IoT・ビッグデータ・人工知能(AI)が生み出すデータの利活用と知的所有権

概要

昨今、IoT・ビッグデータ・人工知能等のITテクノロジーの進化により、GoogleやFacebook、Amazon、Microsoft等の米国大手IT企業は、自社サービスを利用によって得られる膨大なビッグデータを利活用し、さらなる機能充実や事業拡大を続けています。

ここで疑問になるのは、我々ユーザーが利用したデータを利活用したときのデータは、どこに帰属するのだろう?という素朴な疑問です。少しWebなどで調べたところでは、クラウド・サービスを活用したログのように、単なる事実に関するデータは、原則として、知的財産権等は発生せず、法的権利の対象にはならないようです。また米国政府などでは、自国産業強化、グローバル戦略の一環として、規制を行わずデータの自由な利活用を促進する政策がとられているのが実情です。

 

大きな課題

Google検索やFacebookなどを個人で利用するときには、無料でサービスの対価という理解でもよいと考えられますが、これが企業・ビジネス取引という視点で考えると大きな課題があることに気づかされます。

例えば、ある企業の工場に、メーカーが機械を導入している様な場合、その機械のセンサー等の稼働データは、特に民法上、所有権や占有権の対象外で、原則として特定の者が排他的・独占的に利用することは認められていないため、機材を導入しているメーカーが利活用することが可能です。

しかし一方、導入した企業側でみてみると、契約において別段の定めがない場合、稼働データの利用には、稼働データを保有する側、サービス提供者、メーカーは自由に利用できる一方、データを保有していない側、導入企業は全く利用することができないということになってしまいます。これは導入企業にとって、大きな損失です。

これは上記事例の企業に限らず、これからの時代すべての企業において、データの利活用を自社の事業に活かし、また防衛するためにも、データを情報資産としてどのように管理していくべきなのかを検討しておくことは、重要な経営課題なのです。

 

データの利用

また、日本政府でのデータの利活用についての見解も方向が出始めており、経済産業省のIoT 推進コンソーシアムが平成 29 年 5 月に発行した「データの利用権限に関する契約ガイドラインver1.0」に、事業者間の取引に係る契約においてデータの利用権限の基本的な考え方が以下のように示されています。

<抜粋>
・取引で創出されるデータについては、特定の事業者において過剰に囲い込まず、取引当事者で公平に利用権限を設定し、データ利活用における Win-Winの関係構築を目指す・・・

・データは、知的財産制度により保護されるものを除き、何人も独占的な権利は有さず、広く利活用されるべきものであり、広く利活用されてこそ価値が最大限発揮され得るものである。

上記のような状況下において、企業では、IoT・ビッグデータ・人工知能における法律な基本、法的保護の現在と今後の傾向、データの不正な利活用に対する規制、そしてビジネスにおける契約とその実務においてのポイント、また法的変化を予測した対応方法などの知識やノウハウを身につけることが喫緊の対策課題となっているのです。

 

情報収集の方法

テクノロジーの進化が早く、とくにIoT・ビッグデータ・人工知能(AI)は、最先端であるため、法令や対策などは周回遅れで、後付けになっている感があります。ですので、こまめにニュースやWebをチェックするしかないのが現状です。

そこで、お薦めなのは、「セミナー」です。これは、この分野の専門が講義するため、未公開情報や今後の流れ、方向性なども示される場合が多く、講師の私見や予測であったとしても、大変参考になります。また、書籍よりも時間がかからないため、鮮度が高く、生の情報であるため、色々な角度から話を聴けるのもメリットです。

現在、企業法務セミナーでも、IoT・ビッグデータ・人工知能(AI)において特化し、詳細な解説や事例を紹介するセミナーも増えてきているようです。短期間で、専門分野の弁護士から情報を取得することができるセミナーは、企業にとって最も効果的なツールと云えます。またこの分野は、変化が激しいため、定期的に受講することも効果が高いようです。

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<参考資料>
>>>経済産業省 IoT 推進コンソーシアム