<自動車業界を大きく変える「CASE」に迫る!【4】> CASEの「Sharing&Service」日本のシェアリングサービスは浸透しているか

マイカーブームが過ぎ去り、「若者のクルマ離れ」が囁かれるようになって以降、自動車はもはや「一家に一台」の時代ではありません。時代は、「所有」から「共有」へと移り変わりつつあり、これからは「一台の車を便利に共有する」カーシェアリングが主流となりつつあり、自動車メーカーのマーケティング戦略にも影響を与えています。日本のカーシェアリングは今、どのように普及、浸透しているのでしょうか?CASEの「S」、Sharing&Serviceの取り組みの一つである「ライドシェア」と共に解説いたします。

 

「シェアリングエコノミー」「カーシェアリング」「ライドシェアリング」について

まずは、「Sharing&Service」でよく使われる「シェアリングエコノミー」「カーシェアリング」「ライドシェアリング」について見てみましょう。

●シェアリングエコノミー
「シェアリングエコノミー」とは、モノ・場所・サービス・乗り物・ヒトなど、個人が固有し、活用できるあらゆる資産を、インターネットやソーシャルメディアなどを活用して、個人間で貸し借りや交換をする共有型経済を指します。例えば、「モノ」なら古着や古本や家電、「個人」なら手助けの申し出やスキルの提供、「場所」なら部屋や家や駐車場などを提供することで、「所有している人が、それを必要とする人に、必要なタイミングでシェアする」という考えです。日本でも、「シェアハウス」や「カーシェアリング」などで、シェアリングエコノミーのサービスが浸透しつつあり、カーシェアリング普及、拡大にもシェアリングエコノミーの考えが、一役買っています。

●カーシェアリング
カーシェアリングとは、自動車を保有しない人でも、自家用車のように気軽に利用するためのサービスです。ヨーロッパで発祥したシェアリングエコノミーの一環で、利用登録した会員に対して、一定時間の自動車の貸し出しをして、「公共交通機関を補完する」ことが目的でした。日本では、1999年に経済産業省が、電気自動車(EV)の普及を目的とした横浜市との共同利用実験が発端で、2002年に民間レンタカー業者により、事業化がスタートしています。カーシェアリングには、カーシェア事業者が駐車場を利用して車の貸し出しをするタイプと、個人間で自動車の貸し借りをするP2Pのタイプがありますが、日本では主に、カーシェア事業者が主導するカーシェアリング市場の方が活発です。「自動車を借りる」という点では、「レンタカー」と混同されがちですが、レンタカーは長時間で不定期の利用がメインであるのに対し、カーシェアリングは、短時間で定期的な利用を対象としている、という点で違いがあります。また、レンタカーは対人でレンタル手続きをしますが、カーシェアリングでは、ICカードやスマホを利用したスマート決済が可能です。

●ライドシェアリング
「ライドシェアリング」とは、自動車の相乗りするための需要をマッチングさせるソーシャルサービスのことです。自動車の所有者と、移動したいユーザーを結びつけるためのソーシャルプラットフォームが提供され、モバイルアプリを通じた現在地の情報をもとに、付近の送迎可能なドライバーが手配されるというシステムです。日本でのライドシェアは、欧米に比べると普及が遅れていますが、2020年の東京オリンピックで、外国人観光客のニーズが増えると見込まれており、大手ライドシェア企業のUberが、タクシー会社、個人ドライバーと提携して、市場拡大を狙っています。また、日本でも独自のライドシェアサービス「notteco」が、中距離移動をターゲットにしたライドシェアを展開しており、バスが運行しないエリアの需要に応える形で、ユーザー数を増やしています。ライドシェアリングは、過疎化している地方の交通網の救世主となるサービスを目指す側面もあり、政府も「国家戦略特区改正法」などで、バックアップしています。

 

日本のカーシェアリングはどこまで浸透しているのか?

CASEのSharing&Serviceで、最も注目されているのは「カーシェアリング」の市場です。実際に日本のカーシェアリングは、どこまで浸透しているのでしょうか?日本の企業が取り組んでいるカーシェアリングの実例と合わせて、まとめました。

(1)日本のカーシェアリング市場の推移
1999年に、政府と横浜市によるEV車を利用したカーシェアリング事業の共同利用実験は、会員1000人を達成するまでに5年の歳月がかかっています。

2002年に、オリックス自動車が立ち上げたカーシェアリング事業は、全国に拠点を置き、一年間で2000人の会員数を達成しましたが、この時点では、まだまだ本格普及には程遠い数値でした。その後、数年間、レンタカー事業者を中心にカーシェアリング事業を展開しましたが、カーシェアリング事業は、レンタカー事業の許可が必要であるために、事業として参戦する企業も少なく、市場は停滞していました。

しかし、2006年に、規制緩和が実施され、2011年頃からレンタカー事業者のほかにも、時間貸し駐車場業者、中古車販売業者、大手交通会社などの異業種からの参戦により、カーシェアリング事業が活気づきました。

2018年6月~9月の集計によると、カーシェアリング事業者主要5社の総車両台数は29,635台とされており、2019年には27,000台に達すると予想されています。このように、カーシェアリング市場の活性化は非常に伸びしろがあり、ユーザーとしても、ますます利用しやすくなるという点で、今後の展開にも期待が持てます。

(2)日本企業が取り組むカーシェアリング例
現在、シェアが拡大している日本のカーシェアリング事業の取り組み事例を、ご紹介します。

●タイムズカープラス
「タイムズカープラス」は、時間制駐車場「タイムズ24株式会社」が運営する、カーシェアリングです。無人入回機で会員証を即時発行してくれる「クイック入会」ができるほか、24時間営業の店舗では、いつでも入会を受け付けています。また、インターネットで通常の受付も実施しています。タイムズクラブの会員特典が使えるほか、ポイントを貯めてサービスで利用することも可能です。会員になると、スマホのアプリで車の空き状況の確認や予約ができる手軽さから、一番利用者が多いカーシェアリングサービスです。

●オリックスカーシェア
「オリックスカーシェア」は、早くからカーシェアリング事業に参入していた、オリックス自動車株式会社のサービスです。即時入会はありませんが、Web上や郵送で入会を受け付けています。会員になるとICカードを発行し、無人状態で貸し借りができるシステムとなっています。会員限定の特典も多く、レンタサイクルの割引や、5年間の学割などが適応されるほか、業界でもトップクラスの補償内容となっているため、ユーザーの信用度も高いカーシェアリングサービスとなっています。

●TOYOTA SHARE
「TOYOTA SHARE」は、TOYOTA自動車が提供するカーシェアリングサービスです。14日前から利用直前の1分前まで予約が可能で、最短15分~最長72時間利用できます。トヨタの人気現行モデル車や、Toyota safety senseを搭載した車を利用できるBasicクラスなどは、自動車メーカーならでは特徴が出ています。TOYOTAの専用アプリで、車両の開錠と施錠、カーシェア運用に必要な車両の位置情報などのデバイスにより、スマホ一つで会員登録から車の開錠施錠、返却、清算までワンストップで可能となります。

カーシェアリングの料金体系には、基本料金を安く抑えて時間課金を割高にするタイプと、基本料金を高めにして、従量料金を低くするタイプがあります。レンタル業者や駐車場業者は拠点の多さを強みに、自動車メーカーは自社の人気モデルや最新機能車に乗れることを売りに、各社とも、ユーザーのライフスタイルや嗜好に寄り添ったプランを提供し、カーシェアリングをより身近なものとしています。

 

このように、カーシェアリング事業は、マイカーを持たない層をターゲットにすることから、大手自動車メーカーも自社の自動車のマーケティングに乗せるため、カーシェアリング事業に積極的に乗り出しています。これからのモビリティサービスやシェアリングエコノミーの動向に、目が離せなくなってきています。最新のカーシェアリング事情、そして、マーケティングの動向を知るためにはセミナーがお薦めです。自動車業界に何が起きているのかを、その目で見聞きしてください。

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【参照情報】
自動運転LAB
>>>CASEとは?何の略?意味は?自動運転、コネクテッド、シェアサービス、電動化

ウィキペディア
>>>カーシェアリング

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>>>業界レポート「CASE最前線」第5回“シェアリング&サービス”

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