<次世代の交通サービス「MaaS」が描く未来のビジョン【1】> MaaSの基礎知識とメリットについて

街なかに増えつつある、カーシェアリングやバイクシェアリング、SuicaやPASMOなど交通系ICの普及、もはや当たり前になってきているモバイルでの経路検索。身の回りにある交通事情はひと昔とはがらりと様相を変え、とても便利なものと進化を遂げています。一方で、これらのサービスは各事業者で実施されていることが多く、例えば旅行へ行く際に、鉄道の切符の予約、タクシーの配車、レンタカーの手配やその支払いなどは一本化されていません。

「MaaS」は、そんな現在の交通システムをもっと便利に、もっと多くの人が利用できるための「次世代交通サービス」として注目が高まっています。欧米諸国でも導入が進められている「MaaS」とは、どのようなサービスなのでしょうか?まずは、「MaaS」についての基礎知識とそのメリットについて解説いたします。

 

MaaSとは?

MaaSとは、「Mobility as a Service(モビリティ アズ ア サービス)」を略した言葉で、「マース」と読みます。2014年頃に、フィンランド政府の取組みの中で生まれた概念で、「あらゆる交通手段を統合し、ワンストップで予約・決済・利用できるようにして、個々の移動を最適化する」という解釈が一般的です。日本政府では、その解釈に加え、MaaSを環境問題や交通渋滞、交通弱者対策に活用しようという動きもあります。MaaSの解釈には、以下のパターンが存在します。

●電車、飛行機、タクシー、バス、レンタカーなど、いくつもある交通手段を乗り継いで移動をする際に、予約や経路検索、配車、決済などを、スマートフォン一つでシームレス化する

●車を持たず、電車やバスなどの公共交通が届かない交通弱者に対し、自宅から目的地までのドア・ツー・ドアが可能な交通システムの構築

●自動運転やコンパクト・モビリティ、電気自動車(EV)車の活用で、ドライバー不足やCO2排出問題の解消を目指す

MaaSの取組みには、実証実験段階のものや構想中の取組みが多いですが、ヨーロッパでは、すでにMaaSを運用している国もあり、スウェーデンの「Whim」やドイツの「moovel」などのプラットフォームが有名です。
 

MaaSがもたらすメリットについて

MaaSが身近なものとして実用された場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?以下に、まとめてみました。

●旅先での移動手段がスムーズになる
●定額の乗り放題サービスの構築で、事故や悪天候などで路線変更を余儀なくされた場合、交通費を気にせず移動ができる
●高齢者をはじめとする交通弱者の外出が便利になる
●MaaSによる膨大なデータが蓄積されオープン化されることにより、業者間競争や、マーケティングに活用できる
●MaaSによる人々の動き次第で、停留所配置や鉄道の不採算路線などが見直され、公共交通の運営の効率化が図れる
●コンパクト・モビリティや電気自動車などの次世代車両が効率的に運用されることにより、CO2問題や、少子高齢化による地方での交通手段の維持問題などの解決が期待される

MaaSは、2015年に国連で採択された「SDGs17の目標」にある「11.持続可能な都市(女性・子供・障がい者・高齢者などを含むすべての人々に安全で持続可能かつ容易に利用できる輸送システムや、緑地・公共スペース等へのアクセスを提供すること)」とも、リンクする部分が見られます。SDGsを達成するためにMaaSに取り組むことは、今現在、世界的なニーズにもマッチしているとあり、ステークホルダーへのアピールにもなります。

 

MaaSが与える影響とは

実際にMaaSが活用された場合には、以下のような影響がみられます。

(1)都市・地域持続可能性の向上
どこの都市部でも抱えている交通事情が、慢性的な渋滞問題です。現在、国土交通省が推進している1人~2人乗りの超小型自動車、コンパクト・モビリティなどの次世代車の開発が進んでいますが、小回りの利き、排気ガスを排出しないコンパクト・モビリティが普及することで、渋滞解消とCO2問題解消への影響が期待されます。

コンパクト・モビリティ―と同様に、各自動車メーカーが力を入れている自動運転車が実用化すると、地方の交通弱者や交通難民の人達が、停留所と目的地間のラストワンマイル移動が可能となり、データを活用して更なる最適なシステムを投入したバスなどの運用など、地方活性へプラスの影響が出るとも言われています。

(2)交通機関の効率化
MaaSで公共交通を補うことができれば、運賃収入が増加して、税金による公的資金投入のカットが見込まれます。さらに赤字路線などの鉄道を廃止し、その分の運用をオンデマンドバスや自動運転に投資すれば、交通機関の更なる運営が可能となります。

(3)個人の利便性向上
複数の交通機関を乗り継ぐ移動での検索、予約、乗車、決済のワンストップ化によるシームレスなサービスのメリットは前述していますが、これ意外にもコスト面での影響が考えられます。例えば、不要になった自家用車の維持費の負担がなくなり、家計に余裕が生まれる、企業が従業員に支払う交通費が一律支給となり、経費精算手続きの手間が省かれます。

MaaSはまだ新しい取組みではありますが、環境省、国土交通省、総務省など、政府が主導して推奨する事業であり、日本の大手交通機関企業、自動車メーカー、地方自治体も「未来ある事業」として注目しています。MaaSとは何か?をもっと深く知る為にも、セミナーがお薦めです。

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【参照情報】
総務省
>>>次世代の交通MaaS

PERSPECTIME
>>>MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)について

データのじかん
>>>ぜひ押さえておきたい将来の移動に革命をもたらすMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)とは?