<コロナ禍を乗り切る!企業のための新型コロナウイルス対策【10】> 「事業継続」のために企業が考えること 新型コロナウイルス用BCP(事業継続計画)策定のポイント
新型コロナウイルスの影響は長期化する傾向にあると予想され、世界を巻き込んだ厳しい経済活動の制限のなか、企業はひたすら耐え忍ぶ時期が続きます。このような時期だからこそ、「事業継続」のための対策は必須であり、各企業が新型コロナウイルス感染症対策に向けたBCP(事業継続計画)策定を進めています。大規模災害に立て続けに見舞われた影響で、災害用BCPを策定し実施している企業は多く見られますが、災害用のBCPとパンデミック用のBCPとでは、業務の整備方法などに違いがあります。パンデミック下でのBCPを作成するにはどのようなポイントがあるのでしょうか?ここでは、「事業継続」のためのパンデミック対策用BCP策定ポイントをご紹介します。
新型コロナウイルス用BCPを策定するために把握しておくこと
新型コロナウイルスなど、感染症を想定したBCPを策定するためには、把握しておくべきことをまとめました。
(1)社会インフラは停止しないことが前提
災害時とパンデミックで決定的に違うのは、電気・ガス・水道・携帯などの社会インフラが停止することはない、という点です。例えば、人の密集を阻止するための、駅や空港など施設の利用制限、観光地への幹線道路の通行止めなどの意図的な封鎖、休業要請による施設の閉鎖、感染症が発生した施設の一時的な封鎖などはありますが、地震や火災などで倒壊や寸断、破損をしているわけではないので「インフラを復旧させるための時間と修復費用」を考える必要はありません。中小企業が災害用のBCPを策定する時に、インフラ復旧に関する費用がネックとなる場合がありますが、パンデミック対応ではインフラの壊滅的被害は想定されないので、その分、BCPの策定が進めやすくなるといえましょう。
(2)従業員の出社に関する行動規範について
災害時の場合、交通機関のマヒにより、帰宅困難者となったり通勤ができなかったりと、多くの従業員が物理的困難に陥ることがありますが、パンデミックの場合は、感染拡大防止策として国からの要請や、企業側の判断で、従業員の出勤を制限する必要に迫られるケースがあります。感染症に感染した社員が無理して出勤し、社内でクラスターを発生させてしまうことは、社内的にも大きな損失となる上に、社会的にもダメージが大きいため、事業継続に影響を及ぼす危険性があります。特に新型コロナウイルス感染症に関しては、体調不良が分かりやすいインフルエンザとは違い、発症後の症状が通常の風邪と変わらないこともあり「少しぐらい無理をしても出社すること」が可能です。これを防ぐためには、長年、日本のビジネスマンに染み付いてきた「少しぐらいの体調不良でも仕事を休まない」の概念を覆すような会社側からのマネジメントすることが重要です。「疑わしきは自宅待機」を重要な行動指針とし、会社全体での意識改革が必要となります。
「事業継続」するために社内で整備すべきこと
新型コロナウイルス下での緊急事態宣言で、経済活動が停滞しているこの時期、事業を継続するために社内では、どのようなことを整備すべきでしょうか?下記に、そのポイントをまとめました。
(1)事業の分類
パンデミック下での対策の場合、最優先事項は「感染予防と感染拡大の防止」となります。新型コロナウイルス感染症の場合、すでに緊急事態宣言が発令され、多くの企業が自粛や休業要請に応じ、業務を縮小している状態にあります。その中で「継続事業」「停止業務」「縮小業務」と、業務を分類し、整理する必要があります。
・継続事業
流行期においても、継続する業務を指します。通常時と同様に継続すべき業務、例えば医療業務、社会インフラ機能維持業務、官公庁での業務、流通や小売など人々の暮らしを支える業務などです。
・停止や延期をする事業
感染拡大防止の観点から、発生時に即座に停止または延期しなければならない業務を指します。展示会、教育、興行活動などの集団活動が該当します。
・規模や頻度を減らす事業
状況に応じて段階的に停止する業務を指します。継続戦略業務、停止戦略業務意外のものが該当します。
上記の業務以外にも「感染予防・感染拡大防止の観点から新たに発生する業務」が含まれる業種も存在します。
(2)テレワークやサテライトオフィスを活用し業務を絞り込む
出勤する従業員が半数以下になる場合、すべての業務が平常時と同じようなクオリティを保つことは難しく、稼働可能な人員で業務を継続する必要があります。大規模な業務フローや業務プロセス・スケジュールの見直しは、現在パンデミック下での社内活動が制限されているなかで調整することは厳しいとも想定されるため、まずは、身近な業務から、必要か不要かを洗い出し、簡易かつ効率的に実施する方法がないかを検討する方が現実的です。例えば、会議やミーティングの回数を減らす、印鑑押印を省略する、などです。既にテレワークやサテライトオフィスを活用し「重要な社員が相当期間欠勤しても当該業務が継続できる」体制作りを想定している場合は、テレワークでの事業実施体制の整備がポイントです。前述したとおり、パンデミック下では、社会インフラが壊滅することはなく、通信インフラも通常通り使用できるという強みがあります。サテライト事業実施体制を構築するためには、3つのポイントあります。
・社用携帯の貸与、必要な人へのパソコンの貸与など電子機器の整備
・情報管理セキュリティ対策、打ち合わせの記録、報告、連絡、相談など情報共有のルールか
・勤怠管理ルールの制定
テレワークやサテライトオフィスでの代替えが不可能な業種の場合は、戦略的閉店や、業務の標準化による応援体制の整備、実務実施方法の検討、実施方法の変更などの対応を要します。
(3)業務の標準化と業務フォロー体制のための訓練
「重要な社員が相当期間欠勤しても当該業務が継続できる」ようにするためには、社内で相互に業務対応やフォローができるよう、代替え実施要員の育成をすることを、日頃から意識して整備しておくようにできるとベストです。例えば、日頃から他の従業員でも相当程度の対応が可能となるよう業務実施要項等をマニュアル化し、書面化する、アクセス権限をもつことができる担当者を増員する、どの従業員でも最低限の対応ができるように知識やスキルを身につけさせるなどもパンデミック用BCPを作成するために重要な要素の一つです。また、社内の管理職等が判断や決定事項に置いて、お互いにカバーできるようにすることも大きなポイントです。特に緊急性を要する判断に絡む要素は、あらかじめ標準化し、それぞれに共有しておくことが有効です。パンデミック用BCPにおいては、「人員不足の中で業務を継続する」ことに主眼を置いています。平素から業務の標準化やジョブローテーションなども含めた、従業員教育がとても意味のあることと認識しておく必要があります。
(4)業種ごとの特殊性を把握した運用
パンデミック用BCPの場合、災害時BCPと違って、警戒を要するエリアが世界規模であるという大きな特徴があります。いつどこで発症するか分からない新型コロナウイルス感染症のようなケースの場合、全国にある支店で同時多発的に影響を受ける可能性や海外拠点に影響をける可能性が否めません。ウイスルからの直接的な影響でなくても、拠点のある国によっては、日本よりも深刻な状況に陥っている場合や、逆に日本からの干渉をカットしている場合もあります。海外と輸入や輸出で業務が成り立っている業種の場合は、事業継続そのものに大きな影響が出てしまいます。パンデミック用BCPを策定する場合は、「何かが不足する」ような事態や「ルートが遮断される」事態は、事前に代替え案を検討しておくことも非常に重要なポイントとなります。このように、感染リスクは業種・業態・地域によって大小さまざまな影響が想定されているため、自社の業務の状況を見極めた、慎重な対応と冷静な判断が求められます。
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