<未来技術が躍進する最先端の通信システム5G【2】> 5Gのメリットとデメリット 普及の課題点について

2020年3月よりNTTdocomoをはじめ、各社で運用がスタートしている5Gは、従来の4Gとは一線を画し、デジタルトランスフォーメーションを実現する最新鋭通信システムとして、全世界が注目しています。5Gの特徴として「高速大容量」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」が挙げられますが、実際にはどのように私たちの生活に影響を及ぼすのでしょうか?4Gから5Gへ変わることへの影響力、5Gのメリットとデメリット、実用にあたっての課題点などをまとめました。

 

4Gから5Gへ移行するとどう変わるのか

第四世代目の移動通信システムとして2010年に登場した4Gは、スマートフォンに採用された3Gの14Mbpsから75Mbps~1Gbpsとかなり飛躍し、スマートフォンの普及に一役買いました。しかし、通信を遮断する厚い建物やコンクリートの壁などがあると繋がりにくくなる、イベント会場など人が集中する場所や、元旦など多くの人が同時に回線を使用する時など、回線が混雑して繋がりにくくなる、などの弱点が指摘されていました。また、通信会社と予め契約しているデータ容量が不足すると、通信速度が低速になることも4Gのデメリットとされてきました。

5Gは、4Gの上位通信規格であるばかりでなく、これまでの1G~4GとLET、Wi-Fiなど全てを統合した複合的サービスを提供できる通信手段として、4Gとの大きな違いがあります。通信速度も4Gの1Gbpsから10Gbpsと10倍に跳ね上がり、理論上での最大速度は100Gbpsになるともいわれています。数値だけでは実感しにくいですが、例えば2時間の映画をダウンロードする際に、4Gでは数分かかるものが、5Gではわずか数秒で完了すると考えると、4Gと5Gには大きな違いがあることが分かります。

 

5Gのメリット

5Gのメリットとして挙げられるのは、「通信コストの削減」「スムーズで信頼性のある通信」「IoT技術による生産性の向上」です。それぞれについて、解説いたします。

(1)「通信コストの削減」
インターネット通信でありがちなのは、ゲーム中のラグや、通信の不具合、ネットワーク障害などの通信の不具合です。通信速度のストレスは、スマートフォンやパソコンを使用する人なら、誰しも感じるものではありますが、5Gでは通信トラフィックの増大に伴って発生する遅延や、ネットワーク障害に対応できる大きなメリットがあります。4Gから5Gへ移行すると、通信速度は4Gの20倍、同時接続数は4Gの10倍、遅延速度は10分の1となるため、ネットワークの通信障害が解消されます。また、同時接続をすることで、中継装置などが不要になるため、設置コストの削減にもつながることも、メリットの一つです。

(2)「スムーズで信頼性のある通信」
5Gの特徴の一つである「高信頼・低遅延」は、どんなに遠く離れた地域に接続しても、ラグなくリルタイムな操作が可能と言われています。このような「スムーズで信頼性のある通信」は、反応速度が少しでも遅れたら命とりとなる「車の自動運転」や「医療の遠隔操作」などの分野で活用できる技術として、期待が高まっています。また、現在普及しつつある4K動画、最新の8K動画なども、高画質のままストレスなく閲覧できる、アプリやゲームなどの通信速度が向上するなど、手元のモバイル端末にも影響するため、より生活に密着した活用でのメリットが考えられます。

(3)「IoT技術の活用による生産性の向上」
5G事業推進の目的の一つに、「IoT機器の普及」があります。「あらゆるモノがインターネットにつながる」ことが、IoTの目的ですので、普及するためには、その数だけのネットワーク接続が増えます。モバイル端末だけでも限界に近かった4Gでは、IoTのネットワーク接続まで賄いきれないとされていましたが、5Gの実現により、同時接続数問題とその容量が解決するのです。5GでIoT技術が活用されると、例えば製造業の工場などで、生産ラインをネットワーク接続して管理する「スマート工場」の実現などが可能です。また、一般家庭でも、家電とスマホをつなげて遠隔操作でのオンオフや、防犯目的での家の見守りなどでIoTが活用されるようになり、生活の利便性や企業の生産性の向上などで大きなメリットがあるでしょう。

 

5Gのデメリット

他方、5Gのデメリットとしては、「サイバー攻撃の危険にさらされる」「窃取される情報量が増える」「5G対応端末の価格帯が高い」ことが、挙げられます。

(1)「サイバー攻撃の危険にさらされる」
5Gの特徴として、従来の4Gよりも多くのネットワークと接続できるようになる、というメリットがあります。反面それは、サイバー攻撃の危険晒されるターゲットが増える、というリスクを負うことにもなります。事実、情報通信研究機構(NICT)の調査によると、2018年に観測した約2121億パケットのうちの約半数が、webカメラやホームルーターなどを狙った攻撃であることが分かっています。これから日本をはじめ、世界各国で5Gが実装され、ネットワークに接続する機器が増えると想定されるため、サイバー攻撃は今後も増加すると予想されますので、セキュリティ対策が必要となります。

(2)「窃取される情報量が増える」
5Gは、大容量・高速通信もメリットの一つですが、これに関してもリスクが伴います。大容量・高速通信は、ネットワークのトラフィック量が増えますが、トラフィックが増加すると窃取対象となる情報量も増えてしまいます。例えば、ネット上の個人情報はもちろん、リアルタイムの位置情報や、購入履歴など生活に密着した情報が危険に晒されています。IoTにより、さまざまなモノがインターネットにつながるということは便利なことですが、利便性と引き換えに、情報の漏洩の危機がすぐ近くにあることを、自覚する必要があります。

(3)「5G対応端末の価格帯が高い」
5Gは、最新のテクノロジーです。2020年3月からNTTdocomoをはじめとする通信会社各社が、5Gを実装しましたが、現在手持ちにある端末すべてが、5Gの恩恵を受けるわけではりません。5Gの恩恵を受けるためには、5G対応の機種や端末に切り替える必要があります。スマートフォンやパソコンを最新機種に交換する、家電製品も買い替えるなど、それなりの費用も係るため、コストの高さが5Gのデメリットと捉えられている節があります。

 

5G普及までの課題点

5Gはまだ始まったばかりのコンテンツですが、全ての人に5Gが行き渡るようになるには、まだまだ課題点があります。

●最新技術のコンテンツにニーズがあるのか
5Gでは、仮想現実が目の前に広がるVR技術や、実在する風景にバーチャルの風景を重ねて見せる、拡張現実世界のARなどを利用したライブコンテンツの充実や、4Kや8Kなどの高スペック映像技術の動画配信など、「5Gで可能な技術を使ったサービス」に関して、業界では期待が高まっています。しかし、最先端すぎるサービスやコンテンツが、実際にニーズがあるかどうかはいまだ未知数とされています。5Gが「知る人ぞ知る技術」から「誰もが知っている技術」となるまで普及するには、まだ時間がかかりそうです。

●接続できる基地局網の整備と対応端末の普及
5Gは、4Gと比べて電波が短いという特徴があります。5Gを普及させるには、小出力でカバー範囲の狭い「スモールセル(小型基地局)」を増やす、若しくは、成層圏から中継する「成層圏通信プラットフォーム」を活用するなどの対策が必要です。しかし、まだ全国的に基地局網の整備がされていないことが現状です。また、5G端末への対応も4Gのものと比べると多いとは言えません。このままでは、5G対応端末が占める割合は2020年を迎えても数%程度にしかとどまらないという予測もあり、基地局整備や手軽に使える端末の普及など、課題や山積みです。

 

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5Gを知れば知るほど、「未来の技術」を感じずにはいられません。しかし、その反面「未知のリスク」の存在も、知っておかなければならないことです。5Gをより詳しく知るならば、Webセミナーがお薦めです。5Gの可能性と危険性を把握し、来るべきリスクに備えましょう。

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【参照情報】
MONST☆RLAB
>>>5Gとは?第5世代移動通信システムの実用化でできることを簡単に解説

株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
>>>次世代通信技術5Gで何が変わる? メリット・デメリットを解説

>>>5G商用化から普及に向けての課題

DIGITAL SHIFT TIMES
>>>4Gと5Gの違いとは?第5世代移動通信システムの特徴をご紹介