原価計算の費用の分類とは何か?その② 初心者向け原価計算基礎知識

原価計算を実施するには、まずはそれぞれの費用を分類する必要があります。原価算入の解説や、製造費用の分類などについて見てゆきましょう。

 

「原価計算の費用の分類」についての意義

1.原価参入について
原価計算は、「製品を製造するためにかかったコスト」を計算するものです。そのため、発生した費用の中から「製造」に該当するものを抜き出して考えます。製造費用に仕掛品(作りかけの商品)の費用を加算して、完成しなかった費用を差し引いて「製造原価」を計算します。

その上で製品の在庫金額を加減して「売上原価」も計算します。この製造原価を含めることを「原価参入」と言いますが、以下の費用は原価に含まれません。

・管理費…経営の管理にかかった費用
・財務費…お金の貸借にかかった費用
・販売費…販売にかかった費用
・損失…災害など突発的異常要素でかかった費用

費用の中には、原価に含むには曖昧なものもあり、各企業のルールで決めなければなりません。

 

2.製造費用の分類について
では、製造原価を求めるための「製造費用」は、どのように分類されるのでしょうか。
企業によって分け方のルールはありますが基本的には以下の通りのようになります。

・形態別分類
形態別分類とは、「「材料費(素材費、燃料費、工場消耗品費など)」「労務費(賃金、給料、従業員賞手当など)」「経費(原価償却費、棚卸減耗費、旅費交通費など)」など、財務会計における「費用」と結びついているものを指します。

・機能別分類
機能的分類とは、「材料費(主要材料費、修繕材料費、試験研究材料費など)」「労務費(作業種類別直接賃金、間接作業賃金、手持ち賃金)」「経費(各部門の機能別に分類)」など、「原価」を何に使用したかを示す費用の分類となります。形態別分類よりも、使用目的がはっきりしているのが特徴です。業態によっては、「直接費」と「間接費」に分類する事もあります。

・製品との関連における分類
製品との関連における分類は、「特定の製品に対して消費されたと直接的に認識される原価(直接費)」と「どの製品に対して消費されたか直接認識できない原価(間接費)」を分類するものです。直接費は、「直接材料費」「直接労務費」「直接経費」に、間接費は「間接材料費」「間接労務費」「間接経費」とさらに細かく分類して、例えば「直接労務費」と「製造間接費」を合わせたり、直接材料費以外の原価要素を総括して「加工費」に分類することも可能です。

・操業度と関連における分類
「操業度との関連における分類」では、生産設備の利用度に関係した分類となります。主に、「固定費(生産設備の利用度が変わっても金額が変わらない原価)」と「変動費(生産設備の利用度に比例して金額が増減する原価)」に分類しますが、例えば、ある範囲内の操業度では金額は変わらないが、その範囲を超えると金額が急増し、その後では、しばらく金額が変わらない「監督者給料」のような原価は、「準固定費」とされます。また、「全く利用しなくても一定額が発生するうえに、利用すれば金額も増加する水道費や電力量」などの原価を、「準変動費」と呼びます。企業や業態によっては準固定費も準変動費も固定費、変動費とみなされる場合もあります。

・原価の管理可能性に基づく分類
「原価の管理可能性に基づく分類」とは、発生した原価が管理できるかどうかを分類するものです。管理できるものを「管理可能費」できないものは「管理不能費」となります。例えば、「工場の賃借料」は、従業員にとっては管理不能費用ですが、工場のオーナーにとっては、管理可能の費用となります。このように、原価管理可能性に基づく分類は、「自らの意志で増減できるかどうか」がポイントです。

 

■原価計算の費用の分類についてまとめ
原価計算の費用の分類についてご説明いたしましたが、実際にこれらの原価を、一律に分類するのは非常に難しいとされています。それぞれの業種によってコストや製造量は違いますし、流行りすたりで製造やサービスの需要が増えたり落ち込んだりもします。一番難しいのが「製品ごとに原価を紐づけること」で、一つの工場を例にあげても製造しているものは一種類とは限らないので、あらゆるケースが想定されます。正しく原価を紐づけするためにも、まずは自社の製造プロセスをしっかり理解するように心がけましょう。

 

さらに、原価計算の費用の分類にもっと知りたい方、原価計算の造詣を深めたい方には、セミナーや講座に参加することをお薦めします。経験や知識が豊富な講師から、基礎から教えてもらうと、教則本で独学するよりも、効率よく学ぶことができるでしょう。

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