<「品質管理」を基本から見てみよう【2】> 「品質管理の考え方」とPDCAサイクルによる「品質維持」と「品質改善」に必要な「QC7つ道具」「新QC7つ道具」について
「品質管理」はただ管理するだけでなく、原材料、製造過程、製品、サービスなどの「品質」を「維持」し、必要とあらば「改善」しなければなりません。品質管理を実施するにあたり、「品質維持」と「品質改善」はどのように取り組めばよいのでしょうか?ここでは、「品質管理の考え方」をはじめ、「品質維持」のためのPDCAサイクルや「品質改善」に必要な「QC7つ道具」「新QC7つ道具」について解説いたします。
日本の「品質管理」のルーツは「デミングのサイクル」
日本の品質管理の手法は、戦後アメリカ人のデミング氏が伝えた「デミングのサイクル」がツールとなっています。デミングのサイクルでは、1950年当時にすでにアメリカで実施していた「企業を永続的に発展するためには「調査」「設計」「製造」「販売」のサイクルを絶えず回すこと」を重要視し、「品質管理の考え方」や「管理のサイクル」を伝えました。高度成長期の最中で、工業製品の品質が安定しなかった日本にとって、デミングのサイクルは衝撃的であったと言われています。現在では、デミングのサイクルを日本流へアレンジし「QCサークル活動」や「QC7つ道具」「新QC7つ道具」などの方法が生み出されたのです。
品質管理の基本的な考え方
デミングのサイクルをベースにアレンジされた日本流の「品質管理の基本的な考え方」は、以下のようになります。
(1)品質第一
顧客は、製品やサービスの「品質を第一」としています。それゆえに、提供する製品やサービスは一定の品質を保っていることが大前提です。企業でも全員が「品質を第一」とした考えで、品質管理をする必要があります。
(2)顧客志向
提供する製品やサービスに、顧客が満足しているかどうかは非常に重要です。そのため、企業は「顧客志向」や「マーケットイン」など、顧客最重要視の姿勢であることが問われます。
(3)後工程もお客様
目の前の工程だけでなく、次の工程の人、つまり「後工程」の人も「顧客」と捉え、自分の仕事が後工程の人にも喜んでもらえるような仕事をすることも、品質を維持するためには非常に重要なこととなります。「後工程もお客様」の考えが浸透すると、全員で品質管理をすることが可能となります。
(4)プロセスの管理
良い製品、良いサービスは、その「品質」だけでなく「良いものを生み出すためのプロセス」に着目することも大切です。結果が伴わない場合は、プロセスにトラブルを抱えている可能性があります。プロセスごと管理すれば、それぞれの仕事のやり方に自然と目が向くので、問題が発生しにくくなります。
(5)重点志向で問題や課題に取り組む
問題が起こった時、その全部に対してそれぞれ対策を打つのではなく「優先順位」を明確にして、影響力の高いものから改善活動をおこないます。後述する「QC7つ道具」の「パレート図」などを活用して、重点となる問題を把握します。
(6)事実に基づく管理をする
品質管理は、データが示す事実に基いて管理することが前提です。推測や憶測だけでなく、必ずデータを収集し、正しい分析をすることが必要です。
(7)管理サイクルを回す
「管理サイクル」は、別名「PCDAサイクル」と呼びます。「PCDAサイクル」に関しては、次の項目で詳細を解説しいたします。
(8)ばらつきの管理
製品やサービスには、必ず「ばらつき」が発生してきます。ばらつきは、放置すると重大問題が発するため、最小限に抑えることが重要です。
(9)変化点管理
「変化点管理」では問題が発生する前に、プロセス及び相互関係を迅速かつ敏感に察知して防ぎます。
(10)活動状況の見える化
誰が何をしているのかわからない状況ではなく、プロセスの状態を誰が見ても理解できる状態「活動状況の見える化」をすることも、品質管理の上では欠かせないポイントです。
(11)全員参加で品質管理に取り組む
品質管理は、各部所がそれぞれで頑張っても、全体の底上げにはつながりにくいものです。企業全体の組織の一人一人が意識をもってPDCAサイクルを回すことにより、非常に効果的となります。全員参加で取り組むこと、は品質管理においての大前提となります。
品質維持のためのPDCAサイクルとは?
品質管理の考え方でも触れた「PDCAサイクル」は、品質維持のための管理サイクルです。「品質」には、「企画の品質」「設計の品質」「製造工程の品質」「サービスの品質」など、様々な種類があります。「品質管理」をする上で、企業でのそれぞれの部署が自分たちの「品質」を「管理」します。そして、その品質を「維持」しなければなりません。品質を維持するためには、下記のような「PDCAサイクル」を回し管理していきます。
【PDCAサイクル】
1.計画(Plan)=P
目的、目標、作業標準、帳票などを明確にし、誰が、何を、何時までにどのように行うかを決める「実行計画」を指します。
2.実施(Do)=D
Planで立てた計画を、実行(Do)します。
3.確認・評価(Check)=C
Plan通りに実行できているかをCheckします。
4.修正・処置・対応(Action)=A
問題や修正箇所がある場合は、ただちに原因を分析してActionを起します。
PCDAサイクルを回していく上で、マニュアルや指図書、ガイドラインなどで「標準化」を図り、問題個所の対策には「応急対策」や「再演防止策」を講じていくことが重要となっていきます。
「品質改善」のための「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」について
「品質改善」するための手法の代表例として、「QC7つ道具」と「新QC7つ道具」が存在します。それぞれについて、下記にまとめました。
●「QC7つ道具」
製造に携わる人ならば知らない人いない、と言われている手法が「QC7つ道具」です。QC7つ道具は、日本の製造業を世界一へと押し上げた手法であり、企業で品質改善活動を実施する際、一番最初に学習する手法でもあります。その正体は、「データを解析するツール」のことで、はじめは7種類ありましたが、現在では8種類となっています。
・QC7つ道具の種類
(1)パレート図
「パレート図」とは、減少別に層別してデータを取る手法です。重要な不具合や問題点を見つける際に活用します。
(2)特性要因図
「特性要因図」は、「原因」と「結果」の関係性を整理する場合に使用し、問題の原因を整理します。魚の骨に似ていることから、「フィッシュボーンチャート」とも呼ばれています。
(3)グラフ
「グラフ」は、データの全体像を、わかりやすくするために用います。データの比較が見て、わかるようになります。
(4)管理図
「管理図」では、工程が安定であるかどうかが確認できます。自然なばらつきなのか、異常原因によるばらつきなのかを区別、管理することが可能です。
(5)チェックシート
「チェックシート」は、データの分類や項目別の分布、出現状況の把握するためのものです。
(6)ヒストグラム
データをいくつかの区間に分け、その区間のデータを集め、その度数を棒グラフで示したものを「ヒストグラム」と言います。棒グラフで示すことにより、データのばらつきを把握できます。
(7)散布図
「散布図」では、2つのデータ間にどのような関係性があるのかの相関関係をチェックします。
(8)層別
「層別」は、問題点を把握するために、データをグループ別に分けることを指します。
●「新QC7つ道具とは
QC7つ道具は主に製造現場において、不良解析データなどの数値分析を目的としているものですが「新QC7つ道具」は、数値解析ではなく、営業、企画、新製品開発など、間接部門などでの言語情報や文字情報によって問題の方向性を見出す「言語データ解析」の目的で生まれました。
・新QC7つ道具の種類
(1)新和図法
「新和図法」とは、言語データをグループ化し「整理」「分類」「体系化」することにより問題の「親和性」と「構造」が整理できる方法です。
(2)連関図法
複雑に絡み合った問題の因果関係を明らかにする場合は、「連関図法」を用います。連関図法は、原因と結果、目的と手段が絡み合った問題について、その関係性をロジカルにつないで行くことで、問題の解決方法を探る方法です。
(3)系統図法
目的や手段段を系統づけて対策を整理する場合は、「系統図法」を使用します。
(4)マトリックス図法
「系統図法」によって展開した方策の重みづけや役割分担などを決める場合は、「マトリックス図法」を用います。2つの要素を「行」と「列」に並べることにより、その対応関係が明らかになります。
(5)アローダイアグラム法
問題の解決作業が絡み合ってしまっている場合は、「アローダイアグラム法」を使用して「各作業の関係」と「日程のつながり」を明確にします。
(6)PDPC法
「PDPC法」は、目標達成までに、不測の事態が発生した場合の代替え案などを明確にしておく手法です。事前にあらゆる事態を想定し、プロセスの進行をできるだけ望ましい方向へと誘導します。
(7)マトリックスデータ解析法
「マトリックスデータ解析法」は、2つ以上のデータを解析することで、傾向がひと目で判別することが可能です。問題の整理や解決の糸口を模索する際に使用します。
QC7つ道具や新QC7つ道具を活用するためにはセミナーが有効!
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【参照情報】
品質管理の知識
>>>品質管理の基本的な考え方
>>>QC7つ道具とは
>>>新QC7つ道具とは