<これからは「ステークホルダー資本主義」【1】> 「ステークホルダー」の正しい解釈と「ステークホルダー資本主義」の意味について

日本は昔から「資本主義」の国ですが、ここ近年、ビジネストレンドの中で「ステークホルダー」という言葉を良く耳にします。2020年のダボス会議の議題になった「ステークホルダー資本主義」など記憶に新しいですね。株主だけでなく、従業員や地域・社会などあらゆるステークホルダーの利益に配慮すべきという「ステークホルダー資本主義」の考えは、欧米諸国を中心に徐々に世界に広がって来ています。ここではステークホルダー資本主義を知るために必要な「ステークホルダー」の正しい解釈と、ステークホルダー資本主義の意味などについて、見て参りましょう。

 

「ステークホルダー」とは?

「ステークホルダー資本主義」の前に、まずは「ステークホルダー」について解説します。

●「ステークホルダー」の正しい解釈とは?
ステークホルダー(stakeholder)とは、「企業を取り巻く関係者」を指します。その意味は、「利害関係者」や「損得に関わる人」など、直接的に解釈されることが多く、株主や取引先、従業員など「金銭的なつながりのある人や組織」を思い浮かべ人も多いでしょう。実際には、ステークホルダーの解釈はもっと広義にわたるもので「企業活動によって何等かの影響を受けるすべての者」であり、金銭的なつながり以外の関わりも含まれます。例えば、市場で競合するライバル会社や、雇用の増減で影響を受ける地域社会なども「ステークホルダー」となるのです。

●「ステークホルダー」が注目される理由とは?
日本で「ステークホルダー」が注目された背景に「CSR((Corporate Social Responsibikity:企業の社会的責任)」に対する意識の高まりが挙げられます。CSRとは、欧米諸国に古くからある「企業が持続し、発展するためには、社会の持続・発展が必要であり、企業はそれに貢献すべき」という考えから生まれたもので、ここに記されている「社会」が「ステークホルダー」に該当するものとされています。

日本においては、大企業による粉飾決済や、産地偽装など、企業倫理を問われる不祥事が続き、企業のCSRが注目されました。大手企業が、本来の業務とは違う、環境活動や、文化支援などで、CSRに取り組むなかで「ステークホルダー」への関心が高まり、後述する「ステークホルダー資本主義」が話題となったことで、ステークホルダーと向き合う企業が増えてきている流れとなっていると考えられます。

 

「直接的ステークホルダー」と「関節的ステークホルダー」の違い

ステークホルダーは、「金銭的なつながり」だけではないと解説しましたが、もっとわかりやすくすると「直接的ステークホルダー」と「間接的ステークホルダー」に分類されます。

●直接的ステークホルダー
直接的ステークホルダーは、企業に直接影響を与える人や組織、企業の活動によって直接影響を受ける、いわゆる「金銭的なつながりのある」関係者を指します。

・株主
・融資を行う金融機関
・従業員
・商品やサービスを購入する顧客
・取引先(原材料仕入れ・製品の取扱先・小売店など)

●間接的ステークホルダー
間接的ステークホルダーは、企業にとって間接的に影響を与える、影響を受けるなどをする関係者を指します。直接的ステークホルダーと比べると「金銭的なつながりのない」関係者となります。

・政府
・行政機関
・労働組合
・従業員の家族
・地域社会や地域住民

直接的・間接的を合わせると、企業をとりまくステークホルダーはかなり広範囲であることがわかります。これらのステークホルダーと良好な関係を築くことで「持続して発展する企業」の実現が可能となるのです。

 

ダボス会議2020で話題の「ステークホルダー資本主義」とは?

では、話題となった「ステークホルダー資本主義」についてまとめましょう。

●ステークホルダー資本主義が提唱された背景
「ステークホルダー」というワードがビジネストレンドを賑わせたのは、2020年のダボス会議で議題となった「ステークホルダー資本主義」が大きく関係しています。「ステークホルダー資本主義」という言葉は2019年8月に、アメリカの非営利団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が提唱したものです。ビジネス・ランドテーブルは、今日までの世界各国で通用している「株主資本主義」が、格差拡大や短絡的な利益志向など多くの問題を抱えているとし、これらの問題を解決するために新たな資本主義「ステークホルダー資本主義」を提唱すべく「ダボス・マニフェスト2020」を作成し、6つの重大項目を議題としました。

●ステークホルダー資本主「6つの重要項目」
(1)エコロジー
気候変動のリスクに対処し、生物多様性を守る対策を林床や海底までいきわたるように実施するため、いかに企業を動かすか

(2)経済
長期債務の負担を取り除き、インクルージョンの水準を今より上げられるようなペースで経済を機能させていくにはどうしたらよいのか

(3)テクノロジー
第四次産業革命のテクノロジー展開について、全世界的なコンセンサスを形成し、かつ「テクノロジー戦争」を回避するにはどうしたらよいのか

(4)社会
これからの10年間で、10億人の人々にスキルを再習得させ向上させるにはどうしたらよいのか

(5)地政学
世界各地の紛争解決のたに「ダボス精神」で橋をかけて行くにはどうしたらよいのか。非公式会合で和解を促進していく

(6)産業
第四次産業革命で事業を推進していくためのモデル構築において、企業を支援するにはどうしたらよいのか。政治的緊張に晒され、飛躍的なテクノロジーの変化やすべてのステークホルダーから増大する期待に動かされる世界で、どのように企業の舵取りを行っていくのか

これまで世界中が抱えてきた、経済、社会、環境、それぞれの問題が、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに膿が一気に噴出し、これまでと同じようなことをしていたのでは将来が立ち行かなくなることに危機感を覚るなか、ステークホルダー資本主義は世界中が注目する変化のきっかけであり、これからのビジネスシーンに欠かせない要素となることは間違いなさそうです。

 

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【参照情報】
RGF
>>>ステークホルダーとは?正しい意味と企業との関係を解説

IDEAS FOR GOOD
>>>ステークホルダー資本主義