<withコロナ時代のM&Aと事業譲渡【2】> 新型コロナウイルスの影響で注目される事業譲渡のM&A

株式譲渡、吸収合併、株式交換など、M&Aの手法はいろいろありますが、コロナ禍の今、M&A業界で注目を集めている手法が「事業譲渡」です。強い逆風に煽られている日本経済の中で苦しんでいるのは、大手企業も中小企業も同じです。特に中小企業は。大手企業よりも体力がないため、一旦事業がストップしてしまうと、回復が不可能なくらいのダメージ負ってしまい、最終的には、廃業や倒産に追い込まれる企業も少なくありません。そんな中小企業を救う事業譲渡型のM&Aとはどのようなメリットがあるのでしょうか?事業譲渡が注目される理由や成功するポイント等について解説します。

 

新型コロナウイルスの影響で事業譲渡が増えた3つの理由

事業譲渡は、売り手側、買い手側にそれぞれ以下のようなメリットがあります。

●買い手側…「不要な業務」や「隠れ債務」などのリスクを避けて「必要な事業」だけ買い取ることができる
●売り手側…後継者問題や、廃業の危機を解決してもらえる

新型コロナウイルスの感染拡大と共に、買い手、売り手それぞれから、M&A仲介業者へ事業譲渡の相談件数が増加しており、実際に事業譲渡も増えています。その理由について、以下の3つの理由が考えられます。

(1)売り手企業の業績の悪化
新型コロナウイルスの感染拡大による中小企業の倒産リスクは、非常に厳しい状況となっています。倒産する理由の多くが「後継者不足」が挙げられます。通常であれば、後継者不足でも事業を継続することは可能でしたが、急激な売上の落ち込みや、度重なる休業要請など、大きなダメージが続くと、体力のない中小企業は、事業継承をする後継者探しも間に合わないまま、瞬く間に倒産や廃業に追い込まれてしまいます。コロナ前から後継者問題や、危うい経営状況を抱えた中小企業の多くは、コロナ禍により急激な倒産リスクの崖に立たされており、最後の手段として「事業譲渡」を選ぶ企業が増えてきているとのことです。実際に、自社の技術や、自社ブランドを守る最後の頼みとして、M&Aの「事業譲渡」という形で、優良事業を売却し、不採算事業を精算したいという相談が相次いでいます。

(2)買い手企業の業績の悪化
新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化しているのは売り手企業ばかりではありません。多くの買い手企業も、売り手企業と同じようにコロナ禍で業績が悪化しています。業績が悪化すると、あらゆる予算の見直しが入りますが、M&Aの為の資金などは、真っ先に削られる項目と言っても過言ではないでしょう。しかしM&Aに関する予算カットが、事業譲渡のM&Aを加速させている傾向にあるのです。

例えば、不安定な経済状況の中で、相手企業を丸ごと請け負うことになる「株式譲渡」のM&Aを進めることはかなり難しいとされますが、欲しい事業だけを買収することができる、事業譲渡のM&Aなら、少ない予算で実施することが可能なうえ、リスクも低くなります。このような買い手側のお財布事情からも、事業譲渡に注目が集まる理由がうなずけます。

(3)「経営資源引継ぎ補助金」の助成がある
2020年6月、新型コロナウイルス対策として、中小企業の引継ぎを支援する「経営資源引継ぎ補助金」という補助金制度が国会で成立しています。経営資源引継ぎ補助金は、事業譲渡や事業継承で獲得する売却額を多く残せる制度です。手にした売却額を債務の弁済や、生活資金に充てる余裕も生まれるのでメリットがあり、M&Aのハードルを下げてくれるという期待も高まっています。

 

コロナ禍での事業譲渡を成功させるポイント

コロナ禍で事業譲渡のM&Aを成功させるポイントについても見てみましょう。

●事業譲渡の戦略をきちん構築しておく
事業譲渡でM&Aを交渉する際は、戦略をきちんと攻略しておくことがポイントです。これは、コロナ禍に限らず、平常時にも言えることですが、行き当たりばったりでは、お互いに良い結果を生み出しません。買い取ってから簿外債務が見つかった、と言う話はM&Aにおいてよくある話なので、潜在リスクを徹底的に排除するならば、デューデリジェンスの活用などをおすすめします。また、売り手側も買い手側も、直接交渉するのではなく、仲介業者や専門業者に相談することもポイントです。トラブルを避けるためにも、専門家のサポートは重要です。

●タイミングを読み間違わない
大切なビジネスはタイミングが命です。特に、コロナ禍の今は「非常時」がずっと続いている状態です。いつなんどき、政府判断による経済活動の制限があるかわかりません。迅速に行動しつつ、長期化も視野に入れて、M&Aのタイミングに活かしましょう。

 

事業譲渡のデメリットも見落とさない

事業譲渡には、後継者問題の解決や、法人格の継続など、メリットも多いですが、デメリットが無いわけではありません。事業譲渡に関するデメリットについても、下記にまとめました。

●手続きが煩雑化する
買い手が売り手から事業譲渡をした場合、従業員や契約先と契約を結びなおさなくてはなりません。雇用契約や業務の契約など、買い手側の手続が煩雑化するめ、注意が必要です。また、譲渡範囲の決定も難しいので、事前に売り手側とよく話し合い、食い違いの無いように合意しておきます。

●競業禁止の義務について
売り手側のデメリットとしては、「競業禁止の義務」が挙げられます。「競業禁止の義務」は「20年にわたって同一の区域内や隣接する市町村の区域内において譲渡事業と同一の事業を行うことが禁止」という取決めです。事業譲渡した後も同じ事業を継続する予定がある企業は特に注意が必要です。

 

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【参照情報】
PR TIMES
>>>【みんなのM&A】コロナ禍で脚光を浴びる「事業譲渡」について

M&A総合研究所
>>>新型コロナで事業継承・譲渡が急増?買い手はいる?【失敗事例あり】

>>>事業譲渡とは?会社譲渡との違いや手続きの流れをわかりやすく解説!