<M&Aに欠かせないデューデリジェンスとは?【1】> M&Aに欠かせないデューデリジェンス意味とその種類

M&Aと言えば、少し前までは大企業が中小企業に対して一方的に行う買収、というようなイメージが強くありましたが、近年、中小企業のM&Aといえば、後継者不足や経営難を乗り切る一つの手段として認知されてきました。コロナ禍においてもそれは例外ではなく、事業継承のためにM&Aという手段を選択する中小企業は増えてきています。売り手側にしても、買い手側にしても、会社の命運を握るM&Aは、慎重に進めなければなりません。そこで重要なのが「デューデリジェンス」です。M&Aを契約する前に、買い手側が売り手側の企業について調査をするデューデリジェンスには、隠れたリスクを把握するためにも必要な調査です。今回はデューデリジェンスについて、その役割と種類についてまとめてみました。

 

M&Aにおける「デューデリジェンス」とは?

デューデリジェンスは、英語では「Due Diligence」と表記し、直訳すると「適当な(相当な)調査」という意味を持ちます。デューデリジェンスは買収を行う前に、売り側企業の事業の実態を事前には把握しするための調査の事を指します。一般的に「デューデリ」や「DD」と訳されることもあり、日本では「買収監査」という表現も使われる場合もあります。デューデリジェンスは、買い手側にとって重要な調査であり、それを怠ると、想定外のリスクを背負い込んでしまう恐れがあります。

 

デューデリジェンスを行う2つの目的

デューデリジェンスは、M&Aを実施する上で欠かせない重要な調査です。重要な調査であることを説明するために、デューデリジェンスを行う「2つの目的」についてご説明いたします。

(1)買収対象企業のリスクを把握する
買収は買い手企業にとって大きな買い物であり、そして大きなビジネスです。もし売り手企業に借金やトラブルなどがあると、そのリスクをそのまま被らなければなりません。売り手企業の財務や法務だけでなく、人材や経営など、細部にわたりリスクがないかを調査する必要があります。買収金額の少ないM&Aであれば調査をしなくていいかというとそうではなく、買取金額が安くても、それを上回る借金があった場合、大きなリスクとなります。買取額や取引の大小にかかわらず「デューデリジェンスは必ず実施するもの」と認識する必要があります。

(2)経営統合するための準備
デューデリジェンスの実施には、「経営統合のための準備」であることも含まれています。買収する企業の事業計画は、買収後に自社にとっても重要な経営情報です。売り手側企業の経営情報を調査し、買収後の経営統合に役立つ情報を把握することがポイントです。

 

デューデリジェンスの「6つの種類」とは?

デューデリジェンスには、6つの種類が存在します。

●ビジネスデューデリジェンス
ビジネスデューデリジェンスとは、売り手側企業の取引状況、ビジネスモデル、市場の環境、技術の発展、関連法規の変遷、新規参入に関する障壁、コストの分析、オーナー経営者など、社内の重要人物へのインタビューを通して、買収後の事業継続の安定性や成長性について予測をする方法です。これにより、取引価格の妥当性や、M&A成立後のシナジー効果がどれだけ得られるかなどを把握します。ビジネスデューデリジェンスには、ビジネスの先を読む目線が必要となるため、経営コンサルティング会社に依頼するケースが多いようです。

●財務デューデリジェンス
財務デューデリジェンスは、売り手側企業から提供される財務情報を、買い手側で把握し、現在の財務状況を評価した上でリスクを特定します。同時に、将来委の事業計画の基礎となるキャッシュフローの予測も行われます。例を挙げると、貸借対照表分析、損益計算書分析、キャッシュフロー計算書分析、事業計画分析など各種の分析をはじめ、過去の税務調査実績からの税務上の問題点の把握、申告書から現在の税務リスクなども分析して情報収集を行います。財務デューデリジェンスでは、財政状態や収益性を正確に把握することが必要となるため、会計事務所などの専門家に依頼します。

●法務デューデリジェンス
法務デューデリジェンスは、売り手側企業の法的リスクを洗い出し、買収スキームや最終契約書などの交渉を効率よく進めるために行う調査のことです。別名「リーガルデューデリジェンス」とも言われ、売り手側企業が抱えていた法律的な問題や紛争の種などが買収後に法的問題に発展し、訴訟費用などが発生することを防ぐ目的もあります。法務デューデリジェンスは弁護士に依頼することが多く、デューデリジェンスの中でも細かいチェックを要する調査のひとつです。

●人事デューデリジェンス
人事デューデリジェンスは、売り手側企業の人員構成や労使関連の問題点のなどを把握し、M&A後の統合経営に役立てる為の調査となります。近年では、人材の確保を目的としたM&Aや、新たな価値創出のための異業種M&Aが増加しており、買い手側企業はM&A成立後、円滑に統合経営をできるように、あらゆる人材の上手な活用が求められています。

●ITデューデリジェンス
ITデューデリジェンスは、営業・管理・会計など、事業で使用するシステム関連の資産査定、M&A成立後に買い手側企業へのシステム統合に関する障害・投資費用について予測し、事業計画に反映するための調査です。企業のDX化が進むと共に、自社のIT資産とIT戦略の重要性が増しており、M&A成立後にシステム統合が上手くいかずに、効率が下がるリスクは避けなければなりません。ITデューデリジェンスをスムーズにするためにも、売り手側企業は自社のIT資産を把握しておく必要があります。

●セルサイドデューデリジェンス
デューデリジェンスは、一般的に買い手側が費用を負担して調査を行うものですが、セルサイドデューデリジェンスでは、売主側が費用を負担して行うデューデリジェンスを指します。これは、売主側が売却価格を最大化するために、外部の専門家へ依頼しい、デューデリジェンスの際に提出する書類を想定して事前に準備した上で、質問事項の事前対応も売主側で行っておきます。セルサイドデューデリジェンスは、売主側の負担がかかるものの、オーナー経営者自身が自社の問題点などを把握することができるメリットがあります。買主の言うなりになるM&Aを回避するためにも、対策の一つとして覚えておくと良いとされる手法とも言われています。

 

デューデリジェンスを学ぶならセミナーがお薦め

M&Aは他人事ではないくらい、中小企業の中で浸透してきています。アフターコロナ時代の事業継承を考えた時、M&Aという選択肢が出てくる時がくるかもしれません。そんな時に備えて、セミナーでM&Aやデューデリジェンスについて学んでおきましょう。下記URLよりデューデリジェンスについてのセミナーをお探しください。

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【参照情報】
M&A CAPITAL PARTNERS
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