<コロナ禍でDX(デジタルトランスフォーメーション)は加速したのか?【2】>DX推進の人材不足問題 カギとなる「DX人材」6つの役割とDX人材の育成ポイント

新型コロナウイルスの影響が長引き、戦後から長年続いた日本の「オフィスワーク」が大きく変わり、テレワークが当たり前となった2020年度。経済産業省が、「2025年の壁」を危惧して「DXレポート」でその必要を説いてきた「DX(デジタルトランスフォーメーション)」も、テレワークの拡大と共に、企業もDXの導入に前向きとなり、オフィスのDX化が順調に進んでゆくかと思われてきました。しかし、DX化を推進するにあたり、社内でデジタルに詳しい人材が確保できないという「DX人材不足」が浮彫りとなり、多くの企業でDX化が思うように進まないという課題点が浮彫りとなってきました。DX化の鍵を握る「DX人材」とは、どのような人材を指すのでしょうか?その定義や、6つの役割について紐解いて参りましょう。

 

DX化のカギとなる「DX人材」とは?

まずは「DX人材」について、解説します。

●需要が高まる「DX人材」
DXを必要とする企業が増えれば増えるほど、需要が高まる人材が「DX人材」です。DXは文字通り、DX化を実現するためのスキルを備えている人材を指します。一般的なイメージでは「IT系の知識がある人」や「データサイエンティスト」がDX人材の役割を担うと思われがちですが、企業のDX化に必要な要素は、単に「デジタルに強い人」だけではありません。DXには、既存のビジネスモデルやビジネスプロセスを見直すことも含まれているため「DX人材」には、ITだけでなく、ビジネスに関する知識やノウハウを持つ人材も必要となってくるのです。

●DX人材確保に必要な2つの区分
実際、経済産業省による「DXガイドライン」でも、DX人材を確保するための2つの区分が挙げられています。

・DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材を育成・確保する
・各事業部門において、事業内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組みをリードする人材、その実行を担っていく人材の育成と確保

これらの人材が社内ですぐ見つかる企業なら良いのですが、多くの企業は、まずDX化に向けての人材探しから難儀する、という現状となっているようです。

 

DX人材6つの役割

もう少し具体的にDX人材が担う役割について見てみましょう。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、「DX人材」の役割を6つに分類しています。

●DX人材6つの役割
①プロデューサー…DXやデジタルビジネスの実現に向けて主導するリーダー格を担う
②ビジネスデザイナー…DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進を担う
③アーキテクト…DXやデジタルビジネスに関するシステム設計を担う
④データサイエンティスト/AIエンジニア…DXに関するデジタル技術(AI・IoTなど)やデータ解析を担う
⑤UXデザイナー…DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担う
⑥エンジニア/プログラマー…デジタルシステムの実装やインフラ構築などを担う

●DX人材に求められるスキル
DX人材の役割を踏まえ、DX人材に求められるスキルをまとめると以下の通りとなります。

・IT関連の基礎知識
・AIやIoTなどの新しいデジタル技術に対する情報収集能力
・統計学に関する知識
・データ分析力

上記のスキルに加え、自分の会社の業績や事業ノウハウにも長け、総合的・俯瞰的に把握した上で、DXを計画的に推進・継続できるマネジメント能力も必要です。

 

DX人材育成のメリットとポイント

ただでさえ、日本のビジネスシーンにおいて、AIやIoTなどのデジタル技術は新しいものであり、歴史も認知度も浅いため、上記のような役割を担うDX人材はまだそんなに多くはありません。需要は急激に高まっていても、外部からのDX人材の獲得は難しく、ましては自社内でDX人材を確保することは非常に困難です。そのため、DX人材の確保には「社内でのDX人材の育成」することが有効とされています。

●DX人材育成のメリット
DX人材を育成すると、2つのメリットが想定されます。

①自社の事業内容や業務にとって常に最適化されたシステムで運用できる
②システムの一貫性を保つことができる

例えば、外部業者に委託をすると、自社の事業内容の把握や、社内の人材との意思疎通に時間をロストする上に、システム同士の互換性に不具合が生じやすい場合があります。さらに、外部業者の場合は常に最適化なシステムを提供できるわけではないので、時間の経過と共に、一貫性が保ちにくくなる恐れがあります。自社でDX人材を育成しておけば、開発から運用まで社内の人間で構築することが可能となり、常に最適化されたシステムでの運用することができます。

●DX人材を育成のポイント
社内でDX人材を育成するにための3つのポイントをまとめました。

①DX人材対象者の選定
まず大切なのはDX人材対象者の選定です。以下のような人物がDX人材に向いています。

・DXに必要なデジタル知識やスキルを持つ人材
・自社の業務や問題点に対する意識の高さを持つ人材
・探求心や柔軟な発想力を持つ人材
・リーダーシップやコミュニケーション能力を持つ人材

人材を集める場合は、部門・部署・階級にこだわらず、社内から幅広く募集することで様々な経験や知見を取り入れることとなり、新たなビジネスモデルの創出や、課題解決にも繋がります。

②DX人材育成環境の整備
DX人材を育成するには、社内環境の整備も必要です。最適なDXを構築するためには、最新のIT関連の知識やデジタル技術を学ぶことができる研修体制、資格取得のサポート体制などが不可欠です。

③DX人材育成過程の可視化
DX人材を育成する場合、その成長過程や進捗を可視化し、社内の全従業員で把握する必要があります。DXはDX人材だけで成し遂げることはできません。管理職も含めた全従業員で一丸となって取り組むことがとても重要となります。DX人材の育成過程を全従業員で共有することで、全体的なモチベーションやリテラシーが向上し、イノベーションを起こしやすい環境づくりへと繋がっていきます。

 

DX人材育成のヒントはセミナーで!

DX人材を育成するためには、まずDXについて詳しく知る必要があります。社内でDX人材を育成し、自社のDX化へとつなげるためにも、セミナーでDX知識を学びましょう。下記セミナーサイトからお探し下さい。

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【参照情報】
HRpro
>>>「DX人材」を社内で育成するメリットのほか、デジタル人材育成ポイントや企業事例を紹介

IoT
>>>DX人材の6つの役割と必要なスキル