<世界の投資家が注目する長期的運用「ESG投資」【2】> ESG投資にはどのような種類があるのか。SDGsとの関連性は?

ESG投資は、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」への取組み、ESGの観点で、適切な事業を行っているかを重視する投資方法です。世界の投資家が注目するESG投資は、7つの種類に分類されます。ESG投資の種類の解説、そしてESG投資と関わりの深いSDGsとの関連性についてもまとめてみました。

 

ESG投資7つの種類を紹介

日本の公的年金積立金の管理、運用を行っている日本年金積立管理運用独立行政法人(GPIF:Government Pension Investment Fund )によると、世界で行われているESG投資を以下の7つに分類し、統計を行っています。

(1)ネガティヴ・スクリーニング
「ネガティヴ・スクリーニング」は、「罪ある株式(Sin stocks)」と呼ばれる、児童就労や動物実験、武器などを扱う業界の株式や債券を、投資対象から除外する投資手法を指します。「罪ある株式」に挙げられるのは、次の職種です。

タバコ/アルコール製品/ポルノ/ギャンブル/動物実験/化石燃料/武器/原子力発電

(2)国際規範スクリーニング
「国際規範スクリーニング」は、「国際的な規範に基いた最低限の基準に達していない企業」を、投資対象から除外する投資手法です。「国際規範」は、以下のような例が挙げられます。

・ILO(国際労働期間)が定める「児童労働」「強制労働」などの規範
・OECD(経済協力開発機構)が定める「経済成長」「開発・貿易」などの規範
・国際連合機関が定める環境ルールに違反するもの

(3)ポジティヴ・スクリーニング/ベスト・イン・クラス
ネガティヴ・スクリーニング、国際規範スクリーニングと違い、ESGに優れた銘柄のみを選抜して、投資する手法です。「ポジティヴ・スクリーニング」では、「人権」「環境」「従業員対応」「ダイバーシティ」に基準を設け、その中から評価やスコアが高い企業を選抜します。

(4)サスタナビリティ・テーマ投資
「サスタナビリティ・テーマ投資」は、社会や環境に関していた特定のテーマを設定し、テーマに関連する企業を対象とした投資手法です。サスタナビリティ・テーマ投資は、日本で初期に用いられたESG投資手法のため、日本国内では知られていますが、世界規模で見ると、その割合はごくわずかとされています。テーマとして挙げられるのは、「エコファンド」「水ファンド」「再生可能エネルギー投資ファンド」となります。

(5)インパクト・コミュニティ投資
「インパクト・コミュニティ投資」は地域社会開発を目的とした、社会的弱者や低所得層等、支援が必要なコミュニティや地域に根差した活動に対する投資を指し、銀行、財団貸付基金、マクロファイナンス機関等を通じて行われ、以下の二つの方法があります。

  • 社会や環境へのインパクトを重視して、財務パフォーマンスを犠牲にする方法
  • 社会や環境へのインパクトと財務パフォーマンスの2つを追求する方法

インパクト・コミュニティ投資は、社会的弱者や低所得者への援助につながるため、世界的に見ても投資額が増えているESG投資の手法となっています。

(6)ESGインテグレーション
「ESGインテグレーション」は、現在最も注目されているESG投資です。ESGインテグレーションには、以下のような特徴があります。

  • 特定のものを除外・選抜をせず、ESG観点を用いて全体の銘柄評価の中から判断していく
  • 非財務情報の中からどの項目を重視するかはそれぞれの機関投資家の判断にゆだねられる

このように、最終的な判断はそれぞれの機関投資家の判断にゆだねられるため、判断次第では多彩なバリエーションの手法を生み出すことが可能です。

(7)エンゲージメント/議決権行使
エンゲージメント/議決行使については、以下のように解釈されます。

  • 「エンゲージメント」は株主(もしくは将来株主)の立場から、投資先企業や投資を検討している企業に、特定のアクションやポリシーを採択するように働きかける方法
  • 「議決権行使」は株主総会において、株主の権利を行使し、企業の決定に影響を及ぼす方法です

 

ESG投資とSDGsとの関連性

2015年9月に、国連で採択された「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」は、気候変動や貧困撲滅、格差是正など17のゴールを定め、2030年をゴールと定めて取り組む国際指針です。「持続可能な取組み」という点で、ESGの観点と共通することも多く、機関投資家はESGの他、SDGsへの取組みも視野に入れて評価しています。事実、SDGsに積極的に取り組んでいる企業は、ESG観点に基いた企業活動も実施しており、持続的な事業活動が長期的なリターンを生み出しているケースもあります。企業の取組みにより、SDGsの効果が現れる事により、地域や社会、環境などへのリターンが出るなどの効果も期待できるため、ESG投資とSDGsの切っても切れない関係性がうかがえます。

 

セミナーでESG投資の世界に触れよう!

ESGの種類やSDGsとの関連性が分かったところで、もっとESG投資について興味がわいてきませんか?セミナーでは、ESG投資やSDGsについての知識を、わかりやすく覚えることができます。ぜひとも検索して、ESG投資の世界に触れてみましょう!

>>>最新のビジネスセミナーを探すなら『ビジネスクラス・セミナー』
※サイトにアクセスしたら、「ESG投資」や「SDGs」などでフリーワード検索してください。

>>>WEBセミナーで受講したい方なら『Deliveru(デリバル)』
※サイトにアクセスしたら、「ESG投資」や「SDGs」などでフリーワード検索してください。

 

【参照情報】
カオナビ
>>>【投資】ESGとは? 定義、投資の種類、企業事例、世界のトレンドを解説

じぶん銀行
>>>「ESG投資」が注目される理由 社会的な責任を果たす企業こそが利益を上げる時代

Sustainable Japan
>>>コミュニティ投資

マネとも!
>>>SDGsとESGの関係性とは?結論、SDGsを促進させるためにESG投資をしよう!