<M&Aに欠かせないデューデリジェンスとは?【2】> デューデリジェンスを実施するタイミングや売り手側・買い手側の注意点について

アフターコロナにおいてのM&Aは、事業継承や新規事業開拓など、企業の生き残りをかけた手段として注目が高まっています。M&Aは売り手側にとっても買い手側にとっても大きな決断を要するものであり、締結まで慎重に物事を進めなければいけません。M&Aを成功させるためには、買い手側が売り手側のリスクを調査する「デューデリジェンス」が重要となってきます。デューデリジェンスは、どのタイミングで実施すれば良いのしょうか?その期間や、売り手側・買い手側それぞれの注意点について見て参りましょう。

 

■デューデリジェンスを実施するタイミングや期間について

デューデリジェンスを実施するタイミングや実施期間についてまとめました。

●デューデリジェンスはどのタイミングで実施するのか
デューデリジェンスを実施するタイミングは、法的に決められているわけではありません。一般的には「買収対象会社との基本合意書を締結した後」の実施が一般的とされています。デューデリジェンスは買い手側が費用を出して調査を行うため、デューデリジェンスで問題がないと分かったとしても、基本合意に至らず破談となった場合は、その調査費用が無駄になってしまう恐れがあります。デューデリジェンスを実施する場合は、M&Aの成功確率が高まった段階がベストなタイミングと言えましょう。

●デューデリジェンスはいつ誰が実施する
デューデリジェンスの実施時間は、種類と範囲によって差がありますが、概ね1か月~2か月ほどの時間がかかります。場合によっては、2週間で実施するケースもあります。その内訳は、以下の通りです。

(1)資料準備・デューデリジェンスの準備→2週間
(2)データルームの調査・マネジメントレビュー作成→数日~2週間
(3)分析・中間レポート作成→1週間~2週間
(4)追加分析(必要な場合)・調査・最終レポートの作成→1週間~2週間

 

デューデリジェンスは誰がどのように実施するのか

デューデリジェンスを実施するには、専門知識が必要となります。自社だけで実施しようとすると、費用や手続きに時間がかかってしまいます。例えば財務デューデリジェンスなら公認会計士、法務デューデリジェンスなら弁護士と、それぞれの専門家へ依頼することが一般的です。デューデリジェンスを実施するプロセスを、下記にまとめました。

(1)デューデリジェンスの種類を決める
チェックリストを作成し、自社にとってどのようなデューデリジェンスが必要かどうかを調べます。

(2)売り手側から提出された資料の分析
デューデリジェンスを開始する前に、売り手側に必要資料を提出してもらい、それを分析します。

(3)現地確認
次に必要なのは、現地確認です。特に、ホテル・旅館・ゴルフ場の不動産関係は現地調査が必須となります。例えば、建物の経年劣化の有無、構造、周辺の環境の確認、境界確認の有無などを直接見て確認しないと、のちにリスクに転じる恐れがあります。必ず専門家と一緒に現地確認することが推奨されます。

(4)マネジメントインタビュー
マネジメントインタビューとは、売り手企業の経営者や、それに準じる立場の人へインタビューを実施することです。資料や現地確認だけでは見えない部分を補うためのものです。

デューデリジェンスの専門家はこれらのプロセスを経た上で、売り手企業の問題点を把握し、対応方法や事業展開などについてアドバイスをしてくれます。

 

デューデリジェンス「売り手側」「買い手側」の注意点

デューデリジェンスを実施する際の注意点について、「売り手側」と「買い手側」それぞれの目線で解説いたします。

●売り手側の注意点
デューデリジェンスの売り手側における注意点は、以下の通りです。

・買い手側にM&A後のリスクについて伝えておく
借金やトラブルなど、M&A後に生じるリスクについては、隠さずにきちんと伝えておくことがポイントです。リスクのある情報を開示したことにより、買い手側に却って安心感を与えることができ、デューデリジェンスもスムーズに進みます。逆に、デューデリジェンス後に買い手側が知ってしまうことになると、破談になる恐れもあるので、おすすめしません。売り手側は買い手側に対して、誠実な対応であることを心がけるようにしましょう。

・資料提供やインタビューには最大限に協力する
デューデリジェンスが始まると、売り手側は買い手側に対して、資料の提供やインタビュー対応が求められます。デューデリジェンスに手間取るとそれだけM&Aの成功率が下がる恐れがあります。買い手側からの要求にはできるだけ協力的な態度を取ることで、印象も良くなり、デューデリジェンスもスムーズに進みます。不信感を抱かれることがもっとも避けなければならないことなので、注意が必要です。

・個人情報や秘密保持契約が規定された情報の開示に注意する
売り手側は買い手側への誠実な対応と協力的な態度で応じる必要がある、と記しましたが、個人情報の取扱いや、秘密保持契約が規定された情報まで提供する必要はありません。デューデリジェンスの段階では、まだM&Aは成立していないので、売り手側は自社の情報を守らなければなりません。人件費の明細を求められた際は、個人名や住所を消して提出する、秘密保持契約に関しては、最終契約締結の直前に開示するなどをして、ギリギリまで自社の情報を守りましょう。

 

●買い手側の注意点
デューデリジェンスの買い手側における注意点は、以下の通りです。

・M&Aの規模や予算に応じたデューデリジェンスを実施する
M&Aは買い手側にとって大きな買い物となります。大げさに言うと、買取金額をはるかに上回るデューデリジェンスを行うことは、経済合理性を欠く話となります。もちろん、はるかに下回るデューデリジェンスも、良い事はありません。デューデリジェンスを実施する前に、M&Aの規模や、自社の予算を総合的に見て、適切な価格のデューデリジェンスを実施する必要があります。

・チェックリストを作成しておく
デューデリジェンスをする場合には、確認事項をまとめたチェックリストを作成しておうと、効率的に進めることができます。チェックリストには、確認漏れ防止効果も期待できるため、デューデリジェンス種類にマッチしたチェックリストを作成することをおすすめします。

・買収対象企業から得た情報の機密保持は徹底する
デューデリジェンスにおいて買い手側は、売り手側の重要情報を取り扱うことになります。そのため、売り手側と秘密保持契約を締結する必要があります。売り手側の経営そのものに関わる情報を取り扱うことになるため、万が一漏洩してしまった場合は、M&Aが破談になるどころか、売り手側より損害賠償を請求される恐れもあるので、情報の取扱いには細心の注意が必要となります。

 

デューデリジェンスを詳しく知るならセミナーが有効

売り手側になるにしろ、買い手側になるにしろ、デューデリジェンスを実施するには、M&Aやデューデリジェンスに関する知識が必要となります。Deliveru(デリバル)のWEBセミナーなら、M&Aセミナーやデューデリジェンスについて学べるセミナーをご用意しています。下記URLよりお好みのセミナーを探して、受講してください!

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【参照情報】
SUCCEED
>>>M&Aのデューデリジェンスとは?公認会計士が費用や項目を解説

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>>>デューデリジェンスとは?日本語と意味や種類と費用&手続き方法を紹介

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>>>デューデリジェンス M&Aの役割