<自動車産業の国際認証IATF16949による品質マネジメント【1】> IATF16949とは何か?ISO9001との違いについて
1885年、世界に初めてのガソリン車が誕生し、1900年代に工場での量産化が開始された自動車産業は、世界各国に自動車を普及させ、人々の暮らしと一体化しています。常に人の命を乗せて走る自動車は、3万点以上の部品から構成されており、どれか一つから不具合が発生した場合は、人命を脅かすリスクが跳ね上がります。そのため、自動車に対する市場での品質要求には厳しいものがあり、工場でも常に厳しく管理されています。顧客のニーズにこたえるべく、自動車産業では独自の要求事項で厳しく品質を管理する「IATF16949」という認証制度を設けました。IATF16949とは、具体的にどのような認証制度なのでしょうか?同じ土俵で語られるISO9001と、IATF16949の前身であるISO/TS16949と併せて解説いたします。
IATF16949認証制度とは?
IATF16949の概要と運営元について、見てみましょう。
●IATF16949の概要
IATF16949は、「International Automotive Task Force」の略で、自動車産業の国際的な品質管理マネジメントシステムを指します。めまぐるしく変わる自動車産業界の要求事項に対応できるため、現状の規制に反映した要件を考慮した自動車品質規格となります。「現状の規制に反映した要件」は、以下のような項目です。
・規則変更に柔軟に対応できるよう、製品要求事項を明確に把握できる体制を整えるため
・企業の社会的責任などの追加事項
・既に自動車に組み込まれているソフトウエア製品の要求事項確立のため
・関連部品やその他の部品に富士するプロセスの必要要件のため
・サプライヤー向けの管理とサプライヤーとの開発要件を明確化するため
IATF16949認証制度は、基本ルールである「IATF承認取得・維持ルール」に従い、IATFの監督機関から承認を得た第三者審査機関が、サプライヤーのマネジメントシステムを審査します。審査規格と該当する顧客要求事項に適合していると判定されたサプライヤーは、IATFの監督機関に登録し、自動車メーカーは登録されたサプライヤーから部材を調達する、という流れになっています。
●IATF16949認証制度の運営元
IATF16949の運営元となる「自動車メーカー9社」と「自動車産業5団体」は、以下の通りです。
【自動車メーカー9社】
・GM
・FCA(クライスラー)
・ダイムラー
・フォルクスワーゲン
・BMW
・フィアット
・ルノー
・プジョー
・シトロエン
【自動車産業5団体】
・AIGA(アメリカ)
・VDA(ドイツ)
・FIEV(フランス)
・ANFIA(イタリア)
・SMMT(イギリス)
「ISO9001」から「ISO/TS16949」そして「IATF16949」まで経緯について
「ISO9001」は業種や分野に関係なく、全ての工業製品やサービスに通じる品質マネジメントシステムです。ISO9001のPDCAを回していればレベルの高い品質管理を行うことができますが、自動車産業においては、ISO9001での「基本的な要求」にプラスして「自動車要求」が必要となります。通常、品質管理では「不良品を改善する・ばらつきをなくす」ことを目的としてPDCAを回しますが、自動車要求においては、不良品は「あり得ない・あってはいけない」が前提です。従って、不良品を出さないための予防のためのPDCAを回すことになります。
そこで、ISO9001に自動車要求を追加した「ISO/TS16949」が2009年に作成されました。ISO/TS16949は2015年に改定されていますが、ISO/TS16949から、さらに厳しい「自動車要求」を追加した「IATF16949」が2016年に誕生し、2018年にISO/TS16949は撤廃となりました。IATF16949ではISO9001にはない「6つのコアツール」(「APQP(先行製品品質計画)」「FMEA(故障モードと影響解析)」「CP(コントロールプラン)」「MSA(計測システム解析)」「SPC(統計的工程管理)」「PPAP(生産部品認証プロセス)」)と呼ばれる独自の要求項目を設けて徹底した品質管理を行います。未だ「IATF16949」と「ISO/TS16949」が混同される場合がありますが、現在新しく取得できる認証制度は「IATF16949」の方です。
IATF16949認証制度取得のメリット
では、IATF16949認証取得には、どのようなメリットがあるのでしょうか。下記にまとめてみました。
・世界の自動車業界市場へ参入とグローバルな受注が可能
・ビジネス継続を保証する顧客信用の確保
・不適合品の低減及び品質ばらつきの低減
・作業効率の改善
・プロセス審査によるシステム有効性の改善
・他社との差別化
・品質、生産性、コストパフォーマンスの継続的な改善をもたらすQMSが構築できる
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国際認証の中でも、特に厳しいと言われるIATF16949。これを取得することにより、世界の舞台で戦える大きな力となること間違いありません。セミナーでIATF16949について学び、品質アップを目指しましょう!
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【参照情報】
BSIジャパン
>>>自動車向け品質規格 IATF16949について
スリープロサポート株式会社
>>>グローバルスタンダードの実現
Plexus JAPAN
>>>IATF16949
ドイツ品質システム認証株式会社
>>>IATF16949