<コロナ禍によるテレワークの内部監査はどうします?【2】> リモート内部監査体制を整備するポイントについて

コロナ禍によるテレワークの拡大は、日本社会に今なお大きな影響を与え続けています。新しい働き方に合わせ、これまで押印廃止やDX化など、企業はあらゆる変革に対応せざるを得ない状況です。そんな中、従来であれば、訪問での現地調査、対面でのヒアリング調査、目視での資料チェックが当たり前であった内部監査も、テレワークに合わせた変革の時期を迎えています。テレワークの内部監査に対応した「リモート内部監査」を整備するには、どのようなポイントがあるのでしょうか?リモート内部監査の実態などと合わせて解説いたします。

 

リモート内部監査の実態は?

コロナ禍以前から、内部監査をリモートで実施する「リモート内部監査」は存在していました。すでにテレワークを導入していた企業によるもので、その割合は全体の15%程度と言われています。そして、コロナ禍において、リモート内部監査を実施した企業や。約4割に上昇しましたが、その中でも約60%~80%の企業は「効果的に運用できていない」と感じている現状があります。その原因として、ペーパーレス化においても以下のような慣習が残っていることが指摘されています。

・出社前提の業務システムが残っている
・押印の為に出社が必要
・業務管理や進捗管理をデジタル化できていない
・テレワークに対応する内部統制体制が構築されていない

テレワークは導入しても、紙資料中心の業務形態が継続しているため、重要書類がデータ化されていないケースが多く、結果的にリモート内部統制も上手く運用できないことが見て取れます。

 

リモート内部監査を実現にペーパーレス化は必須

これらを踏まえ、リモート内部監査の為にやるべきことは、まず「業務のペーパーレス化」です。

●ペーパーレス化の推進
リモート内部監査最大の課題は、「ペーパーレス化の推進」にあります。企業が使用する書類の種類は「受取書類」「発送書類」「契約書類」があり、これらの書類には「押印による承認」が必要となります。テレワークになっても、これらの書類の管理や押印が必要となり、結果的に出社しなければならないケースが後を絶ちません。リモート内部監査を有効に運用するためには、まず「紙書類」「押印」「出社を前提とした業務のシステム」から脱却することを目的としたペーパーレス化を進めなければなりません。

<ペーパーレス化推進ポイント①目的を決める>
・電子化する書類を決定する
・電子書類の押印方法を取り決める
・ペーパーレス化手法を決定する

<ペーパーレス化推進ポイント②業務と現状分析>
・現状業務プロセスを把握
・システムの洗い出しと可視化
・電子化する対象業務の業務プロセスを調査する
・導入効果を算出する

<ペーパーレス化推進のポイント③ペーパーレス化対応の業務プロセスを策定する>
・ペーパーレス化にそった業務プロセスやルールの見直し
・社内に導入するクラウドシステムの決定

●テレワークを前提とした内部監査業務フローの構築
テレワークを継続するのであれば、テレワークを前提とした内部監査の業務フローを策定する必要があります。紙ベースの書類からの脱却と同時に、出社前提の働き方を見直し、テレワークを前提とした内部統制業務も視野に入れながら構築しなければなりません。書類のデータ化だけではなく、アナログから切り替えられないものは、監査対応が円滑に進められるように、業務タスク表を作成し、出社のタイミングや、承認業務の有無などを一括してスケジュール管理をし、オンラインでもオフラインでも対応できることがポイントです。

 

遠隔地や海外事業所のリモート内部監査は可能か?

遠隔地や海外事業所のリモート内部監査は、どうなるのでしょうか?

●海外事業所のリモート内部監査
コロナ禍の目まぐるしい状況の中で、完全なリモート内部監査を構築するのは難しい問題とされています。例えば、海外の事業所の場合、経理や売り上げシステムの運用状況の把握、本社と連結してるのか分離しているのかの確認を要する上に、現地のガバナンス体制もチェックしなければいけません。これらすべての要素をリモートで把握することは厳しく、これからリモート内部監査を導入するのであれば、まずは前述した項目をどこまで実現するか、レベルを設定して精査する必要があります。例えば、内部統制上で、海外事業所の重要性が低いと考えるのであれば、ある程度の簡略化も可能となります。しかし、逆に非常に重要度が高いと判断される場合は、現地のプロバイダや外部委託業者に依頼するという手段もあります。

●遠隔地工場などのリモート内部監査
遠隔地の製造工場などをリモートで内部監査する場合は、在庫状況や工場の稼働状況、保管物の取扱い等を、現地からパソコンやカメラ機能を使い、ウォークスルーして実査する方法があります。工場内だけでなく、建物の環境や施設の様子などを監査する場合も、同じ手法が取れます。その上で、設計図や建物の構造を記したものをデータ化して送付すれば、現地調査の代替えとなります。

 

リモート内部監査導入のヒントはセミナーにあり!

リモート内部監査の導入は、一朝一夕で出来るものではなく、通常業務を回しながら、段階的に導入することがポイントです。コロナは終息しても、テレワークを継続するのであれば、リモート内部監査はこれからのビジネスに必要な業務となります。Webセミナーで内部監査やリモート内部監査のことを学び、時代の流れに対応できるようにしましょう。下記サイトでは、内部監査関連のおすすめセミナーをご用意しております。下記URLよりチェックしてください。

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【参照情報】
MS office
>>>リモート内部監査とは|メリットと進め方・ポイントを解説!

内部監査ドットコム
>>>内部監査とリモートワークの関係

OBC
>>>今、経理・財務部門に求められるテレワークの推進と監査対応・内部統制整備のポイント~withコロナ時代に適合するテレワーク体制整備手法とは?~