技術ロードマップの作り方(書き方)

研究開発に携わる方なら知っている技術ロードマップですが、
どういった内容が書かれているものなのでしょうか。
技術ロードマップはどういうものなのか、どう作るのか、詳しくみていきましょう。

技術ロードマップとはどんなもの?

技術ロードマップとは、学者や技術者など、研究開発に携わる人々がつくる文書で、
自然科学的(または人文科学的)な手法によって裏付けられた情報を集約してまとめられた将来の技術像です。

特に公的研究機関や業界の団体などが作成したものは、その業界において将来的な標準となりうるものであり、団体同士の一定の合意を形成する上でも非常に重要です。
技術者は研究開発を進める上での指針として、このロードマップを使うことができます。

もっと限定すると、会社内で次の商品をどのように開発していくか、
現在の商品をいかにレベルアップしていくかの指針としても利用されます。
ここでは、主に後者の意味で、技術者の方が社内でロードマップを書くことになった場合について考えます。

技術ロードマップの作り方(書き方)とは

技術ロードマップの書き方には、「絶対こうだ!」というフォーマットは存在しませんが、系統的に大きく分けると以下のような書き方があります。

1.技術者主体の書き方

端的に言うと、技術者がやりたい研究をやるための書き方です。
往々にして、現行技術の高度化を基軸とした書き方をされます。
技術者の熱意がこもっている分、社内の技術の今後について多く書かれますが、
反面、研究テーマ的に小粒でブレイクスルーにはなりにくいという面もあります。

2.市場ニーズを予測した書き方

将来的に、人々がどのようなものを求めるかを分析・予測した上で作成するパターンです。
半導体分野での新材料開発や、自動車エンジンのハイブリッド化などがよい例でしょう。
市場トレンドの分析結果に重点が置かれ、紙幅も割かれます。
経営者としては、独自技術の開発などは興味があるでしょうし、その商品が売れると大喜びです。

しかし、技術者のやりたい研究とは必ずしも一致するわけではないので、
その研究に技術者の熱意が向けられるかはその人次第となります。
また、同業他社が同じような戦略を考えていないとは言い切れないので、他社との差別化が課題となります。

技術者主体と市場ニーズ、どちらの書き方が良い?

以上の2つが技術ロードマップの書き方として主に考えられますが、
両者の決定的な違いは、「技術者目線」か「経営者目線」か、です。

どちらが良くてどちらが悪いということは決してありませんが、
経営者目線の書かれ方をされたほうが通りやすいかもしれません。
というのも、最終的な意思決定は経営者側に委ねられることも少なくないからです。

しかし、熱意のない研究を技術者がしたところで、その製品が良いものになるかは甚だ疑問ですし、世に出たあとで苦労が増えるかもしれません。

ひとつの技術ロードマップの書き方として、両者のいいとこどりをしたような書き方が提案されています。
つまり、市場動向を見据えつつ(経営者の立場に立ちつつ)、現行の技術を高度化しつつ(自分のやりたい研究を盛り込みつつ)、お互いの考えを上手くすり合わせるという書き方です。

もしもこのようなロードマップが採択されれば、技術者も経営者もモチベーションを高く保つことができるかもしれませんね。

技術ロードマップの書き方に正解がないとは申し上げましたが、人から書き方を教わるのはよい経験になります。
上司や同僚に教わるのもいいですし、最近ではセミナーが充実しています。
いくつかのセミナーを回り、自分の書きやすいやり方を身に着けていくとよいでしょう。

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