<知っておきたい「業務委託契約」の労務管理と注意点【2】> 「業務委託契約」と「雇用契約」の違いと労務管理上の注意点
働き方の多様化が進み、雇用形態も、労使の関係を結ぶ「雇用契約」から「業務委託契約」で自由な働き方を選ぶ人が増えています。専門性の高い業務を外注することで、社内のコスト削減や、リソースの確保などのメリットがあるため、業務委託契約を積極的に活用する企業もあります。その反面、業務委託契約の場合は、労務管理が難しい上「使用従属性」があると判断されたら、企業側で補償しなければならない事項が発生する場合もあります。「業務委託契約」と「雇用契約」の違いは、どのような点にあるのでしょうか?使用従属性の関係や、労務管理上の注意点なども交えて解説いたします。
「業務委託契約」と「雇用契約」の違い
「業務委託契約」と「雇用契約」のそれぞれについて見てみましょう。
●「業務委託契約」とは?
業務委託契約は、企業が専門性の高い業務や、特定の作業を、フリーランスや外部企業に委託する契約を指します。「業務委託」は法律で明文化されてませんが、成果物を完成させることで報酬が発生する「請負契約」や、成果物がなくても業務を行うことで報酬が発生する「委任契約(準委任契約)」は民法内で想定されおり、業務委託契約はこれらの契約を総称するものと解釈されており、立場は「対等」となります。業務委託契約を結ぶと「労働者」としては扱われないため、労働法が適用されません。業務委託契約を結ぶ場合は以下のような点に注意が必要です。
【労働法が適用されない労働環境とは?】
・1日8時間や1週40時間などの「法定労働時間」がないので「残業」が発生しない
・最低賃金を守る必要がないので、最低賃金以下の報酬が設定される場合がある。値下げも有りうる
・解雇規制がないため、突然の契約解除をされる可能性がある
・失業保険や労働保険の給付がない
●「雇用契約」とは?
「雇用契約」とは、一方が労働に従事し、一方が労働に対価を払う「労使関係」で成立する契約です。雇用契約の雇用形態は、正社員、契約社員、アルバイト、パートなど条件によって様々ですが、雇用契約を結んだに人には、労働法が適用されるため、雇用する側は労働時間や最低賃金を守らなければなりません。
業務委託契約でも労使関係になる「使用従属性」とは?
業務委託契約には、労働法下においての保護の義務はない、と前述しましたが「使用従属性」の有無によっては「労使の関係がある」とみなされ、雇用契約と同じと判断されます。その場合、業務委託契約であっても、労働法を適用させる必要があります。
●使用従属性「有」があると判断される可能性が高いケース
使用従属性が「有」と判断される可能性が高いケースを下記にまとめました。
・仕事の依頼を受けるか受けないか自由に決める権利がない
・指揮命令を受けずに自由に業務の遂行できない
・勤務時間や場所の拘束がある
・他人による代替えが効く
・労働時間で報酬が決められている
・給与所得として報酬が支払われて源泉徴収される
・福利厚生を受けている
・業務で使用する機械などを企業側が用意している
●使用従属性「有」と判断された場合の補償例
使用従属性が「有」と判断された場合には、雇用側は下記のような補償の用意を迫られる可能性があります。
・有給休暇の付与
・最低賃金を下回る場合は追加賃金の支払い
・保険料の負担(過去の分も支払う必要あり)
・未払いの残業代の支払い
・他の労働者との待遇を埋める補償
これらの補償は「業務委託契約」が「労働契約」と認定された瞬間から負う義務があります。業務委託契約において使用従属性「無」と判断されるには、客観的に見ても「業務委託契約の実態」にしておくことがポイントです。
業務委託契約の労務管理上の3つの注意点
使用従属性「有」と判断されないためにも、業務委託契約の労務管理が重要となっています。業務委託契約の労務管理について、3つの注意点をご紹介します。
(1)委任者は受託者に対して指揮命令を出さない
前提として業務委託契約においては、受託者と委任者の立場は対等となっています。よって、受託者は委任者の指揮命令を受けません。指揮できる時点で、使用従属性が認められてしまいますので、業務の進め方は受託者に一任するスタンスを貫きましょう。
(2)報酬は「成功報酬型」か「単発業務型」で支払う
労働契約の場合の給与は、時給制や日給制ですが、業務委託契約では「成果報酬型」か「単発業務型」で支払わなければなりません。
・成功報酬型…成果物に対して報酬を支払う
・単発業務型…業務の遂行に対して案件ごとに支払う
通常の労働契約のように時給制や月給制で支払うと、使用従属性「有」と判断されてしまいます。委託や準委託で、受託者が社内に常駐する場合は、時給制で報酬計算するケースもありますが、労働契約と混同されないように、委託者・受託者間で話し合っておく必要があります。
(3)業務委託契約書を作成して契約を結ぶ
「契約」は原則、口約束でも成立しますが、双方にとってリスクが大きく、トラブルの元となります。受託者と業務委託の契約を結ぶ場合は、必ず業務委託契約書を作成し、双方合意の上で契約を結ぶようにしましょう。特に業務内容、労働時間、報酬のタイプなどは、トラブルの原因となりやすいので、良く話し合う必要があります。
業務委託契約での労務トラブルを防ぐにはセミナーがおすすめ!
業務委託契約が法律でしっかり明記されていない分、労働契約との境界が曖昧になってしまう傾向にあります。気づかぬ間に業務委託の受託者を労働契約の条件で働かせている恐れもあります。まずは、セミナーで業務委託や業務委託契約について学び、しっかり知識を備えておきましょう。下記URLでは、業務委託や業務委託契約についてのセミナーをご紹介しています!
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【参照情報】
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>>>業務委託とは?知っておきたいポイント、メリット、デメリット