<未来を創る新たな世界基準SDGs【4】> SDGsをビジネスへ活用するためのヒント”SDGコンパス”とは?

日本政府ではSDGsを浸透させるべく、拡大版アクションプラン2019などを打ち立て、SDGs事業を推進しています。SDGs事業は、企業の新たな経営戦略のカギを握るとも言われていますが、実際に活用している企業は多くありません。そこで、SDGsをビジネスへ活用するための指針として、SDGコンパス(SDG Compass)の存在が光ります。SDGs導入のために企業がすべきこととは何か?SDGコンパスの内容と合わせてご覧下さい。

 

SDGコンパス(SDG Compass)とは?

SDGコンパス(SDG Compass)とは、GRI、国連グローバル・コンパクトおよびWBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)が英語版で発行した「SDGs導入における企業の行動指針」です。日本語版は、グローバル・コンパクトネット・ワークジャパン(GCNJ)と地球環境戦略研究機関(IGES)が、共同で翻訳しています。「SDGs」の行動指針ですが、「SDGsコンパス」ではなく「SDGコンパス」と表記されているのが特徴です。

SDGコンパスは、元々、多国籍大企業向けに開発されてきた指針とされていますが、中小企業や民間セクター、各種団体などの組織も、それぞれの業務にあったカスタマイズが可能です。また、企業全体のビジネスモデルとしてだけでなく、個々の製品や部門レベルなどにも応用できるため、非常に汎用性の高い手引書と言えます。

 

SDGコンパスをビジネスに取り込むための「5つのステップ」

SDGコンパスでは、SDGsをビジネスに取り込むための「5つのステップ」を示しています。

【STEP1】SDGsを理解する
まずは、「SDGsを理解する」ことがポイントです。SDGコンパスにも「はじめにSDGsについて知り、企業活動にとってSDGsがもたらす機会と責任を理解することが大切である」と記されています。そのためには、2015年の国連サミットで採択されたSDGsに関するアジェンダや、外務省が発行するSDGsに関する資料、日本政府が主導する、SDGs推進委員会の「拡大版SDGsアクションプラン2019」などを、把握しておく必要があります。それらを把握した上で、企業がSDGsを有利に活用できるか、SDGsが従来の企業責任の上に成り立っているのかを確認し、SDGsを企業として実施する意義を見出します。

【STEP2】優先課題を決定する
SDGsには、17の目標と169のターゲットがあります。しかし、そのすべてが企業にとって重要というわけではなく、企業の業種や特性によって「選べるもの」となっています。各目標に対しての貢献度や、事業における機会やリスクは、多くの要因によって左右されるため、まずは企業の強みを生かせる優先課題を探すことから始めます。優先課題を設定する方法として、SDGコンパスでは「バリューチェーンをマッピングし影響領域を特定する」と記しています。

企業にとっての影響度と、ステークホルダーにとっての影響度が高い目標を設定し、バリューチェーン上での影響領域を確認することにより、リスクを減らすための必要な事項が洗い出す方法です。これらの結果を踏まえ、正および、負の影響が見えてくるので、企業として優先的に取り組む課題を決めることが可能です。優先課題を決定する場合は、内部での議論を重ねる他、外部のステークホルダーから意見をもらう必要があります。

【STEP3】目標を設定する
STEP2での優先課題決定方法をベースにして、優先課題の達成度高めるために、具体的かつ計測可能で期限付きの持続的な目標の設定を要します。目標を設定することは、組織全体での優先課題の共有や、パフォーマンス向上に資するとされています。この目標はKPI(key performance indicator 主要業績評価指標)と呼ばれ、社内外で優先事項の共有を促進し可視化することで、企業として持続可能性に対するSDGsへのコミットメントを示すことができます。また、目標を定めて、そこから現在を振り返り「今何をすべきか」というバックキャスティング手法が推奨されているのも特徴です。

これまでは企業の都合である「企業基点」で考えられていたビジネスが、SDGsを通じて「将来の持続可能な社会に何が必要か」を社内外の視点から検討する「社会視点」へと移り変わり、グローバルな社会的、環境的な課題に取組みやすくなります。

【STEP4】経営へ統合する
SDGsコンパスで言うところの「経営へ統合する」は、「経営へ組み込む」という意味です。SDGsの持続可能性項目を中長期目標や、企業の中核的な事業、あらゆる部門に組み込んでいきます。そのためには、事業部・人事部・開発部・環境部などの様々な部門も足並みを、そろえて進めていく必要があります。そのうえで、ヒト、モノ、カネの経営資源と紐づけていき、バリューチェーン全体を通して、持続可能性目標を遂行するための関係者をパートナーシップに取り込んでいきます。

【STEP5】報告とコミュニケーションを行う
企業は共通の指標や共有された優先課題について、ステークホルダーに持続可能性な開発に関する成果を報告しなければなりません。近年、投資家の間でESG投資への関心が高まっており、SDGsに関する進捗情報を定期的に報告し、コミュニケーションをとることはSDGs事業を持続させるためにもとても重要です。また、SDGs事業に関する進捗は、企業も自らの情報発信の中で示していく必要があります。

 

SDGsが企業にとって重要である5つの理由

SDGsを社内導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?SDGコンパスでは、以下のようなメリットを謳っています。

(1)将来のビジネスチャンスの見極め
SDGsは、地球規模で進められている世界指針です。確信的なソリューションや、抜本的な変革を進めている企業にとっては、注目すべき市場であることは明白なため、17の目標は将来のビジネスチャンスとなります。

(2)企業の持続可能性に関する価値の向上
企業の環境コストなどの外部性がますます内部化されるに伴い、SDGsの取組みは企業が資源をさらに効率的に利用する方法や、より持続可能な代替策に転換するような発想を持つなど、経済的なインセンティブを強化してくれる可能性があります。

(3)ステークホルダーとの関係の強化、新たな政策展開との同調
SDGsは国際、国家、地域レベルで、世界中のステークホルダーの期待と、将来の政策の方向性を反映しています。SDGsへ取組む企業は、顧客、従業員、その他のステークホダーとの協働が強化されます。逆に、SDGsを意識しない企業は、法的あるいは、レピューテーションに関するリスクに晒されるようになります。

(4)社会と市場の安定化
SDGsの17の目標には、社会が正しく機能するための項目も含まれています。社会が正しく機能しなければ、企業の成功もありません。SDGsの達成に投資することは、ルールが整備された市場や、透明な金融市場システム、腐敗場なく、良くガバナンスされた組織など、ビジネスの成功に必要な柱を支援することになり、社会と市場の安定化を図れます。

(5)共通言語の使用と目的の共有
SDGsは、共通の行動や言語の枠組みと考えられるため、共通言語となります。それによって企業が、その影響やパフォーマンスについて、より効果的にステークホルダーと意見交換をしたり、相互協力するパートナーを結び付けたりします。共通言語の使用と目的の共有には、世界の社会的課題に取り組むためには、とてもメリットのあることです。

 

このように、SDGコンパスではあらゆる企業、あらゆる組織が、すぐにでもSDGsに取り組むための手引きが記されています。実際にSDGsを企業戦略に落とし込むためのノウハウはセミナーでも学ぶことが可能です。まだ市場が若いSDGsというビジネストレンドを、いち早くモノにするためにも、ぜひセミナーをご活用下さい。

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【参照情報】
IGES(公益財団法人 地球環境戦略研究機関)
>>>SDG Compass SDGsの企業行動指針 ~SDGsを企業はどう活用するか~

SDGs総研
>>>ステークホルダーへSDGsをどう伝えるか 第3回(社内/インナー)

おしえてアミタさん
>>>SDGsをどのように企業戦略に活かせばいいでしょうか?