<世界の投資家が注目する長期的運用「ESG投資」【1】> ESG投資の基礎知識と注目されるその理由について

「投資」というと、投資家が資産を増やすため、または企業が収益を上げるために行うものというイメージが根強くありますが、近年では、企業のsustainability(サステナビリティ:持続可能な)を評価する考えが世界の投資家たちの間で普及し、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、企業統制(Governance)要素を考慮した投資「ESG投資」が、世界的に注目されています。ここでは、ESG投資の基礎知識として、ESGの考え方や誕生の背景、注目される理由、そして企業がESGに取組むメリットについて解説いたします。

 

ESG投資の基礎知識

まずは、ESG投資の基礎知識を見てみましょう。

●ESG投資とは?
ESGとは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の頭文字をとった言葉です。投資家が、企業を評価する際、企業が環境問題、社会問題、企業統治などの、ESGに取り組んでいるかなどを評価し、投資するかどうかの指標とすることをESG投資と言います。ESG投資は、これまでの短期成長での財務評価だけで評価して投資するスタイルではなく、企業がどの程度社会に貢献しているかを問う投資方法で、社会貢献をしている企業に投資し、長い目で見て、明るい未来を創る社会貢献の一つとなる、と考えられることから、EUを中心に広まっています。日本でも、年金運用をはじめ、ESG投資に取り組んでいる企業が、広がりを見せています。

●ESG(Environment/Social/Government)の定義
「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Government)」の3つの観点は、企業の長期的な成長のために必要な要素とされています。具体的には、どのような取組みを指すのでしょうか。ESGで、重視されている取組み例を、以下にまとめました。

環境(Environment)
「地球温暖化対策」「生物多様性の保護活動」

社会(Social)
「人権への対応」「地域貢献活動」

企業統治(Government)
「法令遵守」「社外取締役の独立性」「情報開示」

これらESGの取組みが、バランスよく行われている企業には、長期成長が望める企業として投資家から捉えられ、逆にESG観点の低い企業は、長期的な成長は望めないと、判断されるリスクを負うこととなります。事実、企業が成長するためには、ESGの観点を原動力とすることが必要であり、また、社会形成にも重要な要素も含まれていることもポイントです。

●ESGが生まれた背景と国連責任投資原則(PRI)
ESGが生まれたきっかけは、2006年に、当時のアナン事務総長が、機関投資に「環境」「社会」「企業統治」の観点、ESGを持つことを提唱したことがきっかけでした。ESGは、「国連責任投資原則(PRI)」に組み込まれ、各国の金融業界に共通するガイドラインとなっています。

【PRIの6つの原則】
(1)投資分析の意思決定のプロセスに視点を組み入れる
(2)株式の所有方針と所有慣習にESGの視点を組み入れる
(3)投資対象に対し、ESGに関する情報開示を求める
(4)資産運用業界において本原則が広まるよう、働きかけを行う
(5)本原則の実施効果を高めるために協働する
(6)本原則に関する活動状況や進捗状況を報告する

このように、PRIの原則を見ても、(2)と(3)にESGが含まれていることが分かります。

 

ESG投資が注目される理由

ESG投資が注目される理由は、「多様化している社会課題の顕現化」にあります。地球温暖化などの環境問題、貧困や戦争、薬物汚染などの社会課題などの、世界規模の問題に対して、企業は持続可能な(sustainability)取組みを求められています。

これまでは、企業側が短期的な財務評価にこだわる傾向が多くみられ、その結果「環境汚染・労働問題・不祥事」を引き起こし、企業の存続も危うくなるケースも少なくありませんでした。そんな中、2008年に起こったリーマンショックなどの金融危機が企業の短期的な利益追求への批判へつながり、世界の目はESG投資へ向けられるようになりました。

ESG投資は、「単にいいことをしている企業を評価する」ものではなく、「社会的責任をはたしている企業は長期的に見てリターンが大きい」という目で評価します。実際にESGの高評価を受けている企業は、「収益性」と「株価純資産倍率(PBR)の平均値」が高く、財務指標も安定している企業が多くあります。ESG投資がもっと社会に浸透することにより、企業価値の増大繋がっていき、結果的に「良い社会に向けての取組みが増える」ということにもつながるので、日本でもESGに取り組む企業が増えていくと予想されます。

 

企業のESG取組みによるメリット

ESG投資は、長期で安定したリターンを目指す運用です。企業を経営するにあたり、乱高下のある経済ショックや、異常気象による甚大な自然災害などが発生した場合、時代の流れによる法律・規制などの変更、労働問題や人権等に対する価値観の変容などで、消費者等の購買行動の変化などが起こりやすいこの時代に、企業はあらゆることで大きなリスクを背負う事があります。しかし、ESGに取組む企業は、このようなリスク管理が高く、有事の際には、逆にブランドを強化させているという傾向が見られます。

また、社会課題解決に向けて新規事業を創出しやすく、未来のキャッシュフローが増強される点にも注目です。何よりも長期でESGに取り組むことによって、結果的に社会貢献に繋がるので、キャッシュフローとIR活動の両面で、企業価値が向上するメリットがあります。

 

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【参考サイト】

経済産業省
>>>ESG投資

GPIF 年金積立金管理運用独立行政法人
>>>ESG投資とは

auじぶん銀行
>>>「ESG投資」が注目される理由 社会的な責任を果たす企業こそが利益を上げる時代