も例外ではなく、新型コロナの世界的パンデミックの影響を受けての国際貿易の停滞、小売店の営業自粛やイベントの中止などでの生産・消費活動の低迷でコロナ不況のあおりを直接受ける形となりました。物流の停滞は6月から7月の頭にかけて復調を見せてきましたが、停滞していた分を取り戻すほどの勢いはなく、回復の足は鈍いと見られています。

●コロナ禍での商習慣変化が「宅配」を変える
停滞する物流業界の中で、唯一光を見出してたのが「宅配事業の伸長」でした。ステイホームの影響による「巣ごもり需要」で、ECサイトでの通販やネットスーパーを利用して買い物をすることで「第三者との接触を最低限に抑える」ことができる為、利用者が激増したという背景があります。これを受け、客足が遠のいた外食産業がデリバリーでの収益をにらみ、宅配サービス業に力を入れ始めたため、Ubereatsをはじめ、出前館などのデリバリーサービス業者が注目されはじめたのです。さらに政府が提言する「新しい生活様式」では、「テレワーク」や「インターネット手続き」「インターネット注文」などを全面的にプッシュしているため、コロナが終息した後も、ネットオーダーで宅配してもらう購買行動は、今まで以上に生活の一部として浸透するのでは、という見方が強まっています。

 

ラストワンマイル物流2つの問題点について

コロナ禍においてスポットが当たったラストワンマイル物流ですが、運用にあたって「配送側とユーザーのコミュニケーション不足」と「ユーザー増加による人件費の高騰」という2つの大きな問題点を抱えています。

(1)配送側とユーザーのコミュニケーション不足問題
ラストワンマイルの最終到達点は、「ユーザーの手元」です。ユーザーが望んでいることは荷物が早く正確に届くことですが、もともとラストワンマイル問題でも挙げられていた通り、最終拠点から荷物が早く正確に届くためには、配送側とユーザーのコミュニケーションがとれいてることが前提となります。それをクリアするには、下記の問題点をクリアしなければなりません。

・配送ドライバー不足の解消
・配達状況の共有
・不在時再配達への対処
・宅配ボックスの増設

現在、物流業界では圧倒的にドライバーの数が足りていません。そのうえで、ラストワンマイルサービスは「再配達」が鍵となっています。希望の時間に再配達をしてもらいたいユーザー側の要望に配送側が応えられず、ドライバーの負荷が増えるほか、顧客満足度が下がる恐れもあります。そのため、配達状況をユーザーと共有し、在宅時間に配達ができるシステムの構築や、不在時再配達時間などに制限を設けるなど制度の見直し、そして、宅配ボックスの増設などに取り組む業者が増えています。

(2)ユーザー増加による人件費の高騰
もう一つの問題は、宅配利用ユーザーが増えることによる人件費の高騰です。例えば、多くのECサイトでは「送料無料」が一般的となっています。これは、ユーザーを確保しやすくするための施策で、収益としてプラスとなるものではありません。そのしわ寄せは運送会社への支払い削減という形となり、運送会社にとって人件費高騰を引き起こす要因となっています。コンビニ受取りサービスなどを取り入れる企業もありますが、コンビニ側への高額マージンを支払わなければならず、利益率の改善にはつながりません。この悪循環を改善するには、「送料無料」以外でポイント制の導入や有料の超特急配送などのサービスを充実させて、ユーザーを増やす方向への舵取りが必要となります。

 

「ラストワンマイル物流」を知るならセミナーで!

表に現れにくい物流業界の話も「宅配」となると、とて身近に感じる話題となります。コロナ禍で変わる物流業界。ラストワンマイル物流を知るためにも、セミナーの受講をお薦めします。ラストワンマイル物流やサプライチェーンなどの講座を受けて、知識を深めましょう。

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【参考サイト】
Good believed
>>>ラストワンマイル物流とは?

ウィキペディア
>>>ラストワンマイル(運輸)

大和物流株式会社
>>>ラストワンマイル

定期購入EC通信
>>>物流ラストワンマイル対策の現状|EC事業に関わる宅配問題の未来の解決法とは