<自動運転時代の整備を支える「特定整備制度」スタート【3】> 「特定整備制度」整備の現場はどう変わる? 特定整備認証方法や変更点などを解説

自動運転車には自動ブレーキ装置や、衝突防止レーダーや障害物を感知するセンサーなど、魅力的な先進技術が使われています。完全自動運転はレベル5とされていますが、日本ではすでにレベル3の段階まで進んでいます。これら、自動運行車を含めた自動車の保安基準を見直すべく、国は道路運送車両法を改正し、従来の分解整備に加え、電子制御装置整備も可能とした特定整備制度をスタートさせました。特定整備で整備の現場はどう変わるのでしょうか?特定整備の認証基準や、特定整備に備ええるために用意するもの、法令の経過措置などについて解説してまいります。

 

特定整備の認証基準はどう変わる?

特定整備の新認証基準は、認証工場や指定工場などの整備議事業者に影響を与えます。電子制御装置整備を含めた特定整備作業を行うためには、今回の改正法で追加された認証資格を取得する必要があります。

●認証工場の種類は3つに分類
改正以降「認証工場」の種類は、3つに分類されます。

(1)分解整備のみの行う事業所
分解整備のみを行う事業所は、特に必要な手続きはありません。ただしこの先、整備できる内容がかなり限られてくるため、特定整備を必要とする場合は、外注業者に依頼することになります。

(2)電子制御装置整備のみ行う事業所
特定整備の電子制御装置整備のみを行う業者です。特定整備の認証を取得する必要があります。

(3)分解整備と電子制御装置整備の両方行う事業所
一つの整備工場で分解整備と電子制御装置整備の両方を行うことができる事業所です。こちらも特定整備の認証が必要です。

 

「特定整備」には認証条件クリアが必要
「特定整備」の認証取得には、以下の条件を満さなければなりません。

(1)人数とその資格
工場内で必要な工員数は、2人以上です。2人のうち1人を整備主任者として専任します。整備主任者は以下の条件のどちらかとなります。

・一級自動車整備士
・一級(二級整備士)二級自動車整備士、電気装置整備士、車体整備士(国土交通省主催の講習を受講した整備士)

2人のうち、最低1人でも上記条件に該当すれば、他のメンバーは整備士資格を持っていない工員でも条件をクリアすることができます。

(2)作業場の確保
特定整備に必要なエーミング作業は車種やメーカーによって、必要な機種が変わってきます。整備工場ですべての機器を賄うことは難しいとされています。そこで今回の認証では、電子制御装置整備の認証申請の際に、共有の施設を利用して申請することが可能です。

●特定整備工場の電子制御装置整備を他の業者と設備を共有
すでに特定整備の認証設備を持っている工場の設備を借りることで、認証を得ることが可能となるケースです。

●複数の特定整備工場が1つの電子制御装置整備を共有
複数の業者が、認証の基準をクリアしている場所を共有して認証得るとうケースです。

(3)整備用スキャンツールなど専用器具の準備
特定整備を実施するには、準備しておく専用器具もあります。

「1車種以上の車両において、排出ガス等発散防止装置、制動装置、舵取り装置及び前方監視用カメラ、レーダー等を用いたセンシングシステムの機能調整などを有すること」と基準としエーミングのできる整備用スキャンツールを準備する必要があります。この他に、従来の整備主任者の要件に加えて、点検、整備に係る機器や法令の情報や自動運転装置の技術情報などを、常に入手できるような体制づくりも義務付けられています。

 

運輸支局長による講習とは?

認証工場や指定工場などの整備工場が、認証取得をしやすい環境を確保するため、当面の間は運輸支局長が講習を実施し、整備主任者としての要件を満たせるような措置を講じる方針となっています。講習内容は以下の通りです。

①学科
自動車特定整備事業に係る法令など

②実習
エーミング作業など

③試問
学科及び実技の講習内容に基づく筆記試験

 

経過措置などいついて

改正法が施行された際、すでに電子制御装置整備に相当する事業を経営している整備事業者においては「施行日から起算して4年を経過する日までの認証を受けるための準備期間として引き続き事業を行うことができる」とされています。経過措置の対象業者は、自動車ガラス修理業者や、電子制御装置整備などが該当し、経過措置の範囲は実際に行っていた作業の範囲に限定するとしています。2020年(令和2年)3月31日までに電子制御装置整備の整備を行ったことのない事業所については、新たに電子制御装置整備の認証を受ける必要があります。また、整備主任者の資格要件に関しても、一年間の経過措置が設けられます。具体的には、以下の通りです。

・資格要件を満たしている整備主任者が事業所内に1人以上いること
・2021年(令和3年)3月31日までに講習を修了しなかった場合に、整備主任者の選任は解除される

経過措置期間が過ぎてしまう前に前述した講習を修了しておくと良いでしょう。

 

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【参照情報】
HIVE uchiha BLOG
>>>特定整備(電子制御装置整備)の認証取得の基準を解説

一級整備士の診療所
>>>【解説】特定整備制度の中間とりまとめ

FINE PIECE
>>>一般公開:自動車特定整備事業について(国土交通省)

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>>>自動運転車の点検見据えた「特定整備」制度4月1日スタート