基礎から学ぶプロジェクトマネジメント

どんなに素晴らしい企画を立てても、そのプロジェクトがうまくコントロールできず、計画通りに遂行できないとなると失敗してしまいます。プロジェクトを計画通りに進める為には「プロジェクトマネジメント」が必要となります。

では具体的に、プロジェクトマネジメントとは実際に何をする事なのでしょうか? 良く使われるプロジェクトマネジメントの用語と一緒にご説明します。

 

1) プロジェクトマネジメントとは

「プロジェクトマネジメント」とは、「プロジェクトの成功」という目的を達成する為に、プロジェクトが計画通りに遂行しているのかどうかをコントロールしてゆく活動を指します。とはいえ、ただ闇雲にタスクをこなしてもそれはプロジェクトマネジメントとは呼びません。

プロジェクトチームの責任者である「プロジェクトマネージャー」を中心に、QEDと呼ばれる「品質」「コスト」「納期」をベースにプロセス(道筋)を構築し、「作業の系統化」「人的・物質的資源の確保」「進捗管理」「リスクの測定」などを様々な視点を持って主要な「成果物」を得て、初めて成功を迎え終了します。目的を達成させるためにも、プロジェクトマネジメントによるプロセスの構築、適切な進捗状況の把握は、非常に重要なポイントとなるでしょう。

プロジェクトマネジメントのベースとなる知識体系を集約したものを「PMBOK(Project Management Body of knowledge)」と言います。

 

2) プロジェクトマネジメントをコントロールコツは「PMBOK(Project Management Body of knowledge)」にあり

POMBOKとは、正式名称をProject Management Body of Knowledgeと呼び、要約すると「プロジェクト管理に関する知識のかたまり」、もしくは「プロジェクトマネジメントの知識体系」という意味を持ちます。

プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもので、アメリカの非営利団体PMIがガイドブックにまとめ、徐々に世界に知られてゆくようになりました。4年に一度ぐらいのペースで更新が行われ、2017年現在で第6版が発行されています。

それまで、プロジェクトの管理をするにしても「何をどう管理するか担当者によって違う」ケースが目立ち、プロジェクト管理とはなんたるかを教えてくれる教科書がない状態でした。PMBOKではプロジェクトの管理内容を「5個のプロセス群」と「10の管理エリア」に区分し、一つの体系としてまとめたのです。

この「5個のプロセス群」と「10の管理エリア」の考えが広まった事により、これまで「QCD(品質・コスト・納期)」だけを目指していたプロジェクトマネジメントが、「QCDに至るまでのプロセス」も管理対象となったため、より明確なプロジェクトのコントロールが可能となったのです。

 

3) PMBOKに記されている「5個のプロセス群」と「10個の知識エリア」とは?

プロジェクトマネジメントに欠かせないPMBOKの知識体系「5個プロセス」と「10個の管理エリア」についてもう少し詳細を見てみましょう。

■5個のプロセス群
PMBOKにある「5個のプロセス群」は、「プロジェクトの大まかな流れ」についての考えです。
プロジェクトは概ね以下のような流れで実施されます。

1.立ち上げ
「立ち上げ」は、プロジェクトを開始時に必要な情報を、「プロジェクト憲章」として定義するプロセスです

2.計画
「計画」プロジェクトの目標達成に照準を定め、プロジェクトマネジメント計画書を作成するプロセスです。

3.実行
立案した計画に沿って、プロジェクトの作業の指揮、マネジメントを実行します。

4.監視と管理
実施中の作業について、計画と差異が発生していないかを監視し、必要に応じて差異をコントロールします。

5.終結
プロジェクトが終了する時はプロジェクトやフェーズを終了させます。

 

■10個の管理エリア
PMBOKにある「10個の管理エリア」は、「プロジェクトにはそれぞれ管理すべきこと」を記しています。

1.総合管理
それぞれのプロセスに関する管理事項が、うまく作用しているか全体を把握します。

2.スコープ管理
プロジェクトの作業範囲を管理します。

3.スケジュール管理
別名「タイム管理」と言い、スケジュールを管理します。

4.コスト管理
プロジェクトにかかる費用を管理します。

5.品質管理
プロジェクトが、一定のクオリティを保っているかを管理します。

6.人的資源管理
人材は足りているか、適材適所かどうかを管理します。

7.コミュニケーション管理
プロジェクトに必要な情報が、きちんとメンバーに共有されているかを管理します。

8.リスク管理
プロジェクトによるリスクなどを管理します。

9.調達管理
材料や資金が滞りなく調達できているかを管理します。

10.ステークホルダー管理
プロジェクトに影響力のある人やスポンサーなどを管理します。

 

「5つのプロセス群」と「10個の管理エリア」は管理ツールで活用する?

PMBOKの考えをうまく組み合わせるには、「5つのプロセス群」と「10の管理エリア」をうまく組み合わせる事がポイントです。

例えば、プロジェクトを「実行」するプロセスの場合は、プロジェクトのクオリティを維持する「品質管理」、人材が適材適所に配置されているかを管理する「人的資源管理」、メンバーに情報供給が行き届いているかを確認する「コミュニケーション管理」などの管理が必要となります。「プロセス」に関わる「管理エリア」は必ず連動しており、プロジェクトを成功に導くにはどれも欠かすわけにはいきません。

それを可視化するために、ガントチャートなどのプロジェクト管理ツールを使用して、表にまとめる手法が一般的です。プロジェクトの種類によって管理ツールも多様化しており、Web上の手続きのみで取得できるので導入するケースも増えています。このように、プロジェクトマネジメントを実施するためには、まずPMBOKにある5つのプロセス群、10個の管理エリアを理解する必要があります。まずは「やるべきこと」を意識して企画を立案してみましょう。

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