<「品質管理」を基本から見てみよう【5】> ISO9001認証を取得するにはどうしたら良いか?取得までの手順を解説します

ISO9001は、「よりよい製品やサービスを提供するための仕組みを評価する国際規格」です。ISO9001の認証を取得することは、自社製品やサービスが「一定品質である」ことの証明となるため、是非とも取得したい規格でもあります。そればかりでなく、自社製品やサービスの品質を継続的に保持するために、全社で一丸となって品質管理に取り組むため、顧客満足度が向上し、企業イメージもアップします。ISO9001を取得するためには、どうしたら良いのでしょうか?取得までの流れを解説いたします。

 

ISO9001認証取得のメリットについて

ISO9001の認証を取得するには、事前の準備や企業全体での取組みなど、それなりに手間がかかります。そのメリットは、どこにあるのでしょうか?ISO9001認証取得のメリットを、下記にまとめました。

●顧客満足度が向上する
ISO9001認証を取得するために品質マネジメントシステムを構築し、PCDAサイクルを回し、継続的に改善を実行することで、品質を維持することができるので、結果的に顧客満足度の向上につながるメリットがあります。

●ばらつきがなくなり生産性が向上する
製造過程だけでなく、原材料の質や作業員の質、工場機械の質などに問題があると「ばらつき」が発生し、品質が下がりがちですが、ISO9001認証を取得する過程で作業や品質の均一化、マニュアル化が確立されるため、製品のばらつきが解消され、生産性も向上します。

●社会的信頼を得ることができる
ISO9001認証を取得することで、「国際的に認められた基準の製品やサービスを提供する企業」として、社会的な信頼を得ることができるので、入札や他社と取引をする際に有利になることがあります。

 

ISO9001認証取得のための流れ

では、ISO9001認証を取得するためには、どのような手順が必要でしょうか?ISO9001認証取得までの流れを見てみましょう。

(1)組織の体制づくり
ISO9001の認証を取得するためには、まずISO9001取得のプロジェクトチームを発足させ、組織の体制づくりをすることから始めます。プロジェクトチームのメンバーは品質管理に詳しい人間や経験者、各部署の代表など、年齢や役職にこだわらず、全社員の10%程度の人数を目安に構成すると良いとされています。メンバーが決まったら、トップマネジメントや書類作成担当者など役割を振り当てます。

(2)キックオフをして社内へ周知する
プロジェクトチームが動き出す際は、全社員に対してキックオフをし、ISO9001認証取得を周知します。ISO9001認証取得は、会社全体で取り組む必要があります。実際にプロジェクトチームに所属して動くわけでなくても、従業員にISO9001認証取得への取組みを周知し、当事者意識を高める必要があります。

(3)社内業務の分析
社内の業務全体を洗い出し、ISO9001で要求されている事柄と、自社の現状とのギャップを調査します。この調査で、無駄な作業はないか、不明瞭な作業はないかなどのピックアップと同時に、やるべきことや役割の見直しなどをピックアップします。洗い出しが決まったら目標を設定し、どの範囲までマネジメントシステムを適用すれば問題点を解決できるか考察し、適切な適用範囲を見出します。

(4)品質マネジメントシステムの構築
社内業務を把握できたら、ISO9001の要求事項の内容に則って、自社製品、サービスに関するルールを策定します。ISO9001の要求事項と現状の運用にギャップがあるようならば、その対応策を盛り込んだ品質マネジメントシステムを構築し、ルールも含めてマニュアル化をして、従業員へ周知します。

(5)品質マネジメントシステムの運用
品質マネジメントシステムは、正しく運用しなければ意味がありません。品質マネジメントの運用には、以下のポイントが必要です。

a.)社員教育の実施
キックオフ宣言をしただけでは、プロジェクトチームに参加していない従業員の当事者意識を、キープすることはできません。構築した品質マネジメントシステムについて、全社員への教育を徹底し、システムの目的や内容を理解してもらいます。

b.)現場での品質マネジメントシステムの運用
品質マネジメントシステムについて従業員の教育が済んだら、実際に現場で運用をします。現場で運用することにより、システム構築の時に気づかなかった問題点などが見えてきます。こうすることで、より良い品質マネジメントシステムへと改善することができます。

c.)取得に向けた内部監査とマネジメントレビューを実施する
品質マネジメントシステムを運用して、特に問題なくマニュアルの運用がスムーズに行くようになったら、自社従業員による内部監査と、経営者によるマネジメントレビューを実施します。従業員が内部監査に慣れていない場合は、コンサルタントが立ち会っても良いということになっています。内部監査の結果で、さらなる改善が必要な場合は、プロジェクトチームで検討し、改善策を講じます。

(6)ISO審査機関による審査・認証取得
品質マネジメントシステムに問題がないと判断できたら、ISO9001の審査を受審します。審査は、専門のISO審査機関に依頼して実施します。審査の流れは、以下の通りです。

a)SO審査機関で「文書審査」を受ける
文書審査では、文書を中心とした適正範囲の妥当性、ISO9001の規格要求事項に自社の品質マネジメントシステムが対応できたかなどが審査されます。文書だけではなく、審査員が審査対象企業へ訪れ、従業員へいろいろ質問をするケースもあります。審査員の質問に従業員が答えられなければ、品質マネジメントシステムが運用できていないことになってしまうので、従業員も質問に答えられるようにしておきましょう。

b.)文書審査での指摘事項の改善
文書審査で問題がある場合は、実施審査までに解決策を講じておく必要があります、

c.)ISO審査機関による「実施審査」を受ける
文書審査の約一か月後に、現場を見ながらの実施審査があります。ISO実施審査では、品質マネジメントシステムが正しく運用されているかどうかがチェックされます。ISO審査機関による実施審査での指摘箇所は、後日「改善報告」を提出しなければならないので、指摘箇所は控えておくことがおすすめです。

d.)審査登録をする
ISO審査機関へ改善報告と提出して登録可となれば、審査登録へ進みます。最終報告書と登録料の請求書が送られてきたら入金し、認証書を発行してもらい、晴れてISO9001取得となります。

 

ISO9001認証の「不適合」には2種類ある

ISO9001認証の「不適合」には、「重大な不適合」と「軽微な不適合」の2種類があります。

・重大な不適合
重大な不適合は、審査に落選した、という意味となります。落選となった場合は、構築した品質マネジメントシステムに欠陥がある場合なので、品質マネジメントシステムを再構築し、審査を受けなおす必要があります。例えば、構築した品質マネジメントシステムに重大な法令違反などが含まれていた場合などは、法令違反を解消した状態でないと、審査を受けることすらできないので注意が必要です。

・軽微な不適合
軽微な不適合の場合は、指摘された箇所を審査後2週間から1か月の間に是正処置をすれば、認証取得ができます。

 

スムーズにISO9001認証を取得するにはセミナーがおすすめ!

ISO9001認証を取得するには、一筋縄ではいきません。プロジェクトを立ち上げ、全社を挙げて取り組むばかりでなく、細かい要求事項に答えなければなりません。ISO9001認証をスムーズに取得するためには、セミナーで知識を蓄え、社内で活かすことが必要です。下記のセミナーでは、ISO9001に関してのメニューもあります。ぜひ、お試しください!

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【参照情報】
ISOプロ
>>>ISO9001を取得する流れ

>>>ISO取得・運用ガイド

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>>>ISO9001認証取得までの流れを4段階に分けて詳しく解説します

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>>>ISO9001認証取得の流れ