<その就業規則は大丈夫?トラブルを回避する今どきの就業規則事情【2】> トラブルを回避する就業規則の作成ポイント・見直しのコツ
経営者と従業員の労働相談をめぐる労使間トラブルは、年々増加しています。その件数は、10年以上連続して100万件を超える数となっているとの事です。労使間トラブルは、何故起きるのでしょうか?その原因の一つが、「就業規則」にあることをご存知でしょうか?会社を守るための就業規則が、かえってリスキーな存在となっている、そんな危機を回避するために、就業規則をいまいちど見直してみませんか?トラブルを回避する就業規則を作成するにはどうしたら良いか、ポイントや注意点などをまとめてみました。
就業規則をめぐるトラブルは増加中
就業規則は、従業員が何をすべきか、何をやってはいけないかなどのルールを定めたルールブック的な存在であり、会社の労務リスクも減らす役割を担っています。毎日目を通してチェックするものではないですが、会社から一定のルールを定められていると、社内での秩序が守られ、経営もスムーズに運び、自ずと生産性もアップします。しかし、それはあくまでも就業規則がうまく適用されていル場合の話で、就業規則をめぐるトラブルは増加中であることが現状です。ひと昔前までの会社は、皆正社員勤務で働くことが当たり前で、会社が命じれは休日出勤にもサービス残業にも応じ、社内で「教育」という名のパワハラも問題になっていませんでした。
しかし現在、正社員に限らず、契約社員、パートタイマー、アルバイト、短期労働者など、働き方も多様化し、それと同時に働き方改革に関する法整備も進んでいます。会社からの要求に従うばかりだった働き手の方でも、労働者の権利を守る意識が芽生え、労働環境に不満があれば、それに対応する法律などをインターネットで自ら調べることができ、個人が会社を訴えて勝訴を勝ち取ることも可能な世の中となっています。就業規則は会社のルールブックと例えましたが、ルールブックは実態に見合った規定でなければ有効に機能せず、いざ訴えられた際にルールブックである就業規則に記載されている事項が裁判所の判断では無効扱いとされてしまう可能性もあります。このように、会社創業時に作成した就業規則や、ひな型を使った就業規則を見直しもせずに、ただ設定しただけの就業規則が現認のトラブルは後を絶たない状態となっています。
就業規則の作成・見直しのポイント
トラブルを回避するための就業規則の作成・見直しのポイントや注意点を、下記にまとめてみました。
【就業規則の構成に必要な項目】
就業規則を構成する際、必要な項目は以下の通りです。
●必ず記載しなければならないとされている事項(絶対的必要記載事項)
・始業・就業時刻
・休憩時間
・休日
・休暇
・賃金
・退職
●会社に定めがあれば記載する事項(相対的記載事項)
・退職手当
・臨時の賃金
・食費や社宅費などの負担
・安全及び衛生
・職業訓練
・災害補償及び業務外の傷病扶助
・表彰及び制裁
●その他
就業規則は、法令に違反するものでなければ何を記載しても良いという前提の上、会社の理念、相互扶助の精神、労使協調社会貢献等、仕事や社会生活などへの心構えを記す場合もあります。また、就業規則の変更手続きや改正履歴なども入れておくとよいとされています。
【作成・見直しに関するポイント】
(1)作成に取り掛かる前にリサーチする
・法改正へのリサーチ
働き方改革や改正派遣法など、近年、働き手をとりまく法整備が進んでいます。現在の就業規則は現行法とズレがないか、これから先に施行される、高齢者継続雇用や育児介護休業等に対応できるのかをリサーチする必要があります。
・労務トラブルへのリサーチ
就業規則に記されている条文の、どのような不備や不整合が労使間トラブルになるのかのリサーチも必要です。また、「思わぬ形で社員が引き起こす可能性のある労務トラブル」も知っておくと、就業規則の整備に役立ちます。
(労務トラブルの例)
・情報漏洩、人材流出などの不祥事
・残業代未払い
・社会保険未加入
・パワハラ、セクハラなどの訴訟問題
・過重労働による健康被害
・SNSなどによるネット炎上による風評被害
(2)会社の実情に合わせて原案を作成
創業時から就業規則を変えていない会社や、就業規則のひな型をそのまま使っている会社は、会社の実情と合っていない就業規則となっている可能性があり、労務相談の中でも最も多いトラブルの元でもあります。就業規則を見直し、会社の実情にそぐわない点を洗い出して修正し、逆に、記さなければいけないのに記していなかった不備を補足します。
(3)労使間で話し合う
就業規則の原案が出来たら、労使間で話し合い、労働者の過半数を代表する労働者からの意見を聞く必要があります。必ずしも労働者側からの意見を採用したり、労働者の意見を反映する必要はありません。しかし、就業規則の変更をする際に「不利益変更」となる場合は、変更について労使間で十分に話合いを行い、労働者からの「同意」を要します。この「同意」を得られない場合だと、労働者から不利益変更を訴えられた際に、会社側が不利となりますので注意が必要です。
(4)「計算式」に気を付ける
ニュースでもよく目にする労務トラブルが、「残業代未払い」についてです。残業代の間違いは非常に多いケースの一つとされ、就業規則の内容がそもそも間違って記載されているパターンや、就業規則の内容は問題なくても実際の給与計算で就業規則の内容に沿っていない方式が取られているなどのケースが見られます。これらの認識違いや計算違いが命取りとなり、訴訟を起こされたときに、賠償金を支払うこととなってしまいます。残業単価を算出するときに、諸手当を含むのか、含まないのか、割増賃金率は間違っていないかを、実務とすり合わせてきちんと検証することが重要です。
トラブル回避のカギとなる「法改正」とは?
2020年度以降、日本では働き方改革関連法案として、いくつもの法改正があります。法律で定められたことに関しては、「知らなかった」では押し通せません。法改正が施行されたら、それに合わせた就業規則の改定が必要となります。就業規則作成において、カギとなる法改正をピックアップしました。
・労働基準法
・労働契約法
・男女雇用均等法
・個人情報保護法
・高齢者雇用安定法
・改正労基法
・派遣法改正(2020年4月から)
・育児・介護休業法(2021年1月から)
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就業規則は、思い付きやコピペで作成できるものではありません。会社のため、従業員のためを思うのならば「正しい知識」と「ノウハウ」が重要となります。セミナーなら、就業規則にまつわる法務や実務を繰り返し学習することが可能です。法改正が多いこの時期、就業規則を見直すチャンスです!
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【参照情報】
就業規則変更作成センター
>>>トラブルを避ける就業規則 4つのポイント
志戸岡社会保険労務士事務所
>>>中小企業経営者の方へ就業規則の作成ポイントのご紹介
ポプラ社会保険労務士事務所
>>>就業規則のチェクならまずココからリスク増大規定をみやぶれ!
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>>>労務トラブルだけでない就業規則作成の意義 Q&A