【企業法務の基礎知識37 若葉マークの入門編】 アイデアは宝物?特許法について学ぼう① 特許法とは?特許の申請方法について

お疲れ様です!いのりんです♪

さぁ、こたつの季節です!

まさか、こたつの上で仕事をする日がくるとは、
夢にも思っていませんでした。

あったかくてサイコーなんですが、
一度入るとなかなか立ち上がれなくなるのが玉にキズ。

こたつから一歩も出ずに全てを済ませるシステムがあったらなら、
きっと世界の宝となるでしょうに。

さて、観念してお茶を一杯淹れに行く前に、
法律のお勉強をしちゃいましょう!

今回から「特許法」について解説いたします。

 

「特許法」とは?

「特許法」とは、1959年(昭和34年)4月13日に公布された法律で、

「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、
 もって産業の発達に寄与することを目的」

としています。

第1条で「産業の発達」が謳われているとおり、
本来は形を持たない「発明」に対する権利を、
人為的に保護する目的で制定されました。

【参考】
e-Gov電子政府の総合窓口
>>>特許法

 

●「特許」とは何か?
特許法を先に語ってしまいましたが、
そもそも「特許」とはどのようなものなのでしょうか?

世の中には、
暮らしを便利にする「発明」が数多く存在します。

この発明を、「特許」として法的に保護する権利が「特許権」であり、
それを守る為の法律が「特許法」ということになります。

便利な発明は、時に、
営利目的で模倣されてしまうことがあります。

この発明に対して、
国が「特許権」という形で独占を許すことにより、

発明した側は胸を張って自分の発明だと
消費者にアピールすることができるため、

第三者の利益侵害を回避することができるのです。

余談ですが、アメリカの特許庁の玄関には、
第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンの、

「特許制度は、天才の火に利益という油を注いだ」

という言葉が刻まれているとのこと。

それぐらい、産業の発展には発明品が不可欠であり、
それを守るための特許が重要視されていたということが見て取れます。

●特許法の歴史
特許法の歴史は古く、一番古くに制定されたのは、
1871年(明治4年)の「専売略規則」という名前の法律でした。

発明者に7年から15年の専売権を与えるという内容でしたが、
明治維新直後のこの時代、

発明そのものが珍しかったうえに、
専売権を運用する能力を持つ人もいなかったため、
翌年には中止となっています。

その後、1885年(明治18年)になり「専売特許条例」が定められ、
何度か改正が行われた後に、
1899年(明治32年)に「特許法」と名前を改めました。

最初にも記しましたが、
現行の特許法は1959年(昭和34年)に公布されたものがベースとなっており、
以後、何度か改正を繰り返して現在に至っています。

 

「特許制度」と「実用新案制度」との違い

特許権と一緒に出てくる言葉が「実用新案制度」です。
「特許制度」と「実用新案制度」の違いは「保護の対象」にあります。

●特許での保護対象
特許法第2条によると、特許制度での保護対象は
「自然法則を利用した技術思想の創作のうち高度なもの」
とされています。

例えば、
金融保険制度や課税方法などの人為的な取り決めや、
計算方法や暗号などの自然法則に該当しないものは、
保護対象とはなりません。

また、有名な「ニュートンの万有引力の法則の発見」は「発見」のみであり、
「技術思想の創作で生み出された高度な発明品」でないため、
保護対象には該当しません。

●実用新案での保護対象
実用新案法第2条と第3条によると、
「自然法則を利用した技術的思想の創作」までは特許制度と同じですが、
「物品の形状、構造又は組合せに係るもの」が保護対象となります。

ポイントは「物品の形状」なので、
「創作の方法」に係るものは対象外となります。

ちなみに、特許制度には「高度なもの」という条件が付いていますが、
実用新案の方では高度である必要はありません。

 

特許権出願方法とその流れ

発明品は特許権を出願し、
取得しなければ保護の対象となりません。

いわゆる「特許を取った」というのは、
「特許権を取得した」ということになります。

その辺の仕組みは商標登録と同じですね。
では、特許権の出願方法とその流れを解説します。

【出願の流れ】
(1)先行技術がないか調査する
同じ発明や、類似する発明がないか、
特許庁の公式サイトにある「J-PlatPat」を使い、
先行技術調査を実施します。

(2)特許願を作成して提出する
特許願の出願方法は、
「書面での提出」と「インターネット申請」の2種類です。

①書面を提出する場合
ア.特許願の作成
・特許願の様式を特許庁の公式サイトからダウンロードする
・特許願いの書き方ガイドを参考にして作成する
・インキがにじまないA4版の白紙に縦長で印刷する
(様式を印刷した後に手書きの記入も可能)

イ.集配郵便局等で「特許印紙」を購入して指定の箇所に貼付する
※特許庁で提出する場合は特許庁内で購入可能
※特許庁関係の手続きは「特許印紙」を用います。収入印紙は使用できません

ウ.特許庁へ提出する
・受付窓口へ直接持参する場合は、特許庁1階の出願受付窓口へ提出する

(受付時間)
9時から17時まで(平日)
(土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月29日から翌年の1月3日まで)は、閉庁)

・郵送で送る場合
〒100-8915 東京都千代田区霞が関3丁目4番3号 特許庁長官 宛
※宛名面(表面)には、余白「特許願 在中」と記載して、
 書留・簡易書留郵便・特定記録郵便で提出する

エ.電子化手数料を納付する
書面で提出した場合は、出願日から数週間後に送付される払込用紙にて、
「電子化手数料」として1,200円+(700×書面のページ数)を納付する。

②インターネットを用いて出願する
インターネット回線を利用し、電子証明書と専用のソフトウエアを用いて、
自宅から出願することも可能です。

特許庁からの書類もオンラインで受け取ります。

【審査が始まるまで】
出願直後は、すぐに審査が始まるわけではありません。

出願してから「3年以内」に、
「出願審査請求書」を特許庁に送付して審査請求を行った後に、
はじめて審査の順番待ちに入れてもらえます。

審査官からアクションが来るまでの平均期間は、
9.5カ月と言われています。

出願審査請求書の様式は、
特許庁の公式サイトから「中間書類の様式」でダウンロードが可能です。

審査請求手続きは、13万円~16万円の費用がかかります。

【審査請求後】
登録が認められない場合は「拒絶理由通知書」が来ますが、
これに対しては、出願人は意見書の提出や、

手続補正書を提出することで、
拒絶理由を解消できる可能性があります。

審査を認める通知が来た場合、
特許が認められます。

【登録手続き】
特許が認められたら、登録料を納付します。
納付後1週間~2週間ほどで登録が完了します。

登録料は1万円前後で、
年間登録料を毎年支払う必要があります。

 

特許や商標を知るにはセミナーで!

特許や商標などは、
誰もが一度は耳にすることのある歴史のある法律ですが、
その実態は当事者になってみないとなかなか見えてきません。

特許や商標などの申請をする前に、
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知識は財産。今、かかわりが無くても、
いずれ役立つ日が来るかもしれません。

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次回は、
「特許にまつわるトラブルと損害賠償請求権」
について学んでみます。

いのりんでした♪

 

【参照情報】
ウィキペディア
>>>特許法