M&Aを考えた時に知っておいた方がいいポイントとは?

うちの会社にはもしかしたらM&Aが必要なのかも、そんな考えが頭をよぎった時、まず何から手をつけたらいいか、わからない人も多いはずです。まずはM&Aの目的や手法などの基本的なことから見てみましょう。

 

M&Aとは?

M&Aとは「managers(合併)&amalgamation(買収)」の略です。その名の通り「合併」は複数の企業を一つに統合すること、「買収」は企業が企業を買い取るなどの経営戦略を指します。

M&Aは、大企業同士、もしくは大企業が中小企業に対して行うイメージがありますが、実際には日本の市場において、大企業同士のM&Aは3割で、実は中小企業同士、または、大企業が中小企業に対して行うM&Aが7割も占めています。海外ドラマのような大規模なマネーゲームではなく、中小企業の事業継承問題や、新規事業への参入、企業を存続させるための資金調達など「企業が生き残るため」の戦略であり、実はとても身近な手法となってきています。

 

M&Aを考える時はどんな時?

では、どのような時にM&Aを考えるのでしょうか?
大企業、中小企業、それぞれに事情や理由が存在します。

1)大企業同士の場合
大企業が大企業に対してのM&Aを考える時は以下のようなケースが想定されます。

・国内市場で競争力をつけるため
近年、大手スーパーやドラッグストアでは、国内市場で競争力をつけるべく経営統合をして業界内集約を進めています。合併して新たな企業としてスタートする、統合しても元の企業の名前はそのままで経営を続ける、グループ会社化する、などその業態は様々です。

・国際的な舞台で戦える力をつけるため
鉄鋼会社や自動車メーカー、製薬会社、金融会社などは、年々国際的な企業再編が行われており、競争は激化しています。新商品開発、新規参入などの為にも、合従連衡を行って、国際的競争力を付けているとされています。

・民事再生手続きで再生を図るため
会社の将来が危ぶまれた時も「民事再生手続き」でのM&Aを意識するケースもあります。本来、「民事再生手続き」は債務を支払い可能な金額まで減額し、最長10年分で分割して債務者会社を再生する手続きですが、M&Aの場合は、100%減資を行った後に、スポンサー企業が資本投入を行う、有用な事業のみを譲渡するプリパッケージ型の事業譲渡などが例に挙げられます。

2)中小企業の場合
中小企業のM&Aの場合、譲渡会社と譲受会社の間での事情が異なる事が多く、中にはシビアで深刻なケースもあります

・後継者がいない
経営者一人に重要業務が集中する中小企業では、取引先や金融機関のツテ、株主との関係、事業のノウハウを、引き継ぐ後継者がいなければ、その企業の存続が危ぶまれてしまいます。すべての企業に都合よく後継者が存在するわけではなく、多くの中小企業が、特に親族経営会社が後継者問題に頭を抱えています。その場合、信頼できる従業員から後継者を選んで事業譲渡する、大企業に株式譲渡して経営を任せるなどのM&Aを考えるケースがあるようです。

・上場基準を満たすための補強
上場を目指そうとする企業が、上場基準に満たない部分を補うためにM&Aを検討するケースもあります。基準を満たすまで事業が育つのを待つよりM&Aで補強した方が時間をかけずに済むから、という理由が多いとのことです。

・事業の将来性に不安を覚えたとき
業界に行き詰まりを感じる、企業の業績が思うように伸びずに、経営が不安視される。そんな状況の時に、M&Aに救済を求めるケースがあります。新たな事業に手を出すにも、自らの手でイチから作り上げるのは時間も労力もかかるため、同じような状況の中小企業と手を組む、大企業に譲渡されるなどのM&Aを検討するケースもあります。

 

M&Aの手法にはどんな方法があるのか?

M&Aはその目的や企業の規模によって、それぞれ手法があります。

1)株式譲渡
最も一般的な方法である株式譲渡は、株を売買することによって、会社の議決権を譲渡します。契約関係、賃貸借、取引関係をとのまま継続が可能で、対象会社が子会社化するので、組織や企業文化の融合を心配する必要がありません。ただし、事業の「すべて」を引き継いでしまうため、潜在債務や簿外債務を継承してしまう恐れもあります。

2)株式交換・株式移転
経営統合する時や、持ち株会社へ移行するときは、株式交換や株式移転の手法を取るケースがあります。
株式交換や株式移転は、複数の会社が共同で完全親会社を設立して、経営統合する手法です。自社の株と他社の株を交換するため、100%完全子会社として経営することができます。交換するのは株式だけでなく、別会社の株式や有価証券なども対象なので、柔軟性の高いM&Aとされています。

3)事業譲渡
事業譲渡は、譲渡会社が譲受会社に対象事業そのものを売却し、譲渡企業が事業譲渡代金を受け取る仕組みのM&Aです。株式譲渡の次に一般的な手法と言われ、事業に必要な契約関係のみを承継できるため、潜在債務や簿外債務を引き継ぐ懸念がありません。その分、手続きに許認可を改めてする必要があり、譲渡するには従業員の同意も必要となるため、時間のかかるM&Aでもあります。

4)合併
合併は、複数の会社が法的に一つの会社となることを指します。買収対象は企業の全部なので、不要な事業や契約関係、潜在債務などを継承してしまうリスクや、合併元の会社同士で、企業文化摩擦が起こりやすいとされています。合併には、吸収合併と新設合併の2種類ありますが、吸収合併の方が主流となっているようです。

 

M&Aの知識を得るにはどうしたらいいか?

何も知らない状態でM&Aについて動いても、その目的や手法を見失ってしまうリスクがあります。まずは基本的なM&Aの知識を身に付けてから、検討に入ることをおすすめします。会社でお世話になっている税理士、会計士へ会社の経営時状況の見直しも含めて相談をする、M&A専門会社の相談窓口へ問い合わせるなどの手もあります。

自分で知識を付けたいという人には各種M&Aのセミナーもおすすめです。知っていると知らないとでは、相談窓口でのやりとりにも差が出てきますので、セミナーは是非おすすめです。

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