粉体の流動性を評価する方法
あらゆる分野の原材料などとして用いられる「粉体」。
その機能性や操作性は固体、気体、液体などに比べると簡単ではなく、
扱い方一つで作業効率に大きな影響も及ぼします。
粉体の機能性や操作性を向上させるために行われる「粉体の流動性評価」とはどのようなものでしょうか?
粉体の基礎知識
「粉体」とは主に固体を細かくしたもので食品、医薬品、プラスチック、金属などの工業製品の分野で、あらゆる原材料となって用いられています。
その集合体は液体、気体、固体とは異なる性質を持ち生産過程で取り扱う際には、付着、飛散、閉塞などを起こすトラブルの元にもなりかねない厄介な物質です。
粉体を取り扱う分野では粉体の機能性や操作性を向上させるための製造方法や操作方法が研究課題となっており、粉体に関するセミナーなども多く開催されています。
粉体の流動性とは?
粉体は外から力が作用した時にある一定の力までは静止していて、力の限界を超えると
急に流れ出すという特徴を持っています。これを粉体の流動性といいます。
粉体には「機械的流動」「振動流動」「重力流動」「圧縮流動」「重力流動」「流動化流動」の5つの様式があります。
様式からも分かるように外の力に応じて粒子の相互作用が変化する事や湿度や温度、
振動などのあらゆる因子により複雑に変化してしまうため、液体や気体のような流動特性の定量的な記述は困難と言われています。
流動性が高い粉体は砂時計の砂のような顆粒状のものが多く、円錐状に積み上げようとしても底辺が広がって崩れてしまいます。
逆に流動性の低い粉体は円錐状にすれば形状を比較的維持し、底辺の広がりも大きくなりません。
この水平面と斜面がなす角の事を「安息角」といい、粉体の流動性を評価するために必要な指標となります。
粉体の流動性を評価する方法
粉体の流動性を数的評価するためにはあらゆる角度から測定をして総合的に判断し、評価する必要があります。
流動性を数的評価するためには以下の手法を使います。
【安息角】
標準篩(ふるい)を振動させサンプルをロートに通じ注入法により測定します。
最も簡易的な方法で凝集性、噴流性、ホッパー角度、ホッパー架橋現象、フィルター詰まりの把握などが判断できます。
安息角が小さいければ流動性が高いと評価され、安息角が大きければ流動性は低いが凝集性が強いと評価されます。
【圧縮】
ゆるみの見掛け比重と固めの見かけ比重を計り、この二つの数値の比から圧縮度を求めます。
流動性判断の最適法とも言われ、圧縮度が大きいと流動性が低いと評価され、圧縮度が20%以上だと流動性は低いが粉体の粒子がアーチ構造を形成してホッパーやサイロを閉塞してしまう「ホッパーの架橋(ブリッジ)現象」が大きくなると評価されます。
【スパチュラ角】
スパチュラの上に堆積する粉体の角度を測定し、凝集性を調べます。
スパチュラ角が小さいと流動性は高いと評価され、スパチュラ角が大きいと流動性が低いと評価されます。
【凝集度/均一度】
標準篩(ふるい)を振動させ、一定時間一定の強さで振動させ篩上の残量から粉体の凝縮程度を評価するのが「凝縮度」粉度分布測定、あるいは篩わけなどを実施して60%篩下粒径を10%篩視篩下粒径で割った値で記すのが「均一度」です。
均一度の値が1に近いと粒度分布の幅が狭い=粒子分径が揃っていると判断さ、凝集性が弱く流動性が高いと評価されます。
流動性の評価はこれらの4つの手法で集められた測定値からCarrの流動性指数を算出して
「粉体の流動性指数表」と照らし合わせて流動性の度合いを総合的に評価します。
流動性の評価は粉体を扱う上で非常に重要な数値ですが、数値ばかりを見るのではなくセミナーなどに参加して粉体の基礎から学びましょう。