パワハラ防止法案 パワハラから身を守るためには?

パワハラ防止法案 パワハラから身を守るためには?

パワハラはいつ何時、我が身にふりかかるかわかりません。職場でパワハラに遭っていると感じたら、どうしたらよいのか。パワハラと発覚したら何をしたらよいのか?パワハラから身を守るための対処法などをご紹介します。

 

パワハラに遭っても「何もしない人」が4割

厚生労働省が調査した「平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると、自分が職場でパワハラを受けていると分かった後に、どのような行動を起こしたかという質問に対し「何もしなかった」という回答一番多く40.9%もあったとのことです。そもそも、パワハラは発覚するまでに時間がかかる事が多く、気づいた時には行動すら起こせないほど、精神が疲弊しているケースも少なくありません。また、上司や先輩からの「暴言」や「脅迫」などは「指導」との境界が曖昧となり、行動を起せば、仕事に影響するのでは、と考えてガマンをして泣き寝入りとなることも多いことが特徴です。パワハラに甘んじていては、何も解決はしません。パワハラを根本から解決するためには、勇気を出して自分から行動を起こすことが重要です。

 

パワハラに遭った時の対処方法

(1)記録を取る
パワハラかな?と思ったら、もしくは、パワハラが発覚したら、その記録を取りましょう。記録を取る事によって、自分の気持ちの整理ができるほか、相談窓口に相談した時や、会社側が事実確認をする時にとても有効となります。その際は、Who(誰が)When(いつ)Where(どこで)What(なにを)Why(なぜ)How(どのように)の5w1hを意識して下さい。記録の方法は、メモや日記などすぐに始められることからで大丈夫です。常態化しているようなら、録音なども視野に入れてください。

(2)周囲の信頼おける人物に相談する
パワハラを受けている事実を誰にも相談できずに、一人で抱え込んでもメリットはありません。パワハラは日を追うごとにエスカレートし、身も心もボロボロになってしまう恐れがあります。一人で悩まず、身近で信頼のおける人物に相談してみて下さい。周囲が味方になってくれることもあります。

(3)人事担当者や会社の相談窓口へ相談する
パワハラを受け、周囲からも無視されて孤立している場合は、周囲の人間に相談するのは非常にハードルが高くなります。そんな時は社内のパワハラ相談窓口、もしくは、人事担当者に相談してみましょう。その際は事実関係の説明を求められますので、パワハラを記録したメモ、日記、録音などを提示してください。

(4)外部の相談窓口に相談する
会社内部にパワハラ相談部門を設けていない、もしくは、社内に相談できそうな部署がない場合は、外部の相談窓口の力を借りましょう。全国の自治体や労働局、労働基準監督署には、無料で相談ができる総合労働コーナーがあります。また電話での無料相談も受け付けているので、動ける時間がない人は、まずは電話からでも外部に助けを求めて下さい。

(5)弁護士に相談する
パワハラだけでなく、残業代の未払いや暴力行為のケガなど、あきらかな不利益がある場合、賃金請求や損害賠償を視野に入れ、弁護士に相談する方法もあります。弁護士は、長期にわたり心強い味方となってくれるので、会社そのものを信用できない場合などの手段として使えます。

 

パワハラの相談窓口を利用するには

パワハラに耐えながら、毎日家と会社を往復する暮らしをしていると、どこかに助けを求めるという意識が働きにくくなります。そんな人を救うため、「パワハラ相談窓口」が存在します。パワハラの相談窓口を利用する場合、難しいことはありません。相談窓口へ足を運びにくい人のために、相談窓口での流れをご紹介します。

(1)企業内部の相談窓口を利用した場合の流れ
企業内部に相談窓口がある場合、パワハラ相談担当者、もしくは人事担当者が相談に乗ってくれます。事実関係の聞き取りをした上で、パワハラの行為者、必要なら同じ部署の同僚などにも話を聞き、パワハラであるかどうかを判断します。パワハラであることが確認された場合、行為者に対して懲戒処分が下されます。また、心身に不調をきたしている場合は、メンタルヘルスの産業医などを紹介してらえます。パワハラではない、と判断されてしまっても、訴えた本人の問題を解消するために、話し合いの場が持たれるなど配慮してもらえる事もあります。尚、企業の相談窓口は、前提として、相談対応の際のプライバシーの保護や、相談者が不利益な扱いを受けることがないよう配慮が求められています。

(2)外部の相談窓口を利用した場合の流れ
企業内部に相談窓口がない、相談したけど取り合ってもらえなかった、会社に相談すると不利益になりそうで相談できない、というケースの人は外部の相談窓口を利用することをおすすめします。全国の労働局や労働基準監督署には、無料の相談窓口がありますが、他にも「法テラス」「みんなの人権110番」「こころの耳」など専門の機関がありますので、各窓口によって得意不得意がありますので、自分の受けているパワハラがどの窓口がふさわしいかリサーチが必要です。

○法テラス
法テラスは、国家の公的機関です。法テラスに相談をもちかけると、提携している弁護士が紹介されます。法律関係に強いことが特徴で、ひどいパワハラに悩んでいる人、パワハラついての法的措置を取りたい人に向いています。電話・面談・メールで相談を受け付けており、メールは24時間体制で受け付けています。

○みんなの人権110番
法務省が管轄している相談窓口が、「みんなの人権110番」です。インターネットから気軽に相談できるので、相談窓口に敷居の高さを感じている人でも、利用しやすくなっています。パワハラによって人権を侵害された、電話や面談の相談は苦手、という人に向いています。みんなの人権110番では、パワハラだけでなく、あらゆる人権問題に対応可能です。

○こころの耳
こころの耳は、厚生労働省が管轄しているメンタルヘルスポータルサイトです。働く人だけでなく、家族や事業者、産業医など働く人を支援する人達にも、役立つ情報を掲載しています。サイト内に相談窓口があり、電話相談、メール相談を実施しています。また、専門の相談窓口やホットラインの案内もあるので、とにかく話を聞いてもらいたい人の心に寄り添うようなケアが期待できます。

 

外部相談窓口の相談方法は、直接会う面談方式や、電話、メール、チャットなど様々です。相談する際は、内部相談窓口と同様、事実関係の確認作業があります。パワハラの記録などを予め用意しておくと、話しはスムーズです。外部窓口でパワハラと判断されたら、適切なアドバイスを与えてくれる他、悪質だと判断された場合は、会社へ調査が入るケースもあります。

パワハラから抜け出すためには、自身での第一歩を踏み出すことです。いまパワハラを受けてなくても、ふとしたことで自分がパワハラの被害者、もしくは加害者になる可能性も否めません。パワハラに対処するためにも、セミナーなどで対処法などを知っておく事がポイントです。また、企業内部には、事業者の知らないところで、日々パワハラに苦しんでいる従業員がいるかもしれません。社内でのパワハラに関する意識レベルを上げるため、内部に相談窓口を設けるためにも、セミナーなどに参加し、基本的な知識や事例などを学んでおくことをお薦めします。

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【参考情報】
厚生労働省 あかるい職場応援団
「パワハラで困った 悩んでいる方」
「パワハラ基本情報 データで見るパワハラ」

労働問題弁護士ナビ
「5分で完結!パワハラ上司の特徴と止めさせる具体策」

こころの耳
「専門相談機関・相談窓口」