<「品質管理」を基本から見てみよう【3】> 不適合を生み出す「ばらつき」の「5つの特性」と「5Mの管理」

「品質管理」が適切に行われていないと、品質に「ばらつき」が生まれてきます。「ばらつき」は、同じ価格で提供されている顧客に対し不公平感を与え、企業に対しての印象を悪くします。ばらつきによる品質の低下は、企業側の品質管理に問題があることは明らかです。品質のばらつきを出さないようにするためには、どのような対策が必要でしょうか?「ばらつき」を管理するための5つの特性「5M」について、見て参りましょう。

 

品質の「ばらつき」とは?

品質を管理する際、例えば「製品」ならば、品質管理で定められた規格や目標値があります。許容範囲内であれば「適合製品」であり、許容範囲外となると「不適合品」となります。製品を製造するにあたり、材料の購入、加工、組み立ての流れの中で「ばらつき」があると、不適合品が生じます。製造しつづけるにあたり、どこかで必ず「ばらつき」が発生しますが「ばらつき」を放置すると、不適合品の割合が多くなり、企業そのものの品質を下げることにもなります。ばらつきは必ず発生する、と申したばかりですが、製品に対してお金を支払う顧客にとって、不適合品を手にすることは、適合品を手にした顧客との間に不公平感を生み出すため、顧客目線で見ると、不適合品は「あってはならない」ことなのです。顧客からの信頼を維持するためにも、ばらつきが生じたら原因を究明し、改善する必要があります。

 

「ばらつき」の種類と原因

「ばらつき」には、いくつかの種類とその原因が存在します。それぞれについて、まとめました。

●ばらつきの「5つの特性」
品質のばらつきには、以下のような5つの特性があります。

(1)材料・部品のばらつき
(2)設備・機械のばらつき
(3)作業者のばらつき
(4)加工や組み立てなどの作業方法のばらつき
(5)検査・測定のばらつき

●ばらつきの原因
ばらつきが発生しやすい現場には、以下のような特徴が目立つとされています。

・作業者のミスの繰り返しが多発する
・品質が軽んじられ、納期やコストが重視される
・作業手順が現場ごとにバラバラで明確化されておらずその状況を責任者が把握していない
・工程内で不具合が発生する割合が多い
・顧客からのクレームや返品があっても再演防止せずに慣れてしまう

特に、ルール化や作業工程の明確化がされていない現場や、再演防止策が疎かになっている部署などでばらつきは起きやすく、品質は下がる傾向となります。

 

品質のばらつきの管理に重要な5つの特性を踏まえた「5Mの管理」とは?

品質のばらつきを管理するには「5つの特性」を踏まえた上で「5Mの管理」がカギとなります。「5つのM」について、ご説明しましょう。

(1)Material(材料、部品)
材料や部品にばらつき、例えば材料や部品の中に不良品が含まれていると、加工や組み立てに影響を及ぼし、安定した製品の供給ができなくなります。「Material」の段階でのばらつきを防ぐためには、受入れ段階での確認作業を怠らないことと、もしばらつきが発生するようであれば、購買部や外注部門を通じて取引先へ品質保証や再演防止を要求し改善に努めることが重要です。

(2)Machine(設備・機械)
設備や機械に不具合や故障が発生すると、製造する製品に「ばらつき」が目立つようになります。「Machine」の段階でばらつきを防ぐには、作業前に必ず機械の精度をチェックする、設備、機械の条件設定を作業標準に組み込む、定期的に点検や整備を実施するなどで対処します。

(3)Man(作業者)
作業者技能のばらつきも製品の加工や組み立てなどの製品の品質に影響を及ぼします。「Man」の段階でのばらつきを防ぐには、作業者の技能を可視化し、適切な配置を行う事と、作業者の教育や訓練を実施し、計画的に能力向上を図ることがポイントです。

(4)Method(作業方法)
作業方法のばらつきも、作業者のばらつきと同じく、製品の加工や組み立ての品質に影響します。「Method」の段階でのばらつきを防ぐには「作業標準書」や「QC工程表」などを作成して、手順通りに作業が行われるように教育、訓練、徹底周知します。品質改善などにより作業方法が変更された場合には、必ず作業標準書やQC工程表の改訂も必要です。

(5)Measurement(検査、測定)
製品に対しての測定機器の制度、測定条件、測定方法など、測定機器や測定者の技能に差があると測定データに「ばらつき」が発生し、製品の品質に影響を及ぼします。「Measurement」の段階でのばらつき対策は、測定機能の精度のばらつきをなくす、測定機器の測定方法や製品の「合否」の識別方法の標準化を実施し、ばらつきを防ぎます。

●ばらつき管理にはEnvironment(環境)がふくまれる場合も
上記の5Mに加え、近年ではEnvironment(環境)もばらつき管理に含まれるようになって言います。
この場合の「環境」は、工程の温度、湿度、大気圧などの影響を指します。
製造における環境は、材料、機械、設備、作業条件、検査、測定、あらゆる箇所に影響し、そのばらつきは仕上がり精度に影響を与えてしまいます。
Environmentにおいてのばらつき対策は、環境を一定条件下に保つこととされています。

 

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【参照情報】
KAIZEN BASE
>>>QCD+PSME【品質の定義と品質管理】

品質管理の知識
>>>「ばらつき」を管理する

>>>5Mの管理