<種類株式を活用したベンチャー投資【1】> 種類株式とは何か? 種類株式で投資する場合の基礎知識
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企業の資金調達といえば「普通株式」での取引であり、ベンチャー企業への投資も、普通株式で行われるのが一般的でした。しかし、2002年に法改正されて以降、ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資は、普通株式から「種類株式」での取引へと移行しています。種類株式を活用したベンチャー投資には、どのようなメリットがあるのでしょうか?種類株式についての基礎知識や、メリット・デメリット、種類株式でベンチャー投資する際の注意点などをご紹介します。

 

種類株式とは?

企業が資金調達をするための「株式」には、「普通株式」と「種類株式」が存在します。普通株式には通常、以下のような項目が備えられています。

・議決権
・配当受領権
・会社清算時の財産受領権
・その他の財産的権利の内容

種類株式には、これらの項目に変化が加えられた株式を指します。種類株式は、会社法108条1項において、9つの株式に定められています。

(1)剰余金の配当(会社法第108条1項1号)
剰余金の配当について、優先的に(劣後的)に分配を受ける権利のある株式

(2)残余財産の分配(会社法108条1項2号)
会社清算時に発生する残余財産の分配について、優先的に(劣後的)に分配を受ける権利のある株式

(3)議決権制限株式(会社法108条1項1号)
議決権を行使できる事項について、内容の異なる株式

(4)譲渡制限株式(会社法第108条1項5号)
譲渡による取得株式の取得について、発行会社の承認を要する株式

(5)取得請求権付株式(会社法第108条1項5号)
株主が発行会社に株式について、取得を請求できる株式

(6)取得条項付株式(会社法第108条1項6号)
会社が一定の事由が生じた条件として、取得することができる株式

(7)全部取得条項付種類株式(会社法第108条1項7号)
当該種類の株式について、発行会社が株主総会特別決議で、全部取得することを規定する株式

(8)拒否権付種類株式(会社法第108条1項8号)
株主の利益に重大な影響を与えるような重要事項について、その株主の同意を要することを規定する株式

(9)役員選任権付種類株式(第108条1項9号)
取締役を使命する権利のある株式

 

種類株式でベンチャー投資する際のメリット・デメリット

株式会社でベンチャー投資をする際には、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。企業側、投資家、それぞれの目線で見てみましょう。

【メリット】
●企業側にとってのメリット
種類株式のメリットは、株価を高く設定できる点にあります。高く設定できるということは、株の数が少なくても資金集めをしやすくなる、ということです。また、種類株式は議決権が制限されていることがほとんどないため、普通株式をたくさん持つ大株主の発言権を抑えることが可能です。つまり、経営への介入防止にも役立つということです。また、種類株式で得た資金を自己資金とすると、自己資本比率を調性できることもメリットとなります。

●投資家にとってのメリット
投資家にとっては、優先的に配当や残余財産を分配される権利が付加されるという点がメリットとなります。特に、ベンチャーキャピタルにとっては、残余財産分配の優先権が大きな意味を持ちます。

【デメリット】
●企業側にとってのデメリット
種類株式を発行する場合は、会社の定款を変更しなければ適用できません。また、定款の変更は、株主総会で決めないといけないので、臨時株主総会を開催するという負荷がかかります。スタートアップ企業の場合は、ベンチャーキャピタルなどから資金調達を受ける際に、普通株式と変わらない価格設定を要求されるケースや、ベンチャーキャピタルによる経営の介入などのデメリットが起こりうるので注意が必要です。

●投資家にとってのデメリット
種類株式は価格変動が乏しく、流動性が低いという特徴があります。そのため、株式の売買によっての利益は期待できません。さらに種類株式には議決権が制限されている場合があるので、投資先の経営に介入できないこともデメリットに含まれます。

 

種類株式を活用する際の注意点

種類株式でベンチャー投資をする際は、普通株式と種類株式の価格差を把握することがポイントです。普通株式と種類株式には価格差がある、ということを知ってはいても、実際に「いくらの価格差があるか」を把握してから投資する投資家は少なく、普通株式と同額に設定する、普通株式と価格差がない種類株式を高値で発行するなど、適正な価格で取引していないケースがあります。

このようなケースが多いため、上場前に証券会社から「過去に行った増資が適正な価格であったかどうかについて専門家の意見を取得するように」と指導が入るほどです。上場のプロセスに支障をきたす事もあるため、普通株式と種類株式の価格差は、把握しておくことは非常に重要です。

 

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【参考サイト】
デイライト法律事務所
>>>ベンチャー企業における種類株式の活用法とは?

プロシェアリング
>>>ベンチャー資金調達に活躍の種類株式。優先株式とみなし精算条項とは

資金調達ニュース.com
>>>ベンチャーキャピタルで資金調達するなら知っておきたい優先株とは