<未来を創る新たな世界基準SDGs【2】> 日本が行っているSDGsの取組み
Precision Agriculture and Agritech concept. Precision agriculture network icons on rice field.

「持続可能な世界を実現するため」に17の目標と169のターゲットから構成される「SDGs」は、2030年までの新たな国際目標として、世界中のあらゆる国で目標達成向けての取組みが行われています。日本も例外ではなく、国連に加盟する先進国の一員として、政府主導でSDGsに取組んでいます。日本政府が実施しているSDGsの取組みについて、ご紹介します。

 

日本政府が実施しているSDGsの取組み

日本政府では、SDGsの目標達成のために「SDGs推進本部」の立ち上げと、「国際ハイレベル政治フォーラム」への参加、優れた取組みを行う企業に対して「ジャパンSDGsアワード表彰」を実施しています。

(1)SDGs推進本部を立ち上げて「持続可能な開発目標」の達成を目指す
2015年に国連総会でSDGsが採択された後、日本政府では、まず国内の基盤整備に着手します。翌年の2016年5月に総理大臣を本部長、官房長官および外務大臣を副本部長に据え、閣僚全員を構成員としたSDGs推進本部を立ち上げました。SDGs推進本部では、日本国内での施策実施と、国際協力の両面でSDGsに取組む体制を整え「SDGs推進円卓会議」を設置しました。SDGs円卓会議は、行政、NGO、NPO、民間セクター、国際機関、有識者、各種団体などにより構成されており、2016年12月に行われた第二回会合では、日本におけるSDGs取組みの指針となる「SDGs実施指針」が策定されました。

<拡大版SDGsアクションプラン2019とは?>
2019年6月に開催された「第7回SDGs推進円卓会議」では、”「誰一人取り残さない」社会を実現するために、一人ひとりの保護と能力強化に焦点を当てた「人間の安全保障」の理念に基づき、世界の「国づくり」と「人づくり」に貢献。“SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に示す”ことを掲げ、「3つの柱」からなる「日本のSDGsモデル」を展開、発展させる「SDGs実施指針」を改訂しました。参考までに「3つの柱」を「外務省 拡大版SDGsアクションプラン2019」資料より、抜粋してご紹介します。

(Ⅰ).SDGsと連動する「society5.0」の推進
○ビジネス
・「SDGs経営イニシアティブ」に基づき策定した「SDGs経営ガイド」、TCFDに係るガイダンス等で企業のSDGsの取組みを促進、ESG投資の呼込みを後押し
・中小企業のSDGs取組みのための関係団体・地域、金融機関との連携を強化
・SDGsビジネスにおける国際的なルールメイキングに貢献するべく、官民連携を強化

○科学技術イノベーション(SIT)
・G20で「ロードマップ策定のための基本的考え方」を発表。各国のロードマップ策定を支援
・SIT for SDGsプラットフォームを構築
・SIT分野の「人づくり」と国際共同研究・STIの社会実装の強化

(Ⅱ).SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境に優しい魅力的なまちづくり
○地方創生の推進
・SDGs未来都市(今年度分近日決定)、地方創生SDGs官民連携プラットフォームを通じた民間参画の促進、地方創生SDGsを通じた「自立好循環」の形成
・2020年に開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会、2025年開催の大阪・関西万博の運営を通じたSDGs推進

○強靭な循環共生型社会の構築
・海洋プラスチック対策アクションプラン」「プラスチック資源循環戦略」をそれぞれ策定
・地域循環共生圏づくりに取り組む35団体を選定
・「パリ協定長期成長戦略」の策定・実施
・防災分野の「人づくり」(4年間で8万5千人の世界の強靭化に向けた人材育成)

(Ⅲ).SDGsの担い手として次世代・女性のエンパワーメント
○次世代・女性のエンパワーメント
・「次世代のSDGs推進プラットフォーム」の内外での活動を支援
・WAW!・W20において安倍総理から途上国の女性への教育支援(3年間で40万人)を表明

○「人づくり」の中核としての保健、教育
・UHC推進、国際的な保健課題の解決に貢献するため、グローバルファンドへの増資を含め支援を実施
・「教育×イノベーション」(3年間で900万人の子ども・若者支援)

 

(2)国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)でのフォローアップ
2015年にSDGsと同じく採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、「SDGsの実施レビューを国際レベルでフォローアップ・プロセス」と位置付けられた会合があります。それが「国連ハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum )」です。国連ハイレベル政治フォーラムは、4年に一度各国の首脳級が集う「総会主催会合」と、閣僚級により毎年開催される「経済社会理事会主催会合」に分けられます。参加国は、全て国連加盟国および、専門機関加盟国で構成されており、そこに日本も含まれています。国連ハイレベル政治フォーラムでは、SDGsのアジェンダの進捗状況について、国家レビューを実施しており、日本はこの会合の場において、「2030年に向けて民間企業及び市民団体へのSDGsの取組みを普及、拡大を促進しながらオールジャパンでSDGsに取組むこと」を表明しています。

 

(3)優れた取組みを行う企業・団体に対する「ジャパンSDGsアワード」での表彰
SDGs推進本部では、SDGs達成に資する優れた国内外の取組みを行っている企業・団体に対して、「ジャパンSDGsアワード」で表彰をしています。企業や団体の他に、NPO、NGO、地方自治体、学術機関も含まれ、以下の4つの部門が設けられています。

・本部長(総理大臣)賞
・副本部長賞(内閣官房長官)
・副本部長庄(外務大臣)
・SDGsパートナーシップ賞(特別賞)

ジャパンSDGsアワードの選考委員は、NGO、NPO、有識者、民間セクター、国際機関等の関係者が集うSDGs推進円卓会議構成員から成り立ち、広範な関係者からの様々な意見を交えて専攻されます。

 

SDGs達成に向けた日本政府の分野別の取組み

SDGs達成に向け、日本政府では「防災」「保健」「人権」「教育」「ジェンダー」での取組みを実施しています。

・防災
日本は昔から災害の多い国であり、近年でも東日本大震災や熊本地震、各地の台風や集中豪雨に由来する水害などに見舞われています。これらの被災経験を生かし、災害に負けない強靭な社会の構築、開発と国際協力における防災の主流化を目指して積極的に主導しています。実際に海外で大地震などの災害が起こった場合、発生の翌日には緊急救助隊の派遣する、倒壊した家屋を再建するなどといった国際協力を行っています。その際は、元に戻すだけの再建ではなく、家屋の強度調査を行い、耐震性の優れた家屋を建てるなどを、国際NGOと協力しあい防災面でのフォローも実施しています。

・保健
日本は、保健の分野が進んでいる国です。「全ての人が、生涯を通じて基礎的保健サービスを、必要な時に負荷可能な費用で受けることができるUHC(ユニバーサル・ヘルス・カレッジ)の実現」を目指して取り組んでいるのが、WHOの緊急対応基金、国際通貨基金(IMF)による大規模災害抑止・救済基金への搬出、感染症危機管理専門家養成プログラム等による人材育成の推進、国際緊急救助隊および人材登録システムの構築などの支援です。これにより、UHCの推進、国際的な保健課題解決に向けた議論を主導してゆきます。

・人権
日本政府では、「人権」の取組みとして、「ビジネスと人権」に焦点を当て2018年に、「未来投資戦略018」「society5.0」「データ駆動型社会への変革」を閣議決定し、企業行動の原則として人権尊重に係る行動計画の策定が明記されました。「ビジネスと人権」の行動計画第一段階として、企業活動においての人権確保について、日本の法制度や施策等を現状調査し、整理、意見交換会の実施で、行動計画に必要なものを把握しました。2019年前半には優先分野の特定、後半には行動計画の原案作成に取り組むことで、2020年の行動計画公表を目指します。

・教育
MDGsにより、2000年から2015年の間に学校に行けるようになった子どもは、世界で推定4300万人増加しています。未だに教育基盤が固まっていない国も多く存在しているのが現状で、SDGsでは教育および、職業訓練機会の提供が緊急の課題となっています。教育でのSDGs達成には、上記のような課題への支援や国家の主導者となるべく、人材育成のための高等教育機関や支援が必要です。日本政府では、海外への教育支援として、以下のような取組みを実施しています。

・相手国の開発政策や教育制度を踏まえ、自律的な発展に向けた主体的、協働的な取組みを重視するための協力
・自律に必要な技能とスキル取得の支援、国際的な教育のクオリティ維持に向けた取組みの支援
・女性や女児のエンパワーメントとジェンダー平等に配慮した教育協力の実施

・ジェンダーの新政策
日本政府では「ジェンダー」に関して、以下のような新政策を掲げています。
・女性と女児の権利の尊重、脆弱な状況の改善
・女性の能力発揮のための基盤整備

これらの政策のもと、女性に優しいインフラの整備、男女共同参画の視点に立った緊急支援、女性教育の推進と強化、女性の人材育成、女性のエンパワーメント推進などの具体的な支援をアプローチしています。

 

SDGsへの理解を深めるためには、「日本政府が何をしているのか」を把握することがポイントです。国の取組みを通して世界に視野を広げることで、ビジネスにつなげるヒントも見えてきます。よりわかりやすくSDGsを学ぶためのセミナーを探してみませんか?

>>>最新のビジネスセミナーを探すなら『ビジネスクラス・セミナー』
※サイトにアクセスしたら、「SDGs」でフリーワード検索してください。

>>>WEBセミナーで受講したい方なら『Deliveru(デリバル)』
※サイトにアクセスしたら、「SDGs」でフリーワード検索してください。

 

【参照情報】
外務省
>>>拡大版SDGsアクションプラン2019
>>>ジャパンSDGsアワード

gooddo
>>>持続可能な開発目標・SDGsに対する日本政府の取組は?