<令和4年1月1日より施行 電子帳簿保存法改正のポイントを紐解く【2】>電子帳簿保存法改正に関するQ&Aまとめと導入時における実務の注意点

令和4年1月1日より施行される電子帳簿保存法改正では「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の区分において、要件の変更や規制緩和が見られます。国税庁は電子帳簿保存法をより分かりやすく伝えるために、リーフレットなどを作成し、電子帳簿保存法の普及に努めています。規制が緩和されたとはいえ、まだまだ細かい取決めがあり、すぐに全てを理解するにはハードルが高い法律でもあります。電子データ保存していいのはどのような書類か、スキャナ保存ではどのような点に注意したらいいか、国税庁のリーフレットやホームページを参考にQ&Aをまとめました。併せて、電子帳簿保存法導入時の注意点などもご説明いたします。

 

電子帳簿保存法導入で何が変わる?

1998年に制定された電子帳簿保存法は、コンピュータの普及と共に改正され、テレワークの爆発的な拡大でその必要性が増してきた法律です。テレワーク業務に電子帳簿保存法を導入すると、以下のようなメリットがあります。

①紙や印刷代のコスト削減
経団連発表のデータを見ると、国内の企業が紙の税務関係書類(領収書・契約書)などを保管するコストを試算すると年間で約3,300億円とのことです。紙書類の保管コストは、書類の電子化することにより法人税率を0.6%押し下げるのと、同等のコスト削減を得られると言われています。電子帳簿保存法導入で紙類やその印刷代、保管のコストを抑えることができれば、その分の経費削減が期待できます。

②バックオフィスの効率化
電子帳簿保存法導入での書類の電子化は、紙類の削減だけではなく、バックオフィスの業務効率化にも一役買っています。例えば、対象文書の検索効率の上昇や、ハンコレスなどの承認フローの電子化による業務の省力化など、オフィスに行かずとも、テレワークのままで業務が成立するため、テレワークを継続する企業を中心に電子帳簿保存法は更なる注目を集めています。

 

電子帳簿保存法に関するQ&Aまとめ

電子帳簿保存法をより分かりやすくするために、国税庁のリーフレットに掲載されている「よくあるQ&A」をまとめてみました。

(1)電子帳簿手続きに関するQ&A
Q.電子保存を行う場合「過少申告課税の5%軽減や所得税の青色申告特別控除(65万円)」の適用を受けるにはどのような手続きが必要か?

A.青色申告特別控除の適用を受けようとする初年度の場合は、過少申告加算税の5%軽減や、青色申告特別控除(65万円)適用の課税期間に係る法定申告期限まえに、所轄の税務署長宛に手本措置の適用を受けるための届出書を提出する必要がある

Q.これまでは税務署帳の承認を受けて、総勘定元帳及び仕訳帳等の「優良な電子帳簿」の対象となる帳簿を電子保存してきたが、その場合でも届出は必要となるか?

A.
・過少申告加算税5%軽減の適用を受けるには、承認を受けて保存してきた場合でも本措置の適用を受ける場合は届出書が必要。

・電子帳簿保存法が適用される令和4年1月1日以前の承認の効力自体は「取りやめの届出の提出」や「税務当局からの取消処分」が無い限り有効のため、承認が有効の間は、引き続き「改正前の要件」で保存を行わなければならない。

・承認を受けていた方が令和4年1月1日以降に備付を開始する帳簿について、改正後の要件に従って電子帳簿保存法を行う場合は「承認の取りやめの届出書」の提出や、一定の手続が必要となる

 

(2)スキャナ保存に関するQ&A
Q.これまでは税務署帳の承認を受けてスキャナ保存を実施したが、今回の承認制度廃止以後は何か手続きが必要か?

A.
・「承認取りやめの届出書」を提出するか税務当局から取り消し処分を受けるまでは、令和4年1月1日の電子帳簿保存法施行日以後も引き続き承認は必要であり、改正前の要件を満たしてスキャナ保存を行う必要がある

・電子帳簿保存法施行日前に、承認を受けた方が施行日以後緩和された要件でスキャナ保存を実施したい場合は「承認取りやめの届出書」を提出するなど一定の手続きを要する

・電子帳簿保存法施行日前に改正前の要件を継続するか、改正後の要件で保存するかは「保存義務者」のお選択となるが、重加算税の10%加重措置については施行日以後に「法定申告期限等が到来する国税」について適用される

 

電子帳簿保存法における実務上の注意点とは?

電子帳簿保存法における実務上の注意点として、下記にポイントをまとめました。

●スキャン方法について
・契約書など複数ページにわたる文書をスキャンする場合は複数回に分けることが認められている
・白黒(グレースケール)で可能なスキャンは見積書など「一般書類」のみ
・重要書類はカラーでのスキャンが必要

●書類の保存期間について
・電子帳簿保存法改正前に承認済の国税関係書類は、改正前の要件での当該国税書類の保存期間が満了するまでが保存期間となる
・改正日前に提出した承認申請書に係る国是関係書類にかんせいては、改正後も従前ルールに従う

電子帳簿保存法は度々改正が実施されているので、常に最新の情報を確認しながら、実務を行ってください。

 

電子帳簿保存法を導入する前にセミナーを受講しよう!

電子帳簿保存法改正と聞いても、そもそも電子帳簿保存法がどのような法律なのか、これから取り掛かる方も少なくないと思われます。電子帳簿保存法を導入するその前に、電子帳簿保存法についてのセミナーを受講しましょう!下記のセミナーサイトから、ピッタリのセミナーを探してみてください。

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【参照情報】
国税庁
>>>電子帳簿保存法が改正されました

内田洋行ITソリューションズ
>>>2022年1月適用!電子帳簿保存法対応で企業が得られる4つのメリット

RECEIPT POST BLOG
>>>【2021年最新】電子帳簿保存法の要件緩和!改正点を徹底解説します!

>>>電子帳簿保存法のよくあるQ&A!保存期間はいつまで?

ミツモアMedia
>>>【2021年1月施行予定】電子帳簿保存法改正の内容・施行日を解説