パワハラ防止法案 パワハラが起こる原因と被害者・加害者それぞれの影響について

普通に働いているだけなのに、誰しもが加害者、もしくは被害者となる恐れのあるパワ―ハラスメント問題は、減少するどころか毎年増える一方で、その影響も深刻なものとなっています。パワハラは、どうして起こるのでしょうか?その原因や背景、被害者・加害者のそれぞれの影響について、まとめてみました。

 

どうしてパワハラは起こるのか?パワハラの原因となりやすい4つの背景とは?

パワハラは、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」「過小な要求」「個の侵害」という「6つの行為類型」に分類されます。いわゆる「典型的なパワハラ行動」にあたりますが、なぜこれらの行為が行われるのでしょうか?

●パワハラが発生してしまう原因
パワハラが発生する原因は大きく分けて二つの要因があります。

(1)ストレス
企業が経営難に陥った時、業績を上げるために、トップダウンの指示も厳しくなり、ストレスフルな職場となると、立場の弱い人間がストレスのはけ口にされてしまうようなパワハラが横行します。また、人手不足で仕事に負荷がかかりすぎる場合にも、ストレスにより人間関係がギスギスし、パワハラやいじめの温床となります。部下や後輩にパワハラをする上司や先輩もまた、その上役からパワハラを受けているケースもあり、社内のストレスによるパワハラは、常にどこかでパワハラが行われているような悪循環を生み出しかねないのです。

(2)組織の体質
上層部から指示は絶対で、逆らうことは許されないとか、上の立場の人間は、下の人間に何をしてもいい、というような「組織の体質」でのパワハラです。悪意なく無意識化でパワハラが常態化しているために、外部へ発覚しにくく、退職に追い込まれても泣き寝入りとなるケースがほとんどです。

・パワハラが起きやすい4つの背景について
パワハラが起きやすいとされる4つの背景についてもまとめてみました。

(1)当事者同士のコミュニケーション不足
上司が部下に、先輩が後輩に仕事を教える場合、必要不可欠なのはコミュニケーションです。上司や先輩から適正な指導を受けられない、部下や後輩から質問や報告がないなど、些細な事がきっかけで、関係に壁ができる、仕事に影響が出るなど、実害が伴うようになり、無視や仲間はずれなどの事態に陥りやすくなります。どこのコミュニケーションが不足しているのかを認識して、双方向を意識したコミュニケーションをとることが重要です。

(2)優位性のある人間による無意識の圧力
年功序列や役職での上下関係だけでなく、専門知識や技術、スキルを持つことで、職場で優位的なポジションに立つ人がいます。優位性のある人間が、下の立場の人間に対して、強い発言力を持ち、無意識に圧力をかけることにより、相手が精神的にダメージを受けることがあります。気づかぬうちに「加害者」となる前に、部下や後輩を持つようになった時、専門職として年齢問わず誰かを指導するときには、自分は優位性のある人間だということを意識して行動しましょう。

(3)問題発生を「トラブル」と捉えてしまう被害者意識
部下や後輩、一緒にプロジェクトに関わる同僚が同じミスを繰り返し、そのフォローに追われる立場となった場合。問題が発生しやすい背景をさておいて、自分に降りかかるフォローの嵐を「トラブル」としか捉えず、根本的解決をしないままに、ミスする人を攻撃する、もしくは仲間外れにする、などの「被害者意識」から発生するパワハラもあります。トラブルが発生し続ける環境は、仕事をする上でも良い環境とは言えません。自分が上司や管理者の立場なら、何故トラブルが発生するのか、再発防止を視野に入れた指導に切り替える意識の改革が必要となります。

(4)先入観によるレッテル評価
軽口が悪口へ発展し、憶測だけの噂話で相手を中傷する行為は、企業内だけに限らず、大人でも子どもでも起こりうる「いじめ」と同義です。会社の場合だと、学歴や前の職歴などで評価してしまうケースや、見た目だけで「仕事ができない」と判断してしまうケースもあります。レッテル貼りのパワハラは、無意識かつ集団で行っていることもあり、最終的には「個の侵害」に至る場合もあります。これを防ぐためには、主観や先入観だけで人を判断しないよう、社内で研修などを実施する、差別をしないためのスローガンを掲げたステッカーやカードな配布など啓蒙活動などで個人の意識を高めることが効果的です。

 

パワハラによる被害者側の影響について

パワハラの被害者は、自己肯定感が低下して仕事へのモチベーションを失い、本来の能力を発揮できなくなってしまいます。それがさらにストレスとなり、自分を責め続けてメンタルを病んでしまう傾向にあります。仕事を辞めることによって、心機一転でスタートを踏み出せるのなら良い方で、次の一歩を踏み出す事ができない、という人も少なくありません。辞めることもできずに、最悪の場合は自殺に追い込まれてしまう人もいます。このように、パワハラは被害者の人生そのものに暗い影を落とすこととなるのです。

 

パワハラによる加害者側の影響について

パワハラは被害者だけでなく、加害者にも深刻な影響をもたらします。パワハラが発覚した「加害者」は、「パワハラをした人」として社会的制裁を受けることになります。被害者の状況や、会社に及ぼした影響により、けん責、減給、出勤停止、解雇などの実質的なペナルティが課せられます。また、被害者側より訴えらえた場合、民事では損害賠償を、刑事では傷害罪などの刑事罰を受ける可能性もあるのです。加害者個人だけではなく、その家族も誹謗中傷を受ける危険性もあるため、その影響は計り知れません。一度失った信頼を回復するには、相当の時間が必要となります。

 

パワハラ被害の拡大防止策とは

パワハラは被害者にとっても加害者にとっても、良いことはありません。被害の拡大を防止するには、まず早期発見が重要です。その為には、日頃からパワハラに対する従業員教育の徹底と、早期発見のための相談窓口の設置がポイントとなります。社内でパワハラが起きないのように、パワハラの定義、事例などを、全社で共通認識させて意識向上を図りましょう。

パワハラについてもっと知るには、セミナーなどを受講することが有効的です。事例などを知ることにより、パワハラ防止対策も立てやすくなります!取り返しのつかない事態となる前に、パワハラについて学んでみませんか?

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【参考情報】
顧問弁護士相談広場
「社内でのパワハラ従業員に訴えられたら?」

コンサルソーシング株式会社
パワハラとは~定義と発生の原因となる4つの背景と対策方法

残業代請求・弁護士相談広場
パワハラとはどういうもの?パワハラの実態と対処法

あかるい職場応援団
「社内でパワハラ発生! 人事担当の方」