<コロナ禍によるテレワークの内部監査はどうします?【1】> リモート内部監査とは?メリットや課題点を解説

長引く新型コロナウイルスの影響により、日本社会にもすっかり「テレワーク」が新しい働き方として浸透してきました。もともとテレワークを導入する予定だった企業をはじめ、政府や都道府県知事などの要請により、止む無く一時的にテレワークを導入した企業など、テレワークを導入した理由は様々ですが、本来ならば「万全な体制を段階的に整えて」導入するはずのテレワークを、急ピッチで導入したため、時間の経過とともに浮き出た課題点もあります。例えば、押印の為の出社や、紙の書類を確認するための出社、対面で実施することが当たり前だった入社式や社員研修や株主総会の実施をどうするかなど、記憶に新しい話題です。そんな中、「内部監査」もコロナ禍によるテレワークの影響を受けている課題点のひとつです。現地訪問で実施していた内部統制は、コロナ禍でどう変わったのでしょうか?新しい働き方での内部監査「リモート内部監査」についてまとめてみました。

 

テレワークで内部監査は実施されるのか

コロナ禍でのテレワークにおいて内部監査は、どのように取り扱われたか見て参りましょう。

●内部監査のそもそもの役割
そもそも「内部監査」とは、「経営目標の達成に寄与する」ことを目的としています。経営目標を達成させるためには、社内の問題点をチェックし、指摘する監査員の役割があります。監査員は、企業の経営状態をチェックし、業務が予定通り進行しているか、ネックとなっているものはないかを見極め改善が必要なら改善案を提案します。この場合の「チェック」は、企業内にある紙資料を検証する業務も含まれています。そのため、内部監査は、現地を訪問し、対面で実施しなければならない業務でした。

●コロナ禍でのテレワークによる内部監査
テレワークによって、これまで当たり前だった働き方が一変し、業態や実務の運用を変えざるを得ない企業が増えました。内部監査もコロナ禍でのテレワークにより大きく影響を受けており、2020年5月の調査では、個別・年度の監査計画や監査の手法を見直したという回答が全体の半数を占めたとされています。その原因として、以下のような理由が挙げられました。

・現地への訪問ができない
・いくつかの監査項目が実施困難となった
・Webミーティングに切り替えるも監査の体制や環境が整っておらず断念した

このような理由を挙げた企業全体の7割弱を占めており、テレワークに合わせた内部監査の方法「リモート内部監査」を考える企業も少なくないようです。

 

リモート内部監査のメリット

テレワークが一時的なものではなく、恒久的なものと定着していくのであれば、内部監査もリモートへと切り替えてゆく必要があります。テレワークとリモート内部監査は相性がよく、主に3つのメリットがあります。

(1)出張費用・滞在費用を削減できる
内部監査では、企業へ赴いて、ヒアリングや意見交換をして、現地調査をします。リモート内部監査を実現できれば、調査員の出張費となる、交通費や宿泊費かからず、その分の費用を削減することが可能となります。また、移動時間や滞在時間もかからないため、時間の節約にもつながります。

(2)日程調整がしやすくなる
内部調査で企業の管理職や役職者に対してヒアリングをする際、その時間調整がネックとなる場合もありました。役職が上の人ほどスケジュール調整が難しく、なかなか日程が決まらない、決まってもリスケになるケースも少なくありません。その点、リモート内部調査では、これらのヒアリングをWeb会議で代替えすることが可能となるため、管理職、役職者の日程調整がしやすくなるメリットがあります。

(3)個人作業の生産性が上げやすい
内部監査の書類作成は個人作業になりますが、従来の内部監査の場合、移動や滞在などの合間を縫って時間を作って行っていましたが、リモート内部監査では、これまで移動や滞在で使っていた時間を、ヒアリングシートの作成や、依頼資料一覧の作成、資料・ドキュメントのレビュー、監査報告書の作成が可能となります。

 

リモート内部監査の課題点

内部監査をリモートで実施するには、まだ企業側の体制が整っておらず、急ピッチで進めたテレワークゆえの課題点が浮かび上がってきます。リモート内部監査における課題点を、下記にまとめました。

(1)検証できない書類が発生する
内部監査業務では、企業の機微な書類を扱います。監査員がリモートでアクセスできないケースも多く、実際に企業に訪問しなければチェックできない書類もあります。コロナ禍で内部監査を実施したところでは、紙資料の検証は見送り、電子化している帳票類についてのみ確認する手法とったようです。多くの企業では、紙書類の電子化が整備されておらず、機微な書類のチェックをリモートで実施するのは難しいとされています。対策としては、企業のDX化による書類の電子化整備を整える、内部監査員のセキュリティルールを定め、それを遵守させた上、原則リモート環境で実施する方針へと転向する、などの環境整備が必要となります。

(2)コミュニケーションロスの発生
リモート内部監査に限らず、Web会議などによるテレワークでは、従業員同士のコミュニケーションロスが課題点として指摘されています。各部門へのヒアリングをした際、Web会議では発言や理解の度合いが図れず、通信の関係で雑音が入った場合、表情や姿勢から参加者の意図を読み取りにくくなります。コミュニケーションロスを回避するためには、まずWeb会議の環境づくりが必要です。Web会議で使用するツールを精選する、意思疎通のための事前準備の徹底、会議ルールの設定などが望まれます。特に、会議をする前のアジェンダの確認と、ゴールの可視化は、内部監査意外のWeb会議運営にも活用できます。

(3)現地調査問題
内部監査でチェックするのは、資料や書類だけではありません。データセンターや特定セキュリティエリアなどの特殊な区域などは、施設内の構図や建物の周辺環境などを直接観察するケースもあります。しかし、コロナ禍では現地調査で訪問することは難しく、また、リモートでの調査も困難です。現地調査を必要とする場合は、設備仕様や、入退室管理機器等について設計図や仕様書などを使った検証方法などが考えられます。

 

リモート内部監査を知るにはセミナーで

コロナ禍でのテレワークは多くの企業が急ピッチでの導入を要したため、内部統制をリモートで実施する環境整備が整っていない状態となっています。リモート内部監査を実施するには、まずは企業のDX化が必要となっています。リモート内部監査やDX化について詳しくするには、セミナーが有効です。下記サイトでは、リモート内部監査や、内部監査についてのセミナーをご用意しています。ぜひご活用ください。

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【参照情報】
MSoffice
>>>リモート内部監査とは|メリットと進め方・ポイントを解説!

内部監査ドットコム
>>>内部監査とリモートワークの関係

OBC
>>>今、経理・財務部門に求められるテレワークの推進と監査対応・内部統制整備のポイント~withコロナ時代に適合するテレワーク体制整備手法とは?~