<「品質管理」を基本から見てみよう【1】> 「品質」を「管理」するための基礎的な知識と品質管理に必要な視点について

世の中には、様々な種類の製品やサービスが存在します。何の不都合もなく、当たり前に利用できている製品やサービスの影には、その「品質」を維持するべく、企業が管理をしています。「品質」とは「お客様から求められたものを納めた時、どのくらい満足してもらえたか」という「お客様満足度」を表すもので、品質が良ければ顧客は満足し、品質が悪ければ顧客は離れていきます。至極当たり前のことですが、「品質」を「管理」することは一筋縄ではいきません。実際に「品質管理」というものは、どのように実施されているのでしょうか?品質管理についての基本的な知識や、QCDやPSMEなど、品質管理に必要な視点などをご紹介します。

 

「品質」の定義と種類

「品質」とは、「品物またはサービスが使用目的を満たしているかどうかを決定するための、評価の対象となる固有の性質・性能の全体」であると定義されています。簡単に言うと、「品物やサービスが顧客からのニーズや要求事項にマッチしているか」を決める特性を指します。市場に出回る工業品やサービスだけでなく「品質」の種類は以下のものが挙げられます。

(1)消費者や顧客のニーズを反映した製品であるかどうか「企画の品質」
(2)製品を市場へ出すために「製品企画」や「品質規格」を決める「設計の品質」
(3)製品を生産するための原材料や部品などを見定める「購買品・購入品の品質」
(4)満足の行く製品を生産するための「製造条件」「不良項目」「不良率」などを決める「製造工程における品質」
(5)検査工程で必要な「検査項目」や「管理基準」などを設ける「検査における品質」
(6)ユーザーが商品を使用する時に判断する「機能」や「仕様」などの「使用品質」
(7)アフターサービスなどの「サービスの品質」

企業ではこれらの「品質」を「管理」するために、ISO9000s(国際基準化機構)認証を取得するなどをして、品質管理を実施しています。

 

品質管理の考え方

品質管理の考え方には、以下の4つがあります。

(1)品質管理を行う考え方
「品質」の種類やユーザーのニーズを考えて、どう「管理」していくか考え方です。

(2)品質管理を維持する考え方
すべての種類の品質において、その品質を「維持」させるための考え方です。

(3)品質を改善する考え方
(1)(2)の段階で問題点が浮上し、打開するために、品質を改善するための手を考えます。

(4)組織を改善する考え方
品質が維持されず、または品質が下がった場合の改善点が生かされない場合は、組織を改善する考え方も必要となってきます。

上記のような考え方を踏まえP(Plan:計画)A(Action:行動)C(Check:検証)D(Do:実行)のPCDAサイクルを回しながら、品質管理を継続的に維持していく必要があります。

 

「狭義」と「広義」品質管理の2つの範囲

品質管理には、「狭義の品質管理」と「広義の品質管理」の2つの範囲が存在します。

●「狭義の品質管理」
製品の製造に関係する製造担当や、品詞部管理担当、生産技術担当、購買担当などが中心に行う品質管理活動の事で、主に「製品」のみの品質管理を行い顧客に提供します。

●「広義の品質管理」
ユーザーや社会の要求する品質を満たして、ニーズにマッチした製品やサービスを提供する品質管理活動を指します。近年では広義の品質管理が一般的となっており、ISO9000sやTQM(総合的品質管理)/「TQC(全社的品質管理)などは広義の品質管理活動の範囲となります。

 

品質管理の「QCD」と「PSME」の視点を解説

品質管理を実施する際には、どのような視点で「品質」を理解したらよいのか、「QCD」と「PSME」の視点で説明いたします。

●「QCD」とは?
QCDとは、「Quality」「Cost」「Delivery」を指した言葉で「総合的な品質」の視点です。

【Quality:品質】
Qualityは製品やサービスそのもののスペック

【Cost:コスト】
製品を製造する場合や、サービスを提供する際の原価、費用、価格

【Delivery:納期】
製品やサービスのお届け日や納品日

QCDは、「生産管理の三要素」と呼ばれています。どの要素も重要ですが、あえて順位をつけるならば、

Quality>Delivery>Cost

になります。企業においては性能やスペックを指す「Quality(品質)」や企業の顔ともいえるため厳守しなければならないものであり、「Delivery(納期)」はユーザーから要求されているものなので、他社との優位性を持つためには必要不可欠です。そして「Cost(コスト)」もまた、他社との競争する要素であり、ユーザーが求めているものでもあります。このように、QCDの各視点において「ユーザーをとりまく関k表」について考慮し「狙いの品質」を明確に設定できるかどうかが、生産管理のカギとなります。

●「PSME」とは?
「品質」に直結する要素ではありませんが、「品質に関わる要素」として近年ではPSMEの視点も合わせて考えられています。

【Productivity:生産性】
「時間当たり、どのくらいの数・量の製品を作れたか・サービスを提供できたか」などの現場効率を指します。

【Safety:安全】
製品のライフサイクルで、使用者を含む全ての関係者の安全を保証する視点。働く人の安全を守ることを前提としています。

【Morale/Moral:モラル】
働く人の心の健康や、人間の尊厳を重視した生産活動を行うことを社会的義務とした「労働安全衛生活動」を指します。

【Environmento:環境】
二酸化炭素の排出、海洋プラスチックなど、環境保全を含めた「地球環境保全活動」も取り入れた生産活動を推進します。PSMEはQCDとセットで考えられることも多いため、「広義の品質管理」のカテゴリーに含まれます。

 

セミナーで品質管理を学ぼう

製品やサービスの品質を維持するための品質管理は、企業活動の中で非常に重要な業務の一つです。セミナーでは、品質管理についての実務や品質管理における企業の姿勢を学ぶことができます。顧客からの要望が多い昨今、品質管理をしっかり学んで、ビジネスチャンスに活かしましょう。

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【参照情報】
品質管理の知識
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